嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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4、好きに言わせておけば…



いつも通りにゲップをさせていると、急にドアをぶち破る勢いで男性が入ってきた。かと思うと、赤ちゃんの首を支えている手を掴みあげてくる。


支えている手を掴まれたせいで、もうすぐで赤ちゃんを落としそうになるが、なんとか手も足も使って赤ちゃんを抱きとめる。


驚いて泣き出す赤ちゃんに、今更ながらに恐怖を覚える。もう少し私の反応が遅かったら、赤ちゃんを地面に落として、最悪の場合死んでたかもしれない。


そう思うと、腕を掴んできた人物に怒りが込み上げてくる。


「いきなり何をするんですか!もうすぐで赤ちゃんが落ちるところだったんですよ!赤ちゃんを殺そうとしたんですか!」
「それはこっちのセリフです。私の子を殺そうとしたのは貴女でしょうが」


一体何を言っているんだこの人は!全く悪びれる様子もなくぬけぬけとこんなとこを言うなんて!


「とりあえず手を離してください!赤ちゃんが泣いてるのが見えないんですか!」


掴まれている手を無理やり引き抜き、赤ちゃんを両手で抱き直す。


「よしよし、怖かったねぇ。もう大丈夫だからねぇ」
「今更子供を可愛がるフリですか?」


バカにしたように笑う男にイラつく。急に押し入ってきて一体何様のつもりだ。人様の部屋にいきなり入ってくるなんて、一体どういう教育を受けたんだ。とか色々言いたいが、今はそんな事よりも赤ちゃんだ。


「よしよし、いい子だね」
「おい、マーガレット。これは一体どういうことだ?何故皇后に触らせているんだ」


あやす私の後ろで、男がマーガレットに苛立ったように問い詰めた。が、それよりも怒りを顕にしたマーガレットが男に言い返す。


「ルミリオ陛下、まずは無事ご帰還されたこと、喜ばしく思います。しかし、先程の行動は如何なものかと思います」
「ど、どうした?マーガレット?」


なるほど、突然入ってきた男は皇帝だったのか。そういえば、夢の中でそんな顔だったかもしれない。


「どうしたもこうしたもありません!もう少しでお子様が地面に落下するところだったのですよ!ルビア様がなんとか抱きとめたから良いものの!そうでなかったらどうなっていたと思っているのですか!!」
「いや、しかし皇后が…」
「しかしもカカシもありません!!ルビア様はただお子様にゲップをさせていただけです!それなのに、なんですかあの行動は!どれだけ危険な行為か理解なさいませ!」


普段怒らない人が怒ると怖いというのは本当だ。現に、いつも穏やかなマーガレットの怒りを買って、いつも冷徹な皇帝が怒られてしっぽを巻いた犬のようになっている。


「皇后が何故ゲップをさせているんだ。そもそも、皇后が私の子に触っているのが悪いんだ」


はい?今なんて?
赤ちゃんが泣き止んだので、成り行きを見守っていたが、今の言葉は聞き捨てならない。


私の子に触っている?はい?産んだのは私ですけど?なんなら、アンタは産まれる前後2週間ずっと居なかったじゃない。こっちとら、産まれる前から今までずっと一緒なんですけど?


「マーガレット。君には皇后を子供に触れさせるなと頼んで置いたのに、これは一体どういうことだ?」
「ルビア様は母親として立派な方ですので、私が手を出す必要すらありません」
「そんなはずないだろ。アレが母親になんてなれるわけが無い。守るどころか、子供を殺しかねない」


皇帝の言葉に、私の中の何かがブチッと切れる音がした。


「…おい」
「……まさか、私に対して"おい"と言うわけがないよな?」


不機嫌そうに私を見てくるけど、そんなのはどうでもいい。マーガレットにそっと赤ちゃんを手渡し、皇帝に近寄る。


「いや、アンタに言ったんですけど?なんなんですか?急に部屋に入ってきて言いたいことだけ言って、子供を危険に晒して…」
「危険に晒した?皇后が私の子供に触れるから当然のことを…」
「何が当然だクソが!アンタのせいで私の可愛い赤ちゃんが死にかけてんだ!!なのに自分は悪くなかっただ?はぁ?ふざけんな!!誰がどう見ても今のはアンタが悪かっただろうが!自分の非すら認めることが出来ないバカなのか!」
「な、なんだと…!」


私の言葉に逆上して言い返そうとしてくるが、そんなこと気にするか。私は私の言いたいことを言わせてもらう。

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