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16、最近の日課
あれから数ヶ月が経ち、アイリの首が座った今ではーー。
「ルビア様~。今日の勉強は終わったから、一緒にお散歩に行こ!」
「今日もよく頑張りました!じゃあ、アイリもお兄ちゃんと一緒にお散歩に行こうか」
メリーを連れてお昼過ぎにリアム様が部屋を訪れてくれるのが日課になっていた。
リアム様捜索事件の次の日から、リアム様はアイリにお花を摘んで来てくれるようになった。そして、私の身体がまともに動かせる様になってからは私達を散歩に誘ってくれるようになり、私への呼び方や、私の話し方も大分砕けたものになった。
「今日もアイリはいい子だった?僕はね、今日は2桁以上の足し算をしたんだよ」
「そうなんだ。だんだん難しくなっていっているんだね」
「うん…本当に難しくて、宿題もあるから…本当はちょっと嫌になってる」
「リアム様」
「う…」
リアム様が口を尖らせて呟く言葉に、すかさずメリーが咎めるように名前を呼ぶ。
「だって…本当に難しいんだもん…」
「リアム様は皇族として、他の貴族や国民の見本とならなければいけないのです。ですので、それくらいで弱音を言ってはいけません」
リアム様が呟いた言葉に、メリーにピシャリと注意する。そうすれば、リアム様はベンチに並んで座る私の腰に、ギュッと抱きついてくる。
「う~、ルビア様ぁメリーが虐めるぅ」
「そうやってすぐにルビア様に甘えてはいけません」
これは最近よくしてくれる甘える時のポーズだ。私からすれば甘えてくれるのはすごく嬉しいけど、メリーにはすぐに注意されてしまう。
だけど、初めの方はメリーから注意されればすぐに離れたリアム様は、今では注意されても満足するまでくっ付いているようになった。
甘えた仕草が本当に可愛い。この子は天使かな?アイリと言い、リアム様と言い、私の周りには天使しか居ないのか…。
皇帝とはマーガレットから追い出された時以来遭遇していないし、本当に毎日ストレスフリーで幸せな日々だ。
「ルビア様、たまにはリアム様に厳しく言っていただけませんか?ルビア様からなら、リアム様も素直に聞いてくださると思うので」
私に抱きつくリアム様を見て、ため息をつきながらメリーが言ってくる。
「うーん…やっぱり飴と鞭って必要だと思うんだよね。だから、メリーが厳しい分、どうしても私は甘くなっちゃうんだよね」
「そんな…」
ガッカリするメリーに申し訳なくなる。でも、この甘えてもらえるポジションを手放すことは今更出来ない。だって、リアム様が可愛すぎるから!
「良いとこ取りでごめんね?メリーもリアム様の事を甘やかしたいだろうに」
「…そんなことはありません」
またまた~。リアム様の事をすごく可愛く思っていることは知っているんだから。だけど、メリーにその事を言っても認めないだろうから、これ以上はこの話題には触れないでおこう。
「でも、メリーの言っていることは正しいから、リアム様も苦手なことでも頑張ってみよう」
「ルビア様までそんなこと言うの?」
少し拗ねたようにリアム様が言う。そんなリアム様の頭を撫でて笑う。
「必要な事だから仕方ないよ。分かってくると、勉強が楽しいって思えるようになるかもしれないし」
「えー勉強なんて全然楽しくないよ…」
「なら、試しに私と一緒に勉強してみない?」
「ルビア様と?いいの?」
「うん。アイリの世話が落ち着いてる時は時間があるし、アイリもお兄ちゃんと一緒に居れた方が嬉しいと思うし」
「それなら僕、すごく頑張れる気がする!」
さっきまでのすねていた顔から一変し、リアム様は嬉しそうに笑う。しっぽがあったら、ブンブン振っていたんじゃないかな。なんて想像して少し笑ってしまう。
「じゃあ、この後ルビア様の部屋で勉強してもいい?」
「メリーがいいって言ったらいいよ」
「メリー…良いよね?」
「………分かりました」
「やったー!」
流石に皇后の部屋で勉強するのはどうなんだ…?という表情をしていたけど、最後はリアム様が両手を合わせて伺う顔に負けたように見える。
やっぱりメリーはリアム様に弱いようだ。でも、それはリアム様が可愛いから仕方ない事だ。
「アイリ~今日はいつもよりずっと一緒に居れるよ」
「あー、うー」
「アイリも僕と一緒にいれて嬉しいんだね」
「そうみたいだね。アイリはお兄ちゃんのこと大好きだもんねぇ」
「僕も大好きだよ」
ベビーカーから返事のように声を発するアイリに、リアム様は上機嫌で頭を撫でてあげる。一通りアイリと戯れてから、少し遠回りしてリアム様も連れて部屋へと戻る。
その途中でーー。
「リアム、散歩か?」
「父上…?」
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