嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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23、離乳食を初めてみよう

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リアム様との散歩に皇帝も参加してくる事が日常となってきた今日この頃…。


皇帝が散歩に参加してくることに最初は戸惑いもあったけど、私に対する態度に敵意や嫌悪感が消えたので、案外一緒に居ても苦痛ではなかった。


それでも、積極的に仲良くなりたいか、と言われればそうでも無い。だけど、リアム様が皇帝と話す時に緊張はするとけど、少し嬉しそうに見えるので、皇帝が散歩に参加する事を拒否しようとは思わなかった。


丁寧な口調で話す所は変わらないけど、最近では皇帝と話す時にあまり緊張しなくなったように見える。親子の仲が少しは良くなった様で良かった。


そんな感じで、毎日散歩をしている私達は、今日は揃ってキッチンへと来ていた。


目的は、もうすぐ6ヶ月になるアイリに離乳食を作ってあげる為だ。


母乳とミルクの混合で進めているので、離乳食はそこまで急がなくても良いけど、離乳食を早く始めた方がアレルギーも少ないと言われているのでそろそろ始めていこうと思う。


リアム様や皇帝が一緒に来た理由は、私自ら作ることに興味があるからだそうだ。貴族の令嬢なら、キッチンに立って料理をする事なんて有り得ない事だから、尚更どんな事をするか気になったのだろう。


だけど、前世の仕事で離乳食も作っていたから心配無用だ。日本ではないから、離乳食に使う材料をどうするか悩んだけど、この国には家畜の餌として米があるらしいので、それを使ってまずは重湯を作っていく。


「ねぇ、それは何?それって食べられるの?」
「それは鳥が食べる餌では無いのですか?」


リアム様と皇帝の質問してくる表情が似ていて笑ってしまう。リアム様は見た目も皇帝とよく似ているから余計に面白い。


皇帝から謝られてから、なんだか皇帝があまり人と接したことがなくて、人どう接したらいいか分からない子供にしか見えなくなった。


なので、皇帝からの言葉にイラつくことはもう無くなった。それに、イラつかせてくるような事もあまり言われなくなったので、余計に皇帝に対して悪い印象はもうほとんどない。


それに私としては、アイリとリアム様に危害を加えられなければ何でもいい。皇帝はリアム様とアイリの父親ではあるけど、私とは関係性が夫婦なだけで、他人だと割り切ってしまえば尚更何も思わない。


「これは、お米って言うんだよ。皇帝陛下の言った通り、この国では鳥の餌にされてるけど、別の国では人間も食べている穀物なんだよ。リアム様も皇帝陛下も、良ければ召し上がってみますか?」
「いいの?じゃあ、食べたい!」
「私も…余っているのなら、いただきます」
「分かりました」


今作っているのはアイリの為の重湯なので、別に鍋を出してお米を火にかける。流石に重湯の残りのドロドロの米を食べさせるわけにはいかないからね。


ついでにもう1つフライパンを出してソーセージを炒めて、その炒めた油でスクランブルエッグを作る。やっぱり米にはおかずがあった方が良いよね。


「ルビア様凄い!」
「…手馴れていますね。まさか、貴女にこんな特技があったとは知りませんでした」
「料理が出来たとしてもする機会があまりありませんからね…あはは」


私が料理をする姿を見て、リアム様と皇帝が感心するように見てくるが、前世では料理として初歩的なことをしただけなので、これだけで褒められると反応に困ってしまう。


ソーセージとスクランブルエッグをお皿に盛り付け、重湯とお米が炊けるまでの間、食器を用意していく。


そして、先に出来た重湯を適温に冷まして、キッチンの端でマーガレットと一緒に待っていてもらったアイリに持っていく。


「アイリ、重湯が出来たよー。ちょっとだけ口に入れてみようか」


マーガレットの膝の上に座るように抱いてもらい、アイリの口へと重湯を入れる。そうすれば、口をモゴモゴと動かす。


「食べた!アイリ、美味しい?」


アイリが口を動かすのを見て、リアム様が興奮したようにアイリを見る。


「どうだろうね?でも、嫌な顔はしなかったから、多分不味いとは思っていないと思うよ」


モゴモゴと口を動かす姿はなんて可愛いのだろう。ちゃんと口を動かして偉い!流石私の子!何をしてても可愛い!初めての離乳食を動画で取れないなんて…この世界はどうしてこんなにも私を苦しめるの…!


「僕も舐めてみていい?」
「うん、いいよ」


心の中で動画を取れないことに嘆きながらも、重湯に興味津々のリアム様に重湯を別のスプーンですくって渡す。


「…なんだこれ、初めて食べる味だけど、あんまり味が無いね」
「離乳食の初期は、こういう味があまり無いものから始めるんだよ。じゃないと、まだミルクしか飲んだことがない赤ちゃんがしんどくなっちゃうからね」
「そうなの?」
「そうなのですか?」


横で聞いていた皇帝も混ざって聞いてくるので、皇帝には赤ちゃんの内臓が未発達のため消化不良を起こしたり、かなり身体に負担をかけてしまうことを説明する。


「なるほど…。アレルギーの件と言い、皇后は本当に物知りですね」
「いえ、そんなことありませんよ。食べ物の知識以外はほとんどありませんから。例えば、皇后としての振る舞いとか仕事とか…」


なんちゃって…と少し冗談っぽく言おうと思ったのに、皇帝の眉間にシワが寄ったのを見て口を閉じる。


最近少しは距離が縮んで来たと思ったけど、流石に自分の仕事を放棄している事を笑って言うのは良くなかったか…。そのせいで、恋人のイザベラ様が私の仕事を肩代わりして忙しくしてらっしゃるのだから、尚のこと気に触ったかな。


そう自分の発言を心の中で反省していると、皇帝は思ってもみないことを言ってくる。


「皇后が仕事を拒否した理由は、仕事内容が分からなかったからですか?」
「え…?」


いや、決して内容が分からないから断ったのではない…と思う。だって、記憶の中の私は、仕事内容を聞く前にしなくていいと伝えられていたはずだから。私は1度だって、自分から断った事は無いはずだ…。


「イザベラから貴女が仕事をしたくないと言っていると聞きましたが、まさかそう理由だったとは知りませんでした」
「えっと…」


どういう事だ?私はそんな事を言った覚えはない。それに、前の私はイザベラ様の事を嫌っていたから、イザベラ様にそんな事を言うとは思えない。何がどうなっているんだろう?


それとも、私の記憶違い?記憶と言っても、全部思い出せるわけじゃなくて、大雑把な記憶しか思い出せない。それに、今分かっている記憶も、この城に嫁いできた時からのだけだし。


「分からないのなら、イザベラに教えてもらうのはどうでしょうか?きっとイザベラなら快く教えてくれるでしょうから」
「そう…ですね。アイリがもう少し大きくなってから考えてみます…」
「イザベラに伝えにくい場合は、私から伝えますので、いつでも言ってください」
「お気遣いありがとうございます」


そうお礼は言ってみたものの…。


なんとも釈然としない。私の記憶違いかもしれないけど、そうじゃなければ、何故イザベラ様が嘘を付いてまで皇后の仕事をしたがったのだろう。


いや、もしかすると、私が幼くて皇后の仕事を全う出来ないと思って、親切心で仕事を肩代わりしてくれたのかもしれない。だって、あの気が弱そうで嘘も付けなさそうな人が、私から仕事を奪おうだなんて思わないはずだ。


だから、きっとこれはイザベラ様が好意でしてくれたことに違いない…と、思いたい。


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