嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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36、イザベラ様…?

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イザベラ様に叩かれたメイドは、驚きで何も言えずに叩かれた頬に手を添えてイザベラ様を呆然と見ていた。そんなメイドに、イザベラ様が注意するように声を発する。


「ルビア様に対して、この人とはなんですか。それに、わざわざリアムの為にここまで来て下さった方に対してなんて失礼な事を言うのですか」
「イ、イザベラ様…?」


どうして叩かれたのか分からず困惑するメイドを無視し、イザベラ様は私に話しかけてくる。


「ルビア様、このメイドが無礼を働き申し訳ありませんでした」
「イザベラ様!なぜ、そんな人間にイザベラ様が頭を下げられるのですか!」
「お黙りなさい!ルビア様、この者がこの様な発言をしてしまったのは、私の監督不行届です。今後は、このような事がないように指導致しますので、どうかお許し頂けないでしょうか」


そう言ってイザベラ様が私の前で深々と頭を下げる。そんなイザベラ様を見て、メイドは困惑を隠せない様子だ。


「何をしているの。貴女もルビア様に謝罪をしなさい」
「で、ですが…」
「私が謝罪しなさい、と言ったのです」
「っ、無礼な態度を取ってしまい…も、申し訳ありませんでした」


イザベラ様の静かに怒りを含んだ声に圧され、メイドが渋々頭を下げてきた。どう見ても私に頭を下げることが不服です、と言いたげだ。


というか、何故イザベラ様はこのメイドを今謝らせたのだろう。あのメイドがイザベラ様に謝罪しろと言われてかなりショックを受けていたように見えので、憶測だけど、彼女の態度は今までイザベラ様も容認していたんじゃないかな。


ルビアがこの城へ来た時から、あのメイドの態度は変わっていないようだし。たまたま今までイザベラ様が、彼女の私への態度を見た事な無かったのなら仕方ないけど、今のショックを受けたメイドを見るに、イザベラ様が知っていた可能性の方が高い。


それなら何故、今になってイザベラ様はメイドに謝罪をさせたのだろう。それも、会話を遮るようにわざわざ部屋から出てきてまで。


もしかして、皇帝に報告されることが嫌だったから…?だけど、それはどうして?最近、私が皇帝と穏やかに会話が出来るようになったから?


さっき、メイドがどうせまた虚言だと言われると言っていたから、今までルビアも皇帝に対して、無礼な態度を取られたと進言していたのかもしれない。だけど、その時は皇帝から嫌われていた為、信じてもらえなかったのかもしれない。


なら、今話せば信じてもらえる可能性が高くて、そうなれば、今までメイドを注意せずに放置していたイザベラ様が咎められるかもしれないから、今になって注意したってこと…?


それなら、イザベラ様の行動に納得出来るけど。これって私の考え過ぎなのかな。


どうしても、記憶で見た、楽しそうに笑うイザベラ様の顔が忘れられずに、悪い方にばかり考えてしまう。


ルビアになって初めてイザベラ様に会った時は、人畜無害そうな、ルビアに悪口やら悪意を向けられている可哀想な人、と思っていたけど。今は、彼女が腹の中がドス黒い人なのでは無いかと思ってきている。


「ルビア様、どうか、この者の謝罪を受け入れていただけないでしょうか」


目に涙を浮かべながら懇願する姿は、誰が見ても部下想いな心優しい人だ。だけど、そういう風に素直に見れないひねくれた自分がいる。


こんな姿で謝罪されて、もし私がその謝罪を拒否すれば、私は周りから酷い人間だと思われてしまうだろう。謝罪を受け入れたら受け入れたで、こういう場面にまた直面すれば、きっと同じように逃げられてしまう可能性もある。


どちらに転んでも私には良い事がない。それが分かっていて、イザベラ様もこうやって謝罪しているのでは無いかと勘ぐってしまう。


今見過ごせば、こういう事が繰り返されるのかもしれない。だけど、今回ここに来た目的は、リアム様の様子を確認するためだ。それに、部屋に残してきたアイリもお昼寝から起きるかもしれないので、あまり会話を長引かせたくはない…。


「その者の謝罪を受け入れます」
「ありがとうございます。ルビア様」
「…感謝致します。皇后陛下」


笑顔でお礼をするイザベラ様と、悔しそうに頭を下げるメイドに複雑な気持ちになるが、今はこの人達に時間を割くのが惜しい。


「それより、イザベラ様。今朝、こちらに伺うことを伝えていたと思うのですが、リアム様に会わせて頂けませんか?」
「…その事ですが、まだ、落馬からのショックが抜けきれないようで…。ルビア様とお会いすると思い出してまた泣き出してしまうかもしれないので、今は面会を控えさせて頂きたいのです」


あれ?皇帝には風邪が伝染るかもしれないから、会わせられないって言ってなかったっけ?それなのに、落馬のショックで寝込んでいるの?


それと、私が今朝来訪を伝えた事はちゃんと伝わっていたんだ。それなのに何も返事がなかった事に、なんだかイザベラ様の事をますます疑ってしまう。



 
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