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44、両親とお話しましょう
とりあえず、皇帝にはアイリが寝てしまったので少し寝かすとマーガレットに伝えに行ってもらい、両親を人気のない場所へと連れて行く。なんとなくだけど、城の人達には両親と会っていることを知られてはいけない気がした。
周りに誰も居ないことを確認してから、両親とゆっくり話をする。互いに連絡が本当に来ていなかったのかと、私に唯一届いた手紙の内容について、それと、何故私に会いに来られなかったのか。
まず、連絡については、互に届いていない様だった。お父様は、信用出来る部下に城まで届けさせていたらしいので、おそらく城に届けられてから止められていたのだろう。
私の方も、ミリアナやジェーンに預けてから、2人は校閲の為に執事長に必ず渡す。なので、おそらくそこか、それ以降で止められていたのだろう。
私に届いた手紙については、お父様は全く身に覚えがないとの事だった。印もしっかりと押され、筆跡もお父様にそっくりだったため疑わなかったけど、誰かに仕組まれていたようだ。
そして、私に会いに来れなかった理由は、一向に連絡をしてこない娘を心配して、来訪の日程を城に伺うために連絡を送った数日後から、領地で大規模な事故が立て続けに起こったらしい。その事故は、領民の生活に大きく関わっていたため、その処理に追われて来るのが今になってしまったそうだ。
だけど、今日も来る途中で馬車の車輪が取れ、危うくもう少しでここへ辿り着けなくなる所だったらしい。車輪が取れた時に、運良く城の近くまで行く荷馬車に出会って、少数の護衛だけを連れてなんとかここまで辿り着けたのだそうだ。
「そんな事があったのですね…」
「ああ、ここに着いてからも、皇后は疲れているだの、少し確認して欲しい書類があるだのなんだのと色々理由を付けてお前と会わせたくない様に見えたぞ」
「ええ、本当にあれは異常だわ。私達にそんなことを言ってきた人達の顔はしっかり覚えたから、後でその家の人達にはしっかりと責任は取っていただくつもりだけど」
公爵家の人間を大した理由もなく引き留めようとするなんて、本当にどうかしている。一体、この城で働いている人達はどういう教育を受けてきたの。
私を馬鹿にするだけでなく、家族にまでそんな態度を取るなんて異常だ。一体、私達になんの恨みがあるんだ。
「一体城の中はどうなっているのだ。今までこんな無礼な対応をされたのは初めてだ。それに、何故私の大切な娘がそんなにもぞんざいに扱われなければいけないんだ」
「そうよ…不幸にする為に嫁がせた訳では無いのに…」
「今からでも遅くはない。皇女殿下も連れて実家に帰って来なさい」
「そうよ、それがいいわ。貴女がこれ以上傷つかないためにも」
そう言ってくれる2人の目を見れば、本気で心配してくれている事は痛いほど伝わってくる。
私がアイリを連れて実家に帰った方が、皇帝とイザベラ様も楽しく過ごせるだろう。それに、今の私が皇后として完璧に振る舞えるとも思えない。それなら、アイリと何も気にせずゆっくり過ごせる方が私達にも国民の為にもいいに決まっている。
そう、頭で分かっているけど、ここを去ってしまえば、もうリアム様には会えないのか、と思うと寂しくなってしまう。落馬以降会えていないし、毒を盛られたなんて話を聞いてしまうと、余計に今すぐに出て行こうという気にはなれない。
それに、最近では散歩友達の様になった皇帝にも、今まで私が犯してしまった事への心からの謝罪がまだ出来ていない。出ていくとしても、せめてケジメとしてその事について謝罪をしていかなければいけない。
あと、最近よく見るルビアの城での無念を、少しでも晴らすことが出来ればいいなと思う。まだ、記憶を全て見たわけでも、どうすれば良いのかも分からないけど、そう強く思う。
ルビアの無念を晴らす以外の事を、素直に両親に伝えれば、2人は心配しながらも納得をしてくれた。私が皇帝に犯した罪を告白すれば、お父様は色々な感情をした押し殺した様に静かに言った。
「お前がした事は、何か事情があったとしても決して許されるべきことでは無い。だが、お前もその事について反省しているのなら、皇帝陛下から許される事がなくても、誠心誠意謝罪をしなさい」
「はい…」
「だが、そこまで追い詰められるまで気付いてやれなくて、すまなかった…」
「お父様…」
「何を置いても、異変に気付いた時にお前に会いに来るべきだった。辛い思いをさせて、すまなかった…」
お父様の言葉を聞いた途端、涙が次から次へと溢れて来た。私の心の奥底で、お父様の言葉に救われた。と、そう言っている誰かがいる。
それは、元のルビアの感情なのかもしれない。成人したとは言え、18歳の子が周りから悪意を常に向けられ、孤独の中1人で耐え続けて居たのだから、お父様の言葉を聞いて泣いてしまうのも無理は無いのかもしれない。
アイリを抱きしめながら泣く私を、お父様とお母様は優しく頭や背中を撫でてくれた。アイリも、よく分かっていないながらも、ぺちぺちと顔を叩いてくれた。
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