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51、気づかれない事が大事
しおりを挟むイザベラ様にこれ以上好きにはさせたくない。なので、皇帝に提案をしてみる。
「皇帝陛下…調査についてお願いしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「なんでしょうか」
「もし、イザベラ様に調査を依頼しようとしているなら、別の方に調査をさせてほしいのです。たとえば、城内のことにあまり関わりが無く、陛下が信用している方などに」
「それは、何故でしょうか?イザベラでは力不足ですか?」
城のことをまとめているのはイザベラ様だから、こう質問されるのは当然だ。だけど、イザベラ様に気付かれるわけにはいかないので、それらしい理由を並べてみる。
「今はリアム様の事で気が気では無いでしょうから、別の方にお願いしたいと思いまして。調査くらいなら、わざわざイザベラ様に時間を割いて頂かなくても問題は無いと思いますので」
「…確かに、それは一理ありますね。イザベラもリアムのことを心配して眠れていないようでしたし」
皇帝にはそう見られるようにしているのか…。さっき見たイザベラ様は、お肌艶々で元気そうでしたけどね。本当に演技がお上手な事だ。今回はそのおかげでイザベラ様に気付かれないように調査を進めてもらえそうだから良かったけど。
「やはり、イザベラ様も我が子が苦しんでいれば心配にもなりますよね…」
本当は楽しんでるようだったけど…。
今思い出しても、リアム様を苦しめて喜ぶイザベラ様に腹が立って仕方ない。虐待をして楽しむなんて、本当に人として最低だ。
「イザベラ様の為にも、今はゆっくりして頂きましょう」
「そうですね…。では、イザベラにはこの事は伝えずに進めます」
「お願い致します。それと提案なのですが、イザベラ様がもっと休めるように、リアム様を1度別の部屋に移し、医師達に看病してもらうのはどうでしょうか?」
あくまでイザベラ様の為というスタンスを崩さずに、イザベラ様からリアム様を引き離せるように提案をしてみる。
本当は私の部屋に来てもらいたいけど、毒を盛ったかもしれない人に預けられないと言われてしまえば言い返せないので、こういうしかない。
「いい考えかもしれません。1度イザベラに相談してみます」
「是非そうして下さい。ただ、イザベラ様の事なので、陛下に遠慮して断るかもしれませんが…」
「確かに…イザベラは気を遣いすぎるところがありますからね…」
「ですので、私からリアム様を守る為に別の部屋に隔離すると伝えてみてはどうでしょうか」
イザベラ様は、皇帝が私の事を嫌うように仕向けたい様だったし、こう伝えればきっと、皇帝が再び私の事を疑い始めたと思うだろう。そうなれば、リアム様と一緒にいる事を嫌がっている様だったし、素直に皇帝の提案を受け入れてくれるかもしれない。
「そんな!イザベラも貴女の事を疑ってなどいないはずです!ですので、そこまで言う必要はありません」
「そうでしょうか…私がイザベラ様でしたら、頭では分かっていても、苦しむ子供を見れば不安になりますし、心の底では疑ってしまうと思うのです…」
「そう…なのでしょうか…?」
「はい。子供の安全を思えば、色んな可能性を考えて守ろうとすると思うのです」
そういえば、皇帝は少し考えてから頷いてくれる。
「分かりました…。気は進みませんが、イザベラの事を真剣に考えてくださる貴女の意見も無視する事は出来ませんので、もしイザベラが断る素振りを見せたら、そのように伝えようと思います」
「お願いします」
もしかするとリアム様を安全な場所に移せるかもしれないので、しっかりとお願いしておかないと。
「イザベラ様には、皇后には絶対に近寄らせないと言ってくださいね。それから、陛下も当分は私と会わないようにして下さい」
「それは、何故でしょうか?」
私の言葉に食い気味で質問をされて少し驚いてしまう。どうしてそんなに衝撃を受けたような表情をしているのかが分からない。
「イザベラからリアムを離すのに、どうして貴女と会わないようにする必要があるのでしょうか」
「それは…私の事を疑っているかもしれないイザベラ様を安心させるためです」
本当は、私と皇帝が不仲だと思わせたい為なんだけど、それを素直に言えば、どうしてだと聞かれるのは目に見えている。
どうしてと聞かれれば、イザベラ様と、場合によってはギルバートの事を言わなきゃいけなくなるし…。恋人だと思っている人が、実は自分の事を憎んでいて、別に恋人がいます。なんて言えるわけがない。言ったところで信用してもらえないだろうし。
せっかく皇帝と問題なく会話が出来るようになったのに、ここで疑われてしまえばイザベラ様とギルバートにとって好都合な状況になってしまう。なので、何とかその事実を隠したまま、私と皇帝が不仲だと誤解してもらえるように動かないと。
「やはり不安な時は誰かに寄り添ってもらいたいと思うのです。なので、私と会わずにイザベラ様の所へ行ってあげてください」
「ああ、そういう事ですか。それでしたら、何も貴女と会わないようにする必要はありませんよ」
「いえ!やはり、こういう時は、他の女性に会わずに、イザベラ様の事だけを考える方がいいと思うのです」
「何故ですか?」
何故って…。
「辛い時に恋人が別の女性に会いに行ってる事を知れば、余計に気持ちが落ち込んでしまうものではないでしょうか」
「そ、う…なのですか?」
いや、聞かれましても…。
逆の立場なら嫌だとか思わないのかな。一夫多妻制が当たり前な人からすれば、そんな考えにはならないの…?
「陛下は…落ち込んでいる時に好きな人が自分ではなく別の異性の所へ通っていても平気な方ですか?」
「いえ!あ…それは、その…あまりいい気分では、ありませんね…」
だよね!
良かった、皇帝の感覚も私と一緒で。
「それなら、イザベラさ…」
「皇后は、もしかして…意中の人がいるのですか…?」
「はい?」
いや、いきなりどうしたんですか…。
突然私の事について質問をされる意味が分からないのですが…。
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