嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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85、いきなり過ぎませんか!?

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「貴女の事を少しでも知ろうとしていれば、イザベラの事も気付けたはずだ。それに……貴女を悲しませる事もなかったはずなのにっ、本当に、すまなかった」


 そう言って頭を少し下げる皇帝に、必死で首を横に振る。


「そんな!本当に謝って下さらなくて大丈夫です!」


 ルビア本人も、きっと皇帝から謝られたらこう言うはず。それに、ルビアは本当に皇帝の事を愛していたんだから、悲しんでる皇帝を見てそんな顔はしないで欲しいと思うに決まってる。だから、申し訳ないとかそういう事は思わないでくれるといいんだけど…。


「だが、貴女がどんな立場に居たのかさえ知ろうともせずに、貴女を…」
「ならこれから知っていってみるのはどうでしょう!」
「………?」


 まだ謝罪を続けようとする皇帝を止めようと思って咄嗟に言葉が口から出たけど、何を言っているんだ?と言っている皇帝の顔を見て、言ったことを少し後悔する。


 だけど、せっかく皇帝が止まったので、適当に話を続けてみる。


「その…私達って、一応形式上は夫婦…ですよね?」
「ああ」
「だけど、お互いの事をあまり知りませんよね?だから、これからお互いについて知っていくのはどうかな、と思いまして…」
「それは……いい考えだとは思う。だが、良いのか…?」
「何がですか?」


 私が提案しているのに、どうして顔色を伺うように見られているんだろう…。


「今までの私は、どう贔屓目に見ても良い夫ではなかっただろ。そんな私と、もう一度やり直してくれるのか…?」
「はい、そうしてみるのも良いのではないかと思いましたが…」


 やり直すことは考えていないような言い方に、少し心配になる。


「もしかして、陛下は離婚した方が良いと考えていましたか?」
「違う!決してそうではない!」
「あ、それは良かったです…」


 食い気味に否定をされてびっくりする。まさか、こんなにも力強く否定されるとは思わなかった。


「良かったのは…私の方だ。あの夜から、貴女に離婚を切り出されるのでは無いかと不安になっていたのだから」
「そんな、私は別にそんなこと思っていませんでしたよ?」
「ああ、今の貴女の言葉で分かった。だが、今までの自分の行動を振り返り、貴女の気持ちを考えれば考える程…貴女が私から離れたいと考えているんじゃないかと……。そう思うと、あの夜から、貴女に離婚を切り出されるのではないかと不安で会うことが出来なかった…」


 アレックスさんが、面会を拒否するのは皇帝自身の問題だと言っていたのは、こういうことだったのか…。


 でも、離婚したいと言うタイミングなんて今までにいくらでもあったんだから、今更そんなことを言ったりしないのに。


「イザベラを信じていた時は、貴女に離婚されても構わないと思っていた。むしろそうなる様に、貴女に対して酷い態度を取っていた」


 なるほど…だから初対面からルビアに対してあんな態度を取り続けていたのか。


「だが…今になって、貴女に離婚したいと言われることを想像しただけでも胸が張り裂けそうになった…。次に会った時に、その事を告げられたらどうしよう」


 そう思うと、貴女に会うことが出来なくなってしまった。と悲しげに皇帝は言う。


 そして皇帝は続けて、私が離婚したいと言い出せない状況を作る為に、リアムに私の子供にならないかと話をしたらしい。


 リアムの事を可愛がっていた私が、リアムの母親になって欲しいと言われれば断る確率は低く、リアムの母親になれば、離婚なんて言い出せないだろうと考えたからなのだとか…。


 もちろん、その事だけではなく、父親としてリアムの今後や気持ちの部分をしっかりと考えた上でリアムと話をしたらしいので、そこは、リアムの気持ちを最優先に考えてくれた皇帝に好感が持てる。


 だけどーーー。


「私に一言話してくれても良かったと思うのですが…」
「いや…だが……もし貴女に離婚したいと言われれば立ち直れる気がしなかったんだ…」
「そもそも、どうして私が離婚を切り出すかもしれないと思ったんですか」


 今までの事を振り返って後悔した、とかなら分かるけど、どうして離婚を切り出されるかもしれない、なんて思考が飛んだのか…。ちょっと飛躍しすぎでしょ…。


「……アレックスに、今までの貴女に対する言動を話していたら、離婚を言い渡されても文句は言えない、と言われたんだ」


 まさかのとんでも思考の原因がアレックスさんだったとは…。


「アレックスの離婚という言葉を聞いてから、その事ばかりが頭に浮かんできて……。貴女に離婚と言われるのが怖くて仕方なかったんだ」
「そんな…別に私はそんな気はありませんでしたし、仮にそうだったとしても、そこまで悩むことでもなかったと思うのですが…」


 前は離婚してもいいと思ってたくらいなんだから、仲良くなってきたとはいえ、そこまで深刻に考えなくてもいいのに。


「私も…こんな事で貴女に会えない程悩むのはおかしいと思った。だが…貴女の事をもっと知りたいと感じていた私には、貴女が私から去っていくかもしれないと考えただけで、普通では居られなかったんだ。私は…決して貴女とは離れなくはなかったから…」


 悲痛な表情を浮かべながら真っ直ぐに目を見てくる皇帝に、ドクンッと音を立てて鼓動が大きく跳ねる。


 どうして、あんな目で私を見てくるの…。


 あんな目を向けられれば、皇帝が私に気があるんじゃないかと錯覚しそうになる。だけど、そんな勘違いはしたくないから、早く目を逸らさないと…。


「貴女と会わなかった間、貴女が私から離れていくのではないかと怯えながら、ずっと考えていた」


 視線を逸らす前に、皇帝が"逃がさない"とでも言うように目を見返してくる。


「どうして、こんなにも怯えてしまうのかを…。そして、久しぶりに貴女に会って、気付いた」
「あの、何を…」


 急に私の手を取り跪く皇帝に動揺する。
 急に何!?どうしたの!?


 混乱する私を他所に、皇帝に私を見えあげて言った。


「どうやら私は…貴女に恋をしているようです」


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