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87、皇帝視点2
しおりを挟む「で、聞きますけど、どうですか?」
「そんなこと答えられるか!」
「別に俺に答えなくてもいいですよ。ただ、したいって思うなら、皇后陛下を異性として好きってことなんじゃないですかね」
「そう…なのか…?」
だが、今のはただの男の本能としての欲望なんじゃないのか…?イザベラも、共に越した朝にそう言っていた…。
いや、イザベラの言っていた事は忘れよう。今まで言っていたことが真実か嘘かも分からないのだから。
「ま、絶対にそうだとは言いませんけど、少なくとも嫌いな相手とそういう事はしたくないと思いますよ」
確かにそうだが…。だからと言って、それが好きとなるのか?
「アレックスは、好きな異性はいるのか?」
「なんですか突然。まぁ、最近出来ましたけど、それがどうかしました?」
「何故その人が好きだと分かったんだ?」
「ん~、なんて言いますか…一緒にいてて、好きだなぁって感じたから、ですかね」
なんとも抽象的すぎて分からん。
「もっと分かりやすく教えろ」
「分かりやすくったって…。うーん…この人とずっと一緒に過ごせたら幸せだろうな、とか、この人を笑顔にさせたい、とか、この人も俺の事を好きになってくれたら良いのに、とか考えたりして気持ちに気付いた感じ…ですかね」
「なるほど…」
だが、そんなことを皇后に対して考えた事はあったか…?
皇后と出来れば共に過ごしたいとは思う。それに、彼女の笑顔は私の心を暖かくしてくれるので、出来れば彼女には笑顔でいて欲しいとは思う。だが、私の事を好きになって欲しいと思ったことがあったか…?
嫌われたくは無いとは思うが…。
「あ、俺はこの後皇后陛下と書類整理があるので失礼しますね」
「ああ…」
アレックスが退室し、一人きりで皇后への感情について悶々と考える。
が、答えはまだ出そうにない…。
アレックスと皇后に対しての気持ちを話してから数日経った頃、アレックスが皇后からの手紙を受け取ってきた。
手紙に "離婚" と言う文字が書かれていたらどうしよう。と不安が頭によぎってすぐに手紙を開封出来そうにない。
「そんなに睨んでも中身は変わりませんよ」
「…分かっている」
「代わりに俺が開けましょうか?」
「いい」
皇后からの初めての手紙なのだから、アレックスなんかに開けられたくはない。
深呼吸を1度して、意を決して手紙を開封する。
「…………ピクニック?」
「はい。リアム様と正式に親子になれた記念として、落ち着いたこの時期にされるそうです。因みに俺の母親も誘われたらしいですよ」
「………手紙の内容を知っていたのか」
私宛の手紙の内容を先に知っていたことに少し腹が立つ。
どうして私より先にそんなことを知っているんだ。
「手紙を渡される際に教えて頂いたんですよ。それに、俺も誘っていただきましたし」
「なんだと…?」
「そんなに怒らないでくださいよ…」
自分でも驚く程低い声が出たが、俺よりも先にアレックスが誘われたことがとても不愉快だ。今は臨時で皇后の補佐として共に仕事をしているだけなのに、何故アレックスが誘われるんだ。
「誘っていただいたと言っても、あくまでルミリオ様が参加するなら、ですよ。俺はルミリオ様の補佐ですから、ルミリオ様が参加しないなら俺は参加しませんよ」
「…そうか」
アレックスの言葉に不思議と怒りが収まっていく。
「…一丁前に嫉妬するくらいなら皇后陛下が好きだって早く認めればいいのに」
「何か言ったか?」
「いえ、別に。それで、返事はどうされるんですか?」
小声で何か呟いたはずなのに何事も無かったかのように話題を変えたな。嫉妬がどうとか聞こえたが、別に私は嫉妬などしていないので聞き流しておこう。
「返事は………断っておいてくれ」
「またですか?今回は皇后陛下だけではなく、リアム様やアイリ様までいらっしゃるのに」
「それは分かっている」
だが、まだ彼女に会う心の準備が出来ていない。それに、せっかくマーガレットや他のメイドも来るのなら、私が居ない方が楽しめるに決まってる。
「皇后には、楽しんできてください。と伝えてくれ」
「本当にいいんですか?」
「ああ」
「………はぁ…わかりました。後悔しても知りませんからね」
「ああ」
そういえば、アレックスは呆れながら退室した。
おそらく皇后に返事をしに行ったのだろう。
誘ってもらえたのは正直嬉しいが、私なんかが参加しない方がきっと皇后達も楽しめるはずだ。
そう考えて、休んだ分を挽回するため仕事に打ち込んでいると、夕方辺りにマーガレットが訪ねてきた。
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