平和への使者

Daisaku

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使者の遺志

16話 遺言と遺志

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「それでは、大臣お願いします。」

「あー、わかった、ゴホン、それでは、飛島ヤエさんの遺言・遺志にについての概略を話します。2年前に国務大臣に就任した時の引継ぎとして、はじめて、飛島さんの話をお聞きした、
これは、第二次世界大戦時から、日本人の飛島ヤエさんが世界を渡り、人類を滅亡の危機から救ってくれた救世主であること、そして、
ソ連・アメリカ・ドイツ・イギリス・フランスなどの国々が飛島さんに寄付された資産を
わが日本国で管理してきた。これから、渡辺が細かい法的な話をしていくと思いますが、
どうか、飛島ヤエさんの思いをマリさんには裏切らないでいただきたい。
そして、世界がこれからも平和であり続けるために賢明な判断をくだしてほしい。
マリさんはまだ15歳で難しいかもしれない。
しかし、たくさんの人たちが平和で幸せに生きている世界、マリさんの人生を誇れるものとして、今後、歩んでいただきたい」

マリはきょとんとした顔で話を聞いていた。

「それでは、ここにいる3名も同様に飛島マリさんの許可なしに外部へ口外するこができません。日本ではこの件の全容を知る人間はここにいる3人の他にわずかしかいません。
総理大臣もご存じありません。それでは、マリさん進めてもよろしいですか」

「は・・い」

「今から7年前、飛島ヤエさんから遺言書と遺志書を日本国としていただきました。
それでは、飛島ヤエさんのご指示通り、遺志書からお伝えします。冴島さん、お願い」

「承知しました」

冴島はカバンからノートパソコンを出して、録画映像をスタートさせた。

「マリ、久しぶりね」

そこには、おばあちゃんがいた。相変わらず、90歳近い老人には見えない姿がそこには、
はっきりと映っていた、マリは世界中でおばあちゃんが一番好きで、顔が見れて、
うれしくて涙が目からあふれそうになった。

「15歳の今日、政府の方々が急に来て、びっくりしたでしょう。なにも言っていなくて、
すまなかったね。今、話を聞いた通り、ばあちゃんは昔、一生懸命生きて、頑張っていった結果、世界を救った救世主なんて言われて、
いろんな国がお礼とこれからも世界平和に貢献してほしいってことになって、たくさんの資金をいただいたの。本当は、マリの父さん、譲二に全てを委ねたかったんだけど、マリも知っての通り、病弱で、運動も全然できなかったから、何も伝えることもできずに、私より先に亡くなってしまって、本当に悲しかった。
もう、ダメかと思ったら、マリ、あなたが、生まれて、小さい時から、本当に元気で頭も良くて、私が教えることもどんどん吸収していったから、この子を後継者にしようと決めたんだよ、本当は直接言いたかったけれども、
わたしも体の調子が悪くなってきているし、今のマリでは、幼すぎて全く理解できないだろうから、国にお願いして、ビデオを取ってもらったんだよ。
マリはばあちゃんを直接みないと、気持ちが伝わらないんじゃないかと思ってね。」

マリはおばあちゃんの話を一生懸命聞いていた。

「マリ、あんたには、体術や、教養などは教えたけど、同じ年くらいの子との付き合い方などは教えなかった。たぶん、お前は普通の子とだいぶ違う育て方をしたから学校生活はいじめなんかに合い苦労しているんじゃないかね、でも、いじめられて、弱い立場の人の気持ちを十分に知らない人間は、将来、ロクな人間にはならないんだよ。
そして今日から、マリには変わってもらいたい、いや、変わってくれ、世界には、
今日食べるご飯もない人がいる、病気でも医者もいないところ、住むところや仕事がない人、
貧乏な生活をしている人はね、世界人口の半分以上もいるんだよ。
こんな話、あんたは関係ないと思うかもしれない。でも、あんたがもし、普通の生活をして人生を終えたら、ばあちゃんが頑張ってきた道も
あんたに教えたすべてが全部、無になってしまうんだよ。だから、遺志を受け継いでほしい。
たくさんの人を助ける人になってほしい、その気持ちがあれば、道は開き、正しいことをしていれば、人は集まってくるんだよ。
多くの人が回りに流されて生きているけど、意思あるところに道ありという気持ちを
ずっと持ち続けてほしい、最後にマリ、ばあちゃんはあんたに会えて、最高に幸せだったよ。
人生が消える前にダイヤの原石に会えたこと、私の生きた遺志を受けづくことで、
ばあちゃんはずっと、マリの中で一緒に生きていける、マリ元気で」

ヤエは最後に満足そうな顔をしていたのが、印象的だった。
そしてマリは黙って真剣に聞いていた。ユウキはその真剣な横顔を見て、
かつて、一緒に戦った、ヤエの横顔とそっくりだと思った。映像はおわり、
しばらくその部屋に静尺な時間が流れた。

「それでは、遺言書の説明をいたします。マリさんよろしいですか?」

マリは目の涙を拭きながら

「はい、お願いします」

「それでは、次に遺言書の説明をさせていただきます。
次に記載のものすべてを飛島マリに相続する。
一つ、日本5か所に存在する土地・建物すべて場所は東京・山梨・名古屋・大阪・福岡
所在は別紙に添付
一つ、先場所に保管している、金、通貨、宝石、美術品のすべて
一つ、世界5か国での国籍の所持、国籍はアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・ドイツ
一つ、日本国と国交があるすべての国での税関の免除(政府高官と同等とする)
一つ、身の安全を確保するための日本国機関での警護・保護、以上が主だった内容となります。別紙に詳細は記載してあります。
マリさん、相続のご意思はありますか」

マリはぼ~として、15歳の私に大人が何を言っているのか、
何かだまされているのではないかと考えていた。
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