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暗躍組織 〈捜索編〉
82話 捜索
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フランス軍陸軍諜報部トニー少尉は観光客にまぎれて、第3国経由でムセビア国に入国した。
人口約3千万人のこの国は原油が豊富に出ることから、原油を輸出するこで、多くの国ともつながりがあり、その資金力で武器や食糧はもちろん、インフラ整備、その他の技術的な供与もあり、都市部では近代的な都市が造られているが、その反面、それ以外の地域では貧しい人が多く、現在では、貧富の差もそうだが、軍事政権による、国民への締め付けで、国のあちこちでテロや暴動が起きている。1年前の違法選挙も引き金になり、今は内線状態になりつつあった。
「ふ~、やっと着いたか。数年前は近代的な都市で、たくさんの観光客も来ていたこの国が、今では、街のあちこちの建物が壊れ、あまり、街に出る人の数も少なくくなっているようだ。本当にひどいな、これは」
他の諜報員との合流は明日の夜のため、トニー少尉は今晩は、安全地区のホテルに滞在する予定だ。これから任務を実行して、1日でも早く帰国して、父の農場に戻りたい気持ちでいっぱいだった。
そんな時、パリの高校でマリは授業で相変わらず、頭が湯沸かし器のように沸騰して、授業を真剣に聞いていた。
「マリ、今、説明したところは理解できたのか?」
「先生、第一外国語は、私には、厳しすぎます。フランス語だって、まだ理解できていないのに、スペイン語なんて、ついていけません」
「マリは、数学や物理など、他教科はまあまの成績だから、落第はないが、明日から、夏休みに入るんだ、イブやユウキによく教わって、休み明けに先生を驚かせてくれよ、マリにはた~ぷり宿題をプレゼントしてあげるからな」
マリはほっぺたを膨らませて、先生をにらんだ。その様子を隣で見ていたイブはゲラゲラと笑っていた。
「マリ~、午前中の楽しい授業もやっと終わったね。ランチ食べに行こうよ」
「そうだね、早く行こう、もう、疲れたよ、本当に」
「マリ、やっと明日から、夏休みだから、しばらく、仕事に集中できるね」
ユウキは、やはり、学校より、仕事の方が好きみたいだった。
「そうだね。局の仕事もして、ある程度、成果を出さないと、いけないしね。はあ~、でもお腹空いたな~、でも、フランスの高校生は昼休みが2時間以上あって、結構、自宅までごはんを食べに帰る生徒が多いよね。本当に不思議な習慣だよね」
「たしかに、私達みたいに近くのレストランでランチを食べる人はあまり、いないよね。まあ、我々の情報局はここから、かなり離れているから、昼だけ戻るなんて無理だけどね」
マリ達が、行きつけのレストランでランチを注文した時にカミーユ大尉から連絡が入った。
「マリ、カミーユです。エマから、指示を受けましたが、まず、トニー少尉は偶然ですが、アンナ軍曹の昔の教官仲間で知り合いです。それと、アンナは以前にトニー少尉に会いにいきましたが、消息が全くわからなくなっていました。現在も所在を追っていますが、やはりは軍は知らぬ、存ぜぬを
繰り返しています」
「そうですか、任意な捜査で聞いているとはいえ、もう少し軍も融通を効かしてくれてもいいのにね」
マリが頭を抱えている様子をみてイブが
「マリ、どうしたの?」
「なんかね、軍がトニーがどこに行ったか、聞いても、教えてくれないんだって、困ったな」
イブはまた、手をパチンとたたいて
「マリ、ちょっと電話変わってくれる」
「はい、おーイブだ、カミーユか?」
「そうです」
「土曜日はずいぶん楽しそうだったな」
「え、何のことですか?」
「まあ、今はいい」
「おい 、トニーの所属していた基地は遠いのか?」
「イブさんの学校からなら、車で40分ぐらいです」
「よーし、今日、学校終わってから16時頃に、その基地にいくから、その、上官とアポを
取っておいてくれ。それとカメラ、もしくは、セドリックに言って、ひそかに録音できる装置とできれば隠して携帯して、持ってきてくれ。待ち合わせ場所は葉子に送っておいてくれ」
「了解」
「お前たちに、相手から話しを聞きだす方法を教えてやる、やはり、私がいないと、お前たちはなかなか、捜査が進まないな、まあ、私を頼ることは悪いことではないぞ。アハハハ」
カミーユはまた、あとで、いじられると思い、毎度のことながら、悔しい思いでくちびるをかみしめた。
「マリ、聞いてのとおりだよ。帰りにパリ郊外の陸軍の基地に行きましょう」
「いいわよ、でも、イブ、また変なことをしないでよ」
「大丈夫だよ。軽ーく、話を聞くだけだからさ」
ニコっと、イブは笑った。
学校も終わり、いつも通り、葉子とクロードが1台の車で学校そばまで迎えに来てくれていた。
すぐに、マリ達は車に乗り、陸軍基地へ向かった。
「葉子、連絡入ったかな?」
「はい、基地内の駐車場で待ち合わせをして、大勢では行けないので、マリさん、イブ、ドニーズ中尉の3人で基地建物内に行くことで許可をもらったそうです」
「わかった。葉子、話が終わるまで、基地の駐車場で待っていてくれ」
「わかりました。くれぐれも、マリさんに危険がないようにしてくださいよ。本当なら、私も行きたいところですけど」
しばらくして、パリ郊外の陸軍基地に着いた。とても広い敷地の中に建物や倉庫などがところどころ建っていた。
基地の駐車場では、ベルナールとアンナが車で待機しており、そこから、ドニーズ中尉がおりてきた。
「お待ちしてましたよ。それでは行きましょう」
3人は陸軍の建物に入って行った。
人口約3千万人のこの国は原油が豊富に出ることから、原油を輸出するこで、多くの国ともつながりがあり、その資金力で武器や食糧はもちろん、インフラ整備、その他の技術的な供与もあり、都市部では近代的な都市が造られているが、その反面、それ以外の地域では貧しい人が多く、現在では、貧富の差もそうだが、軍事政権による、国民への締め付けで、国のあちこちでテロや暴動が起きている。1年前の違法選挙も引き金になり、今は内線状態になりつつあった。
「ふ~、やっと着いたか。数年前は近代的な都市で、たくさんの観光客も来ていたこの国が、今では、街のあちこちの建物が壊れ、あまり、街に出る人の数も少なくくなっているようだ。本当にひどいな、これは」
他の諜報員との合流は明日の夜のため、トニー少尉は今晩は、安全地区のホテルに滞在する予定だ。これから任務を実行して、1日でも早く帰国して、父の農場に戻りたい気持ちでいっぱいだった。
そんな時、パリの高校でマリは授業で相変わらず、頭が湯沸かし器のように沸騰して、授業を真剣に聞いていた。
「マリ、今、説明したところは理解できたのか?」
「先生、第一外国語は、私には、厳しすぎます。フランス語だって、まだ理解できていないのに、スペイン語なんて、ついていけません」
「マリは、数学や物理など、他教科はまあまの成績だから、落第はないが、明日から、夏休みに入るんだ、イブやユウキによく教わって、休み明けに先生を驚かせてくれよ、マリにはた~ぷり宿題をプレゼントしてあげるからな」
マリはほっぺたを膨らませて、先生をにらんだ。その様子を隣で見ていたイブはゲラゲラと笑っていた。
「マリ~、午前中の楽しい授業もやっと終わったね。ランチ食べに行こうよ」
「そうだね、早く行こう、もう、疲れたよ、本当に」
「マリ、やっと明日から、夏休みだから、しばらく、仕事に集中できるね」
ユウキは、やはり、学校より、仕事の方が好きみたいだった。
「そうだね。局の仕事もして、ある程度、成果を出さないと、いけないしね。はあ~、でもお腹空いたな~、でも、フランスの高校生は昼休みが2時間以上あって、結構、自宅までごはんを食べに帰る生徒が多いよね。本当に不思議な習慣だよね」
「たしかに、私達みたいに近くのレストランでランチを食べる人はあまり、いないよね。まあ、我々の情報局はここから、かなり離れているから、昼だけ戻るなんて無理だけどね」
マリ達が、行きつけのレストランでランチを注文した時にカミーユ大尉から連絡が入った。
「マリ、カミーユです。エマから、指示を受けましたが、まず、トニー少尉は偶然ですが、アンナ軍曹の昔の教官仲間で知り合いです。それと、アンナは以前にトニー少尉に会いにいきましたが、消息が全くわからなくなっていました。現在も所在を追っていますが、やはりは軍は知らぬ、存ぜぬを
繰り返しています」
「そうですか、任意な捜査で聞いているとはいえ、もう少し軍も融通を効かしてくれてもいいのにね」
マリが頭を抱えている様子をみてイブが
「マリ、どうしたの?」
「なんかね、軍がトニーがどこに行ったか、聞いても、教えてくれないんだって、困ったな」
イブはまた、手をパチンとたたいて
「マリ、ちょっと電話変わってくれる」
「はい、おーイブだ、カミーユか?」
「そうです」
「土曜日はずいぶん楽しそうだったな」
「え、何のことですか?」
「まあ、今はいい」
「おい 、トニーの所属していた基地は遠いのか?」
「イブさんの学校からなら、車で40分ぐらいです」
「よーし、今日、学校終わってから16時頃に、その基地にいくから、その、上官とアポを
取っておいてくれ。それとカメラ、もしくは、セドリックに言って、ひそかに録音できる装置とできれば隠して携帯して、持ってきてくれ。待ち合わせ場所は葉子に送っておいてくれ」
「了解」
「お前たちに、相手から話しを聞きだす方法を教えてやる、やはり、私がいないと、お前たちはなかなか、捜査が進まないな、まあ、私を頼ることは悪いことではないぞ。アハハハ」
カミーユはまた、あとで、いじられると思い、毎度のことながら、悔しい思いでくちびるをかみしめた。
「マリ、聞いてのとおりだよ。帰りにパリ郊外の陸軍の基地に行きましょう」
「いいわよ、でも、イブ、また変なことをしないでよ」
「大丈夫だよ。軽ーく、話を聞くだけだからさ」
ニコっと、イブは笑った。
学校も終わり、いつも通り、葉子とクロードが1台の車で学校そばまで迎えに来てくれていた。
すぐに、マリ達は車に乗り、陸軍基地へ向かった。
「葉子、連絡入ったかな?」
「はい、基地内の駐車場で待ち合わせをして、大勢では行けないので、マリさん、イブ、ドニーズ中尉の3人で基地建物内に行くことで許可をもらったそうです」
「わかった。葉子、話が終わるまで、基地の駐車場で待っていてくれ」
「わかりました。くれぐれも、マリさんに危険がないようにしてくださいよ。本当なら、私も行きたいところですけど」
しばらくして、パリ郊外の陸軍基地に着いた。とても広い敷地の中に建物や倉庫などがところどころ建っていた。
基地の駐車場では、ベルナールとアンナが車で待機しており、そこから、ドニーズ中尉がおりてきた。
「お待ちしてましたよ。それでは行きましょう」
3人は陸軍の建物に入って行った。
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