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第1章 異世界転移と旅立ち

第5話 教会へ挨拶と生活魔法

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 「おはよう。」

 (おはようございます。)

 早く寝たおかげで6時前には気分はスッキリと目覚められた。
 クリーンでキレイにはなっているのだが、気持ち的に水で顔を洗いたいので井戸で顔を洗ってから、スープとパンの朝食をいただいた。

 《さて今日は何をしようかな?魔法が使ってみたいと思うが。》

 部屋でアリスに念話で話しかけると。

 (今日はまず教会に行きましょう。ヤストはまだ神様とお会いしていないと思いますので、お話をしてから。魔法の練習をしましょう。)

 《そうだったな。教会に行ってみよう。》

 宿屋で道を聞き、歩いていると白い大きめの建物が見えてきた。
 中に入るとイスを並べた部屋の一番前に祭壇が見え、そこに40代の白いローブを着た男性が祈りを捧げていた。

 「すいません。旅人のヤストと言いますが、お祈りをしてもよろしいですか?」

 「もちろんどうぞ。私は神父のニコラです。神は全ての人に平等ですから。」

 笑顔で挨拶をされ席を譲ってくれたので、祭壇の前でアリスとひざまずき祈りを捧げたとたん、



 「よく来てくれたヤスト。昨日ぶりじゃのアリス。」

 目を開けると真っ白な空間に、白髪で髭を生やしたいかにも神様な老人がニコニコと笑顔で立っていた。

 「わしはこの世界の神アトゥムじゃ。アリスは転移時に話をしたが、ヤストは初めてじゃな。まずは異世界への転移に巻き込んでしもうた事を謝りたい。すまなかった。」

 頭を下げる神様に恐縮しながらも落ち着いてきたので話をした。

 「まずは頭を上げて下さい。私が自分の意思で猫を助けようとしただけですし、アリスにも話をしましたが、こちらの世界の方が人生を楽しめると思いますので大丈夫ですよ。こちらこそギフトとをありがとうございました。」

 「そう言ってくれれば助かるわい。若返りも気に入ってもらえたみたいだの。」

 「あのままではダイエットから始めないといけなかったので、健康でたくましい身体もありがたいです。あとアリスに聞いたのですが、私は自由にしても大丈夫なのですよね。アリスも私と一緒に自由にしても大丈夫なのですか?」

 「おぬしは巻き込まれただけなので自由にしてもらってもかまわないぞ。アリスはわしの気まぐれでこっちの世界で生きてもらおうと思っただけなのでアリスがヤストに付いて行きたいと言えばアリスの意思に任せる。アリスは昨日話をしてあるし【世界辞書】もあるからいろいろ教えてもらえばよいぞ。」

 「ありがとうございます。冒険者となりこの世界を見て廻り楽しんで生きたいと思っております。」

 「うむうむ。困ったことがあれば教会や神殿にて祈りを捧げ、わしの名前を呼ぶが良い。困ったことが無くても顔を見せにくればよいぞ。」

 優しい笑顔を見せながら、慈愛の瞳でおれとアリスを交互に見ながら話をしてくれた。

 「この世界は地球とは違い命の危険が多いので気をつけるんじゃよ。また会おうぞ。」

 言葉と共に、祈りの姿勢のままの現実に戻ってきた。
 ニコラ神父にお礼を言い、1銀貨の寄付をしてから教会を後にする。

 (優しい神様ですね。猫の私にも優しく話しかけていただきました。ヤストとこうして話を出来るようにもしていただけましたしね。 また祈りを捧げに行きましょう。)
 
 「そうだな。また行こうな。」

 (はい。それでこれから村の周辺で魔法の説明と練習をしたいと思いますがそれでよろしいですか?)

 《おお! ついに魔法か、ぜひお願いするよ。》

 並んで歩きながら村の入り口を目指すと、ガイムが欠伸をしながら門番をしていた。

 「おはよう。ヤストはお出かけか?」

 「ああ、散歩して身体を慣らしてくるよ。」

 「わかった。村の周辺には強い魔物はいないが十分に気をつけてな。」

 手を上げて礼を言いながら、森の近くまで来た。

 (まずは魔法の説明からしますね。)

 アリスの説明をまとめると、


 ・魔力は植物・動物・魔物・人間等生きているものには全て備わっている。魔力を持つ特殊な金属・石もある(魔石もその1つ)。

 ・魔力は心臓(魔物は魔石)を中心に血液の様に全身を回っているが、その魔力を外に放出する事が魔法となる。

 ・それぞれに属性があり持っている属性の魔法を使うことが可能。スキル等で属性が増える場合もある。(生活魔法は日常目にするものであるので属性は問わない、ただしスキルは必要。)

 ・詠唱は必要なくイメージ(想像力)で魔法を使う。魔法に名前を付けるのはイメージをしやすくするため。

 ・魔力が0になると気を失う。


 説明を受けた後に、アリスに言われた通りに目を閉じて魔力を感じてみると、なんとなく何か不思議な力が身体を廻っているのを感じとれた。

 「アリス、この血液とは違う身体を廻っているのが魔力なのか?」

 (ええ、感覚としてはそのような感じです。では指先に魔力を集中させるつもりでこのように水を出してみる練習をしましょう)
 (ウォーター)

 そう言いながら、持ち上げたアリスの右前足からチョロチョロと水が流れ出した。

 「こうか。 ウォーター」

 アリスのマネをすると、指先からポタポタと水滴が落ちていった・・・

 (十分です。スキルを持っていないのに水滴が出るのは適正もありますし、魔力の使い方も出来ているということです。練習すれば必ず使えるようになりますよ。)

 ポタポタ落ちる水滴に泣きそうになったが、アリスの言うことを信じてがんばってみた。

 「ウォーター」
 「ウォーター」
 「ウォーター」
 「ウォーター」
  ・
  ・
  ・
 「ウォーター」
 「ウォーター」

 もう何十回かポタポタを繰り返したところで、

 『スキル生活魔法を取得しました。』

 どこからともなくアナウンスが聞こえたが、そのまま魔法を唱えていると、

 「ウォーター」

 チョロチョロと指先から水が出てきた!!

 「おお!!! 生活魔法を取得と声が聞こえたとたん出来るようになった!!」

 (おめでとうございます。無事にスキルも取得して、魔力も使えるようになりましたね。続いて指先から火を出すファイアもしてみてください。)

 「ファイアーー!」

  ボッ!
 
 また例の病気が出てきそうだが、初魔法は嬉しくてしかたがない。直径10センチくらいだが無事に火が指先から出ていた。
 
 (これで生活魔法は大丈夫ですね。生活魔法も清潔を保つクリーンや、風を送るウインドなどがありますので少しずつ覚えていきましょう。ヤストのMPは大丈夫ですか?)

 アリスに言われてステータスを開いてみた。


  名前 : ヤスト(城之内 康人)
  種族 : 人間
  年齢 : 20
  職業 : 無職
  LV : 2
  HP : 105/105
  MP :  71/105
  筋力 :  53(+15:ロングソード)
  魔力 :  73
  耐久力 : 53
  敏捷性 : 43
  運  : 100
  魅力 : 100

  ギフト
   【魔眼】【経験】【時空魔法】
  
  スキル
   念話 3
   探知 1
   魔道具製作 1 
   料理 2
   生活魔法 1 

  称号
   【異世界転移に巻き込まれた者】
    異世界言語の通訳読み書きが出来る。能力が平均以上になる。運が高くなる。
   【猫に手を差し伸べた者】
    動物全般から好かれるようになる。魅力が高くなる。
   【アトゥム神の加護】
    スキルが覚えやすくなる。スキル成長が早くなる。アトゥム神と対話が出来る。


 ゴブリンを倒した時としか思えないが、いつの間にかレベルが上がっていた。生活魔法も無事に習得出来ている。
 
 「レベルが2に上がっていたよ。MPはまだ71残っている。 あと神様から加護をいただいたおかげでスキルを覚えるのが早かったみたいだ。」

 (そうですか。MPはまだ大丈夫そうですが、少し休憩しましょう。ちなみにMPは1時間で最大MPの20%程度が回復すると言われています。)

 そう言いながら、アリスが近くで落ち着いたので、おれも地面に腰を下ろした。
 
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