黒猫と異世界転移を楽しもう!

かめきち

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第1章 異世界転移と旅立ち

第34話 訓練2 町

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 朝まで全く目は覚めなかったが、起きたときには気分もスッキリしていて、いつもとは逆にアリスを起こした後朝食を食べた。
 今日は昨日の予定通りにまずは冒険者ギルドに向かう。


 「おはようございます。」
 
 ヤストを見てすぐに挨拶をしてくれるルイーズに話しかける。

 「おはようございます。 魔物と宝玉はどちらに持っていけばよろしいでしょうか?」

 「こちらにお願いします。」

 ルイーズに案内され、魔物用倉庫の奥に行く。

 「まずは魔物をこちらにお願いいたします。」

 「分かりました。 今回は魔石も必要ですよね?」

 「ええ、魔石も調べさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。」

 「分かりました。」

 Cランク魔物の魔石は今のところ手に入らないなので、惜しいような気がしたが、調査を丸投げする為にも渡すことにした。
 続いて、魔物用倉庫から出て少し歩いたところに厳重な倉庫があり、その中に入っていく。
 目の前にはキレイに装飾された白い箱がある。

 「この箱が先日ギルドマスターが話されていた魔法効果を遮断する箱です。 今から開けますのですぐに入れていただけますか?」

 「分かりました。」

 30秒ほどで毒の付与がされるのは、実体験済みなので焦らずに取り出せるようにする。
 ルイーズが箱を開けてすぐにアイテムボックスから宝玉を取り出し中に収める。

 「ありがとうございました。 宝玉を鑑定させて頂きましたが間違いなく毒の宝玉です。 報酬もご用意してありますので、面接室に一緒にお願いいたします。」

 報酬額がEランク冒険者が受け取るには多い金額なので、面接室を使うのだろう。
 面接室に入りルイーズから報酬を受け取ると、ルイーズが深々と頭を下げている。

 「改めてですが、今回はヤスト様の命を危険に晒させるような事になって、申し訳ありませんでした。 私たち冒険者を送り出す側も冒険者の命を預っているという事を再確認させていただきました。 これからはヤスト様はもちろんヤスト様以外の冒険者の安全も守れるようなギルドとなっていけるようにいたします。」

 頭を下げたルイーズの頭をあげてもらい、ヤストは少し考えた後、

 「私は今回で自分の甘さを感じました。 今命があるので甘さも感じることが出来ますが、今回の調査で危険な目に遭わなければ、いずれもっと危険な目に遭い命を落としていたでしょう。 私自身は今回は良い経験となりましたが、冒険者全員の危険が少しでも少なくなるようによろしくお願いいたします。」

 「かしこまりました。 ありがとうございます。」

 再度頭を下げられながら、ギルドでの話しは終わった。


 次に魔道具屋のラーレのもとに向かう。

 「おはようございますラーレさん」

 「おはようございます、何かお久しぶりですね。」

 笑顔で迎えられ少し話をしていると、ラーレさんが切り出してくれた。

 「ヤストさん、何かご用があったんじゃないですか?」

 「えぇ、実は付与の事でお聞きしたいことがあってよらしていただきました。」

 ラーレに聞いたところ、

 毒や麻痺の付与は、属性が一致していて高品質な魔石が一番付与効果が高く、次に水晶等の宝石、続いて他の属性の魔石や属性が合っても低品質の魔石には付与効果があるらしい。
 鉄や金銀等の鉱石は異常状態の付与は難しく効果が薄いらしい。

 (ヤスト、HP・MP回復量上昇や、冒険者が良く買っていく魔道具についても聞いてみて下さい。)

 「ありがとうございます。まだお聞きしたいのですが、HP・MP回復量上昇の魔道具は作成可能でしょうか?」

 「可能ですよ。それもやはり高品質の魔石が効果が高いですね。 ヤストさんは冒険者ランクは何になられますか?」

 「Eランクですね、だから高品質な魔石を手に入れるのは難しいですね。」

 「それならば、水晶等の宝石に付与するのが良いでしょうね。 それと魔道具作成スキルのレベルを聞いても大丈夫かしら?」

 「大丈夫です、魔道具作成スキルのレベルは3ですよ。」

 「それならある程度の付与は出来るはずよ。レベル5からは付与する際にこの魔石は適しているとか、付与出来ない事が理解できるはずよ。 がんばってね。」

 「なるほど、ありがとうございます。 あと、参考までにどのような魔道具が冒険者に売れているのですか?」

 「え~と、やはりネックレスやリングはステータスアップが手ごろで売れているわね、ヤストさんが欲しいHP回復量上昇などはどうしても原価も高くなってしまうし、効果も微量なのか売れにくいわね。 あとは生活に関する火をおこす魔道具や、水を出す魔道具は定期的に売れているわよ。」

 「そうなんですね。攻撃とか防御に関する魔道具はいかがでしょうか?」

 「攻撃に使えるような魔道具はそれ自体がアーティファクトになるでしょうし、なかなか市場には出まらわないわ。」

 「そうなんですね。 それでは私はまず鉱山で宝石を採掘して来るべきですね。」

 「宝石を採掘して自分で加工するのが、スキルのレベルも上がるし、自分の思い通りの品物を作れるわ。 鉱山に行くなら私からの依頼で行ってくれたら助かるのだけどどうかしら?」

 「それはもちろん喜んで行かせて頂きます。ラーレさんは何が必要なんですか?」

 「銀のインゴットを2本お願いできるかしら。」

 それからラーレに依頼書をもらい、つるはしを借りにアントンのところに向かうと、せっかく鍛冶スキルがあるのだからとつるはしを作らされていた。
 アントンには今回と帰ってきてからの作業場の代金として鉄のインゴットを5本で話をつける事となった。

 つるはしのおかげでもう夕暮れになってきているので、今日は宿に帰り明日から鉱山に行くことにする。


 夕食を食べて部屋に戻ると、アリスが話しかけてくる。

 (ヤスト、今日もいろいろお疲れ様でした。 宝石を求めて鉱山は良いですね。 宝石に色々と付与してそれで耐性も取得していき、保有スキルもレベルアップしましょう。 他のスキルは【身体強化】ですが魔力を身体に纏わせる事が取得への近道ですので、今晩から始めましょう。)

 「・・・はい」

 アリスは優しさからヤスト自身を強くしようとしてくれているので否定は出来ず、ヤストは黙って魔力を身体に纏う訓練をするのであった。
 しかしアリスのほうを向くと、アリスも一緒に魔力を身体に纏わせていた。

 1人と1匹は汗を掻きながらも、見詰め合うたびに微笑んで訓練を続け、

 「スキル魔力操作を取得しました。」

 と聞こえたところで、一時中断する。

 《アリス、【魔力操作】のスキルを覚えたんだが、》

 (私も覚えられました、【魔力操作】は名前の通り魔法を操作しやすくなります。 【身体強化】の前には取得できる事が多いみたいです。 MPは大丈夫ですか?)

 《なるほどな、おれは大丈夫だが、アリスのほうがきついんじゃないのか?》

 (さすがにずっと魔力を纏った状態は厳しいですね、今日はこれくらいにして休みましょう。)

 MPに余力のあるヤストがクリーンをかけて、ベッドに入った。

 1人では難しいが、2人ならがんばっていけると思いながら眠りについた。
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