夏の想い出

しののい かこ太丸

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病室

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今日は、やけに空があおい。
清々しいというか心が晴れ晴れする。
ぼーっと病室の窓から空を見上げる…いつも通りだ。

ガラガラ-。 

「午前の診察に来ましたー、ってあら、雅(みやび)君じゃない。」

三十代後半くらいのナースが、乃々華(ののか)の診察をしに、病室へ来た。

「あ、どうも。じゃあ、俺はこれで」

「え、もう行っちゃうの?ゆっくりしてていいのよ」

「いや、今日は、」

「あ、そっかー今日から学校ね!やだわ、忘れてた!そうね、いってらっしゃーい」

にこやかに、ナースの佐々木さんが送りだしてくれる。

「ありがとうございます、では」

そう言い残し雅は、乃々華がいる病室を後にする。



二学期なる。夏休みも終わり今日からは、病室に寄ったあとは学校へ行かなければならない。
学校が嫌いなわけじゃない。憂鬱なだけ。少し前まではあんなに楽しかったのに…。

「秋(しゅう)おはよっ」

目の前を歩いていた秋の肩を叩く。秋は、俺の親友だ。眼鏡をかけていて俺よりも少し身長が低くとても大人しい。

「うわっ!び、ビックリさせないでよ、新学期から心臓が止まりそうだよ。」

おまけに、凄く小心者だ。

「ごめんごめん、驚かすつもりはなかった」

少しわらいながら、同時に学校の門をくぐる。

「…今日も病院から来たんだね。」

そらし目に秋がきいてきた。 

「うん。よく分かったね。」

「だって、薬の匂いがするから」 

よく鼻が利くもんだ。自分で袖の匂いを嗅いでみる。確かにふわっと病室の匂いがした。

「…乃々華どう、だった?」

「…いつも通りだった。」

乃々華は、ある日を境に目を覚まさなくなった。いわゆる植物状態だ。
まだ、目を覚まさない。かれこれ1年が経とうとしている。

「乃々華、いつになったら…」

いつになったら…
早く目を覚ましてほしい。乃々華のいない日々がこれ程に孤独で寂しいものなのか。
別に死んだ訳では無いから、まだ、まだ希望はある。

「いつか、起きたら3人でいこうな。海。」

「3人でね」

乃々華は、昔から病弱だった。だから、1度も海へ言ったことがない。
俺たちがいる学校は、窓から海が見えるほど海が近い。いつか、乃々華と秋と俺と3人で行きたいと乃々華が話していた。

いつか、いけたらいいな。

3人で。
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