1 / 1
病室
しおりを挟む
今日は、やけに空があおい。
清々しいというか心が晴れ晴れする。
ぼーっと病室の窓から空を見上げる…いつも通りだ。
ガラガラ-。
「午前の診察に来ましたー、ってあら、雅(みやび)君じゃない。」
三十代後半くらいのナースが、乃々華(ののか)の診察をしに、病室へ来た。
「あ、どうも。じゃあ、俺はこれで」
「え、もう行っちゃうの?ゆっくりしてていいのよ」
「いや、今日は、」
「あ、そっかー今日から学校ね!やだわ、忘れてた!そうね、いってらっしゃーい」
にこやかに、ナースの佐々木さんが送りだしてくれる。
「ありがとうございます、では」
そう言い残し雅は、乃々華がいる病室を後にする。
二学期なる。夏休みも終わり今日からは、病室に寄ったあとは学校へ行かなければならない。
学校が嫌いなわけじゃない。憂鬱なだけ。少し前まではあんなに楽しかったのに…。
「秋(しゅう)おはよっ」
目の前を歩いていた秋の肩を叩く。秋は、俺の親友だ。眼鏡をかけていて俺よりも少し身長が低くとても大人しい。
「うわっ!び、ビックリさせないでよ、新学期から心臓が止まりそうだよ。」
おまけに、凄く小心者だ。
「ごめんごめん、驚かすつもりはなかった」
少しわらいながら、同時に学校の門をくぐる。
「…今日も病院から来たんだね。」
そらし目に秋がきいてきた。
「うん。よく分かったね。」
「だって、薬の匂いがするから」
よく鼻が利くもんだ。自分で袖の匂いを嗅いでみる。確かにふわっと病室の匂いがした。
「…乃々華どう、だった?」
「…いつも通りだった。」
乃々華は、ある日を境に目を覚まさなくなった。いわゆる植物状態だ。
まだ、目を覚まさない。かれこれ1年が経とうとしている。
「乃々華、いつになったら…」
いつになったら…
早く目を覚ましてほしい。乃々華のいない日々がこれ程に孤独で寂しいものなのか。
別に死んだ訳では無いから、まだ、まだ希望はある。
「いつか、起きたら3人でいこうな。海。」
「3人でね」
乃々華は、昔から病弱だった。だから、1度も海へ言ったことがない。
俺たちがいる学校は、窓から海が見えるほど海が近い。いつか、乃々華と秋と俺と3人で行きたいと乃々華が話していた。
いつか、いけたらいいな。
3人で。
清々しいというか心が晴れ晴れする。
ぼーっと病室の窓から空を見上げる…いつも通りだ。
ガラガラ-。
「午前の診察に来ましたー、ってあら、雅(みやび)君じゃない。」
三十代後半くらいのナースが、乃々華(ののか)の診察をしに、病室へ来た。
「あ、どうも。じゃあ、俺はこれで」
「え、もう行っちゃうの?ゆっくりしてていいのよ」
「いや、今日は、」
「あ、そっかー今日から学校ね!やだわ、忘れてた!そうね、いってらっしゃーい」
にこやかに、ナースの佐々木さんが送りだしてくれる。
「ありがとうございます、では」
そう言い残し雅は、乃々華がいる病室を後にする。
二学期なる。夏休みも終わり今日からは、病室に寄ったあとは学校へ行かなければならない。
学校が嫌いなわけじゃない。憂鬱なだけ。少し前まではあんなに楽しかったのに…。
「秋(しゅう)おはよっ」
目の前を歩いていた秋の肩を叩く。秋は、俺の親友だ。眼鏡をかけていて俺よりも少し身長が低くとても大人しい。
「うわっ!び、ビックリさせないでよ、新学期から心臓が止まりそうだよ。」
おまけに、凄く小心者だ。
「ごめんごめん、驚かすつもりはなかった」
少しわらいながら、同時に学校の門をくぐる。
「…今日も病院から来たんだね。」
そらし目に秋がきいてきた。
「うん。よく分かったね。」
「だって、薬の匂いがするから」
よく鼻が利くもんだ。自分で袖の匂いを嗅いでみる。確かにふわっと病室の匂いがした。
「…乃々華どう、だった?」
「…いつも通りだった。」
乃々華は、ある日を境に目を覚まさなくなった。いわゆる植物状態だ。
まだ、目を覚まさない。かれこれ1年が経とうとしている。
「乃々華、いつになったら…」
いつになったら…
早く目を覚ましてほしい。乃々華のいない日々がこれ程に孤独で寂しいものなのか。
別に死んだ訳では無いから、まだ、まだ希望はある。
「いつか、起きたら3人でいこうな。海。」
「3人でね」
乃々華は、昔から病弱だった。だから、1度も海へ言ったことがない。
俺たちがいる学校は、窓から海が見えるほど海が近い。いつか、乃々華と秋と俺と3人で行きたいと乃々華が話していた。
いつか、いけたらいいな。
3人で。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる