癒しと毒の融合愛◆◆心の逃げ場だけでいいのか?久遠の愛を誓う物語◆◆ 【完結】

まぁ

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part 2-6

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夫の帰りが遅いと分かっていたので、駅の向こう側の繁華街にあるカフェバーへ行く。

ここはカフェだけれどアルコールも出すお店で、一人時間にうろうろと歩くうちに見つけた場所。

アルコールなんて高いから注文しないけれど、カフェオレを一杯だけ飲みながら周りの大人な気配だけを感じて現実逃避出来る場所だ。

今日は18時過ぎにカウンターでカフェオレを飲み終わり、仕事帰りの大人な人々の気配を背後に感じ始める。もちろん振り向いてじろじろ見たりしないけれど、24歳の自分がオフィス帰りにこういうお店に立ち寄ることを想像したりする。

コンコン…

空になったカフェオレカップの隣に置かれた大きな手の長い指が、カウンターをタップしたので隣を見上げると

「あ…」

ここで声の記憶が一致した。

「…会ってはいないけれど…以前もここにおられたのかも…」
「ん。隣に座っても?」
「はい…もう帰りますけど」
「一杯だけ飲む。付き合ってくれ」

そう言った藤堂さんの後ろで、福嶋兄弟が私に会釈して離れたテーブルに行く。

「お二人にお礼を言いそびれました。先日はタクシーまでありがとうございました」
「ケガは?」
「大丈夫です」
「ん。何がいい?」

藤堂さんがカウンターの向こう側のメニューボードに視線を向けるけど

「よくわからないんです」

と正直に伝えた。家でビールは飲んだことがあるけれど、可もなく不可もなくという味わいだと感じる。

「アルコールは?」
「ビールを飲んだことがありますけど…そんなに美味しいとは…」
「どのくらい飲んだ?」
「グラスに2杯だと…」
「酔った?」
「いえ…普通だったから酔ってないはず」
「微炭酸水を飲んでたな」

そう言った藤堂さんに頷くと

「ティント·デ·ベラーノを彼女に。黒ビールと」

カフェオレカップを下げて静かに前で待機していた男性店員さんにオーダーしてくれた。
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