癒しと毒の融合愛◆◆心の逃げ場だけでいいのか?久遠の愛を誓う物語◆◆ 【完結】

まぁ

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part 10-6

その夜からの紗栄子は素を思い出したように、身軽になったように、動き始めた。

放置状態のスマホを触っては新しいレシピに挑戦する。

カチューシャを着けてのヘアアレンジも練習する。そして

「龍之介、買い物に行くか…ネットで買うならどのサイトを使えばいい?」

今日は夕食を並べながら買い物の話だ。

「買う物によるんじゃないか?何が欲しい?」
「バレッタ」
「バレッタ…バレッタは俺でも買えねぇ。紗栄子はマルタに行きたいのか?」
「……マルタは行かないんだけど…」
「若、地名ではないかと」
「えっ?芦田さん…地名?龍之介は何を買う気?」
「マルタの首都バレッタをお考えのようです」

いくら島国でも首都は買えねぇ。

「紗栄子さん、若に欲しいものを写真で見せて下さい」

コクン…

今日は福嶋と舞生には夕方から外での仕事をさせ、空雅はカフェバーの人手不足で駆り出された。本家から伊坂もカフェバーに出ている。だから芦田しかいない。

「こういうのがバレッタっていう名前なの」
「…ん」

髪につける物か。

「冬物も買うから近々百貨店に行く。そこまで待たずに、いくつか見てるならすぐに注文していい。これ、紗栄子に似合いそうだ」

いつまでも待つだろうが、欲しいものがあるときに買えばいい。きっとこの画像は気に入ったものだろう。

「でもなぁ…」
「ん?」
「送料がもったいないから、どこかで買う」

紗栄子のスマホを抜き取り、買い物カゴに入れると

「ああぁぁ、そういう無駄はダメだよ、龍之介」
「ちょっと待てよ、紗栄子」

立ち上がって紗栄子の手の届かない高さでサイト内を見る。

「龍之介に意地悪されてる…」
「仲良くされてるんです」
「芦田さんは私の味方じゃないとダメなのに」
「間違いなく、若より紗栄子さんの味方です」
「…ホントかなぁ…」

ずいぶんと芦田にも慣れた紗栄子に

「ん、終了。送料はかからねぇ」

とスマホを返してビールを取りにキッチンへ行く。
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