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差し響く 14
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「…踏まれました」
「こちら側から靴で踏まれた、ということですか?」
手の甲側から踏まれた方向を確認されて頷くと
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。捻ったり、引っ張ったりもしていないですし、痛むけれど動すことは出来る。ヒビは2、3週間の固定は必要ですがややこしいものではないでしょう。明日以降の変化も注意して診ていきますから、問題があればその時に対応しましょう」
先生は、包帯から見えている手の甲や他の指をじっくりと見ながら言う。
「私ももう一度名乗りましょうか?灰谷奈保ピチピチの28歳、人のケガは大好物。ふふっ、ごめんね、玖未ちゃん」
「玖未さん、誤解のないように兄として説明しますが…奈保は人のケガを見てどれだけキレイに早く治せるか、というのに神経を注ぐワケです。そこに全力で向き合ってニヤニヤしている妹ですが、ちゃんとした医者です」
「入院患者と向き合うのは嫌だけど、非常勤で救急外来には好んで行きまーす。急患大好きなのっ、大きい声では言えないけどね」
そうですか…十分大きい声です。ある意味、今夜は私がその‘大好物’の対象ですね。
そのあと、奈保先生が頭と背中を診て、肩甲骨辺りの傷を治療したあと、頭を洗うと言う。
「この程度なら放っておいていいけど、清潔にしないと。洗面台のシャワーでシャンプーしてあげる」
指は固定されているし、両手首にも包帯が巻かれている。しばらくシャンプーは問題あるな…
すでに体は奈保先生が綺麗に二度拭いてくれた。足も治療の際に特に丁寧に熱いタオルで綺麗にしてもらっている。
髪もあちこちに擦り付けて汚いだろうから、今日はお願いするしかない。
奈保先生に肘を掴まれ洗面所へ向かう途中、見慣れた顔の彼らに聞いてみた。
「ぁの…」
「ん、玖未?」
「…誰か…髪を切れる人…ここにいま…?」
「「「どうして?」」」
すか?まで聞かずに、ワイルドイケメンとガセキラースマイルイケメンと奈保先生の声が揃う。
「…シャンプーしてもらうのが大変だから…この辺でブチッと…」
「ダメだ。そんな理由で綺麗な髪を切ることない。数日のことだろ?髪をそんなに切ったら、ここまで伸ばすのに何年かかる?諦めたような切るという決断だから却下。ポジティブな決断なら何でもオーケーだがな。行って来い。ドライヤーは俺がしてやる」
そうそう、と言いながら元気に歩く奈保先生を見て、今何時だろう?
今夜はもう終わるのだろうか…と何となくホッとした。
「こちら側から靴で踏まれた、ということですか?」
手の甲側から踏まれた方向を確認されて頷くと
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。捻ったり、引っ張ったりもしていないですし、痛むけれど動すことは出来る。ヒビは2、3週間の固定は必要ですがややこしいものではないでしょう。明日以降の変化も注意して診ていきますから、問題があればその時に対応しましょう」
先生は、包帯から見えている手の甲や他の指をじっくりと見ながら言う。
「私ももう一度名乗りましょうか?灰谷奈保ピチピチの28歳、人のケガは大好物。ふふっ、ごめんね、玖未ちゃん」
「玖未さん、誤解のないように兄として説明しますが…奈保は人のケガを見てどれだけキレイに早く治せるか、というのに神経を注ぐワケです。そこに全力で向き合ってニヤニヤしている妹ですが、ちゃんとした医者です」
「入院患者と向き合うのは嫌だけど、非常勤で救急外来には好んで行きまーす。急患大好きなのっ、大きい声では言えないけどね」
そうですか…十分大きい声です。ある意味、今夜は私がその‘大好物’の対象ですね。
そのあと、奈保先生が頭と背中を診て、肩甲骨辺りの傷を治療したあと、頭を洗うと言う。
「この程度なら放っておいていいけど、清潔にしないと。洗面台のシャワーでシャンプーしてあげる」
指は固定されているし、両手首にも包帯が巻かれている。しばらくシャンプーは問題あるな…
すでに体は奈保先生が綺麗に二度拭いてくれた。足も治療の際に特に丁寧に熱いタオルで綺麗にしてもらっている。
髪もあちこちに擦り付けて汚いだろうから、今日はお願いするしかない。
奈保先生に肘を掴まれ洗面所へ向かう途中、見慣れた顔の彼らに聞いてみた。
「ぁの…」
「ん、玖未?」
「…誰か…髪を切れる人…ここにいま…?」
「「「どうして?」」」
すか?まで聞かずに、ワイルドイケメンとガセキラースマイルイケメンと奈保先生の声が揃う。
「…シャンプーしてもらうのが大変だから…この辺でブチッと…」
「ダメだ。そんな理由で綺麗な髪を切ることない。数日のことだろ?髪をそんなに切ったら、ここまで伸ばすのに何年かかる?諦めたような切るという決断だから却下。ポジティブな決断なら何でもオーケーだがな。行って来い。ドライヤーは俺がしてやる」
そうそう、と言いながら元気に歩く奈保先生を見て、今何時だろう?
今夜はもう終わるのだろうか…と何となくホッとした。
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