さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

第九話 15

　正宗とオーナーには伝わってしまったであろうが、そっと何気なくソファーに浅く座る。

　リンカさんたちはお酒を作り始め私も、と思うが正宗の手が背中を這っている。抗議しようとした時、彼は私の髪を避け

「「チッ……」」

　正宗とオーナーの舌打ちに見舞われた。バレたかな…自分で状態を見ていないので見た目がわからないが少し赤いくらいならバレないだろう。

「何かありましたか、高須様？オーナー？」
「やはり私たちがお酒をお作りいたしましょうか？」

　ダブル舌打ちを聞いてリンカさんたちは嬉しそうに声を上げる。

「マコちゃん、ママに髪やってもらったの？可愛いね」

　オーナーが大きい声で言うと

「オーナー、私たちがやったんですよ」
「はい、マコちゃんに似合うように頑張りました」

　リンカさんたちはさらに嬉しそうな声で体をくねらし言う。

「お湯割り」

　正宗が一言だけ言うと、黒服が退室……

　潤と駿は結局ウーロン茶を飲んでいるようだ。リンカさんたちが作ったお酒は行き場を失いウイスキーのお湯割りの準備が私の前に置かれた。私が手を伸ばすと正宗に腰を抱き寄せられ届かない。

　オーナーが

「マコちゃんはそこに居て。虎が暴れるから」

　と訳のわからないことを言い潤と駿を一瞬見てから、綺麗な二つの耐熱グラスを温めるための熱湯を注ぐ。

　潤と駿は何故か立ち上がり私たちのソファーの後ろ立った。正宗の腕が私から離れると同時に……彼は二つのグラスの熱湯をリンカさんとレイナさんに浴びせた。