さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

アフターストーリー 4

　あと数歩で裏道への曲がり角というところで

「「キャー、オーナーお疲れ様でーす」」
「「今日来て下さーい」」
「「今からどの店ですかぁ？」」

　5、6人のお姉さんたちに囲まれた。もちろん組員さんが間に立つのだが、出勤前に綺麗にヘアメイクを済ませドレスにコートを羽織ったお姉さんたちの勢いは物凄い。彼女達は組員さんのことも見慣れていて気にならないのかな…組員を飛び越えそうな勢いだ。

「激しいね…」

　思わず呟くとリッキーがブッと吹き出してから

「どこの繁華街も似たり寄ったりだろ？高須では行かない？」
「行かない。ひたすらお店の収支入力はしてる」
「くっくっ…働き者だからねぇ、綸ちゃんは」

　リッキーはお姉さんたちに答える気がないらしく、私と話しながらゆっくり進み続けるが…じわじわと行く手を阻まれる。

「お揃いの髪は妹さんですかぁ？」
「キャハハッ…」

　この声にリッキーの雰囲気が変わった。言葉というよりは人を馬鹿にしたような口調が気になったのだろうか…？

「今の誰？」

　組員がサッと割れて声の主が現れる。

「お前、そこのジュリだな？」
「あー嬉しいー名前覚えてもらってたんですねー」
「で？さっきの質問は何？」
「隣は妹さんですかぁ？」
「なぜそんな事を聞く？」
「えっと、妹さんならそれよりジュリ達と飲んだり遊ぶ方が楽しいかなって思って…ねぇ？」

　ジュリというお姉さんは隣で一緒に笑っていたであろう人に同意を求めた。

「そうですよぉ、オーナー。誰か知りませんけどうちらの方が良くないですかぁ？」