さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

まぁ

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3月SS 11

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 ヤクザの本家屋敷から小学生が集団登校するような異様な光景を、綸は当たり前のように見えなくなるまで見送ってから門の内側へ戻ろうとして、周りの組員の人数に気づいたようだ。

「おはようございます。朝のお忙しい時間にすみません。ありがとうございました」

 綸は組員全員に向かって頭を下げた。その首にネックレスが光っていることに俺は満足し

「綸、戻るぞ」
「うん、正宗ちょっとこれ持ってくれる?落ちそう」

 歪んだ紙工作のようなものを落とさないようそっと歩く彼女を手伝い、一旦部屋に戻る。子ども達が折り紙などで作ったメダルや賞状、花、カードを綸は並べ

「嬉しいな…みんなに喜んでもらえてるんだね…組員さんがみんな良い人だから子ども達も良い子だね」

 と眺める。

 正直、俺には花に見えないものだったし、俺のネックレスの上から歪んだメダルを首に掛ける綸を止めようかとも思ったが大人な振りで

「そうだな」

 と相づちをうっておいた。その後俺は出勤したのだが、綸は俺より忙しい1日を過ごしたと、夕方伊東からの連絡で知った。

 組員から次々とお返しを渡されるたび用事の手を一旦止め礼を言うという事を繰り返し、昼は国府の一美さんがお返しにとフレンチのランチに綸を連れ出した。

 本家に戻った頃を見計らい力哉が綸を訪ねてきて、バッグをプレゼントした。そして綸はお返しにもらった沢山の菓子を一人では食べきれないからと食堂に置いた…が、今日はケーキ屋の曜日でもあった。
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