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凍結から芽吹く
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並木さんが来ている間は散々‘嫌なことには注意’と言われたけれど、その時以外は、家でもお父さんとのデート中も誰も瑛人の悪口をあからさまには言わなかった。
彼のことを悪く言われるのは、どうしてあんな奴のことが好きなんだ…と私を責められている気持ちになるから落ち込んでしまう。
そうでなく、パパ、お父さん、朱は優しかった瑛人に惹かれていた私を否定することなく見守ってくれるのだろう。楽しかった時間もあったのだから。ただ今思えば、一緒に暮らす前の方が楽しかったのかもしれない。
どうしてもそういうことを考えてしまうけれど、そうしながら徐々に自分で終わらせないといけない。
お父さんと来た梅園でそんなことを考える。梅の木が370本ほど植えられているという園内には、1月から花が咲き始め3月に入ったばかりの今、紅白の花が咲き乱れており周辺は甘酸っぱい香りで包まれている。
「和の花…日本の花っていうの?梅とか…桜、椿、藤、桔梗…」
「菊、萩…」
「そうそう。どれも素敵だよね。私はこういう花が好き」
「一度、友達と菊で揉めてただろ?」
「あははっ、高校生の時ね。スマホを見せ合って解決したけど…揉めてたね。永遠に話が噛み合わなかったんだもん」
話の流れで友達が‘菊って古くさいというか、年寄りの花みたい’って言った時‘私は菊、好きだよ’って言った。そこから二人の言う花のイメージが違い過ぎて少しヒートアップして‘何の話?’ってなったんだ。そしてそれぞれが言う‘菊’を見せ合うと、友達はバーンと重いような大きさの菊の花を見せ、私は可愛いピンポンマムを見せた。これでは話が食い違うと大笑いして解決したのだが…
「あの時知ったんだけど、ピンポンマムは洋菊なんだよね」
「菊には違いないな」
「クラシックマムも好き」
「翼も好きな花だな。俺も好きだ」
彼のことを悪く言われるのは、どうしてあんな奴のことが好きなんだ…と私を責められている気持ちになるから落ち込んでしまう。
そうでなく、パパ、お父さん、朱は優しかった瑛人に惹かれていた私を否定することなく見守ってくれるのだろう。楽しかった時間もあったのだから。ただ今思えば、一緒に暮らす前の方が楽しかったのかもしれない。
どうしてもそういうことを考えてしまうけれど、そうしながら徐々に自分で終わらせないといけない。
お父さんと来た梅園でそんなことを考える。梅の木が370本ほど植えられているという園内には、1月から花が咲き始め3月に入ったばかりの今、紅白の花が咲き乱れており周辺は甘酸っぱい香りで包まれている。
「和の花…日本の花っていうの?梅とか…桜、椿、藤、桔梗…」
「菊、萩…」
「そうそう。どれも素敵だよね。私はこういう花が好き」
「一度、友達と菊で揉めてただろ?」
「あははっ、高校生の時ね。スマホを見せ合って解決したけど…揉めてたね。永遠に話が噛み合わなかったんだもん」
話の流れで友達が‘菊って古くさいというか、年寄りの花みたい’って言った時‘私は菊、好きだよ’って言った。そこから二人の言う花のイメージが違い過ぎて少しヒートアップして‘何の話?’ってなったんだ。そしてそれぞれが言う‘菊’を見せ合うと、友達はバーンと重いような大きさの菊の花を見せ、私は可愛いピンポンマムを見せた。これでは話が食い違うと大笑いして解決したのだが…
「あの時知ったんだけど、ピンポンマムは洋菊なんだよね」
「菊には違いないな」
「クラシックマムも好き」
「翼も好きな花だな。俺も好きだ」
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