DIDN’T

Mehoko0095

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壁に耳あり障子に目あり

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「おはようございます、先生。」
 山田は軽く会釈をして体育館に入ってきた。学年全員が集合して、ホームルームを行うとのことで、朝早く眠い中俺はあくびをした。俺らが集まったのはもう五分以上前のこと。集まったはいいが話という話はまだなく、先生が話し出したのは山田が体育館に入ってきてからのことだった。
「今日集まってもらったのは、他でもない。山田の家が火災にあったことについてだ。」
 先生はそう言って、生徒を見回した。
「山田の家が火事に遭う前、付近で不審者が目撃されている。不審者がこの学校の生徒であった可能性が高いと警察は見ている。何か知っていることがあったら先生まで、言いにくること。」
 体育館は静まり、誰も何も言うそぶりを見せなかった。その後、今日の日程について先生は話し、いつも通りの退屈なホームルームは終わりを告げた。
 周りと同じく自分のクラスにとって帰ろうと列に加わろうとすると、紛れもない、山田がこちらに来た。
 後ろを向くと、笹木が目を逸らした。俺は山田を見たが、山田はただ列に同じく加わろうとしただけらしく、何も言わなかった。
 体育館を出て、渡り廊下に踏み出した。寒さが染みて、手や耳がピリピリと痛かった。この地域は雪は降らないが、空気が乾燥しやすく、寒気の高いことで知られている。
 教室に入り、一時限目の英語の教科書とノート、筆箱をカバンから取り出して机に並べようとしたが、筆箱が開いていたらしく、消しゴムがぽろりと転がった。
 消しゴムは斜め右後ろの笹木の机の前に転がっていった。
 笹木は消しゴムを拾い、こちらを見た。だが、消しゴムを手でもてあそぶばかりで一向に手渡そうとはしない。
「お前、肉まん買っただろ、午後6時に、丘の下のコンビニで。」
 目線を黒板にやりながら、笹木は言った。
「買ったけど。何で?」
「それにピザまんも。やたら食うんだな。受験のストレスか何か?」
 笹木は軽く笑って消しゴムを投げよこした。
「つまりさ、お前、山田の家の近くのコンビニに居たってことだよな。放火があった予想時間とそう違わない、よな?」
「いや、その後すぐ帰ったけど。それに、笹木。お前の家こそ遠いのに、よく見てるな。お前の家は川を渡った先、反対方向だろ。」
 そう話したとき、チャイムが鳴って英語の先生が入ってきた。椅子に座り直して、前を向いた。
「はい、教科書210ページを開いて。」
 先生はそれだけ言い、チョークで黒板で5W1Hと書いて、こちらを向いた。
「今日は復習をします。さあ、ノートを取って。」
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