DIDN’T

Mehoko0095

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犯行予告

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 昼休みのことだった。先生たちがいつになく慌てた様子で教室に入り、バタンと勢いよくドアを閉めた。
「みなさん、席について。落ち着いて聞いてください。我が校に犯行予告が届きました。山田くんの靴箱に、こんなものが入っていました。」
 そう言って、犯行予告と見られるもののコピーを黒板に貼り付けた。
 食べかけの購買の焼きそばパンを頬張りながら、周りの生徒がもっとよく見ようと黒板のそばに集まるのを眺めていた。
 犯行予告はありがちな、新聞の切り抜きのコラージュで出来たもののようだ。集まった生徒は息を呑み、お互いに目を合わせてはあたりを見渡して、まるでこの教室の誰かが犯人なのではないかと思っているかのように戦々恐々としていた。
「笹木。来なさい。」
 ドアが開き、教頭が笹木を呼んだ。笹木は教頭に呼ばれるまま、教室を出て行った。
 それを静かに見ていた女子生徒たちが、笹木が見えなくなるとともに口々に「怪しいよね…」「あの人が…」と言い合っては眉をひそめた。
 一つ前の席の女子生徒がこちらを向き、口を開いた。
「新宮くんに言い寄ってたよね。何て言われたの?」
 そう言っては女子同士視線を交わし、俺を見た。
「俺が犯人だろって。笹木、しつこくてさ。写真撮ったって見せてきたんだけど、よくありそうな感じの服装だし画質良くないし。」
 焼きそばパンの最後の一口を詰め込んで、ふと犯行予告が気になって、黒板のそばに寄った。
『おまえが憎い。殺してやる。』
 黒板に貼られたコピーを読み、誰がここまで山田を憎んでいるのかと思った。こんなことしなくても、後1月ほどでこの学校から皆卒業する。離れ離れになる。ここまでする理由なんて誰にあると言うのだろうか。
 すると教室のドアが開き、先生が入ってきた。笹木の姿はない。
「席について。」
 皆そろそろと自席に着き、あたりの空気は重くなった。
 先生は持っていたプリントを配りながら言った。
「本日は皆すぐに帰宅してください。このプリントを親に渡して、サインをしてもらい、提出してください。」
 プリントには太字で不審者情報とあり、山田の家の火事、それに犯行予告があった旨のことが書いてあった。
 プリントの裏には、近所の交番の電話番号が書いてあり、何かあったらこちらに連絡をお願いしますとあった。
 親が帰ってくるのは決まって夜八時を過ぎた頃だ。両親は同じ会社で働いていて、共働きだ。今は昼の一時すぎ。
 教室を出て自転車に乗って、帰路に着く。夕飯はいつも夜更けなので、先生の「まっすぐ帰るように」という指示を無視して丘の下のコンビニに向かった。
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