3 / 5
犯行予告
しおりを挟む
昼休みのことだった。先生たちがいつになく慌てた様子で教室に入り、バタンと勢いよくドアを閉めた。
「みなさん、席について。落ち着いて聞いてください。我が校に犯行予告が届きました。山田くんの靴箱に、こんなものが入っていました。」
そう言って、犯行予告と見られるもののコピーを黒板に貼り付けた。
食べかけの購買の焼きそばパンを頬張りながら、周りの生徒がもっとよく見ようと黒板のそばに集まるのを眺めていた。
犯行予告はありがちな、新聞の切り抜きのコラージュで出来たもののようだ。集まった生徒は息を呑み、お互いに目を合わせてはあたりを見渡して、まるでこの教室の誰かが犯人なのではないかと思っているかのように戦々恐々としていた。
「笹木。来なさい。」
ドアが開き、教頭が笹木を呼んだ。笹木は教頭に呼ばれるまま、教室を出て行った。
それを静かに見ていた女子生徒たちが、笹木が見えなくなるとともに口々に「怪しいよね…」「あの人が…」と言い合っては眉をひそめた。
一つ前の席の女子生徒がこちらを向き、口を開いた。
「新宮くんに言い寄ってたよね。何て言われたの?」
そう言っては女子同士視線を交わし、俺を見た。
「俺が犯人だろって。笹木、しつこくてさ。写真撮ったって見せてきたんだけど、よくありそうな感じの服装だし画質良くないし。」
焼きそばパンの最後の一口を詰め込んで、ふと犯行予告が気になって、黒板のそばに寄った。
『おまえが憎い。殺してやる。』
黒板に貼られたコピーを読み、誰がここまで山田を憎んでいるのかと思った。こんなことしなくても、後1月ほどでこの学校から皆卒業する。離れ離れになる。ここまでする理由なんて誰にあると言うのだろうか。
すると教室のドアが開き、先生が入ってきた。笹木の姿はない。
「席について。」
皆そろそろと自席に着き、あたりの空気は重くなった。
先生は持っていたプリントを配りながら言った。
「本日は皆すぐに帰宅してください。このプリントを親に渡して、サインをしてもらい、提出してください。」
プリントには太字で不審者情報とあり、山田の家の火事、それに犯行予告があった旨のことが書いてあった。
プリントの裏には、近所の交番の電話番号が書いてあり、何かあったらこちらに連絡をお願いしますとあった。
親が帰ってくるのは決まって夜八時を過ぎた頃だ。両親は同じ会社で働いていて、共働きだ。今は昼の一時すぎ。
教室を出て自転車に乗って、帰路に着く。夕飯はいつも夜更けなので、先生の「まっすぐ帰るように」という指示を無視して丘の下のコンビニに向かった。
「みなさん、席について。落ち着いて聞いてください。我が校に犯行予告が届きました。山田くんの靴箱に、こんなものが入っていました。」
そう言って、犯行予告と見られるもののコピーを黒板に貼り付けた。
食べかけの購買の焼きそばパンを頬張りながら、周りの生徒がもっとよく見ようと黒板のそばに集まるのを眺めていた。
犯行予告はありがちな、新聞の切り抜きのコラージュで出来たもののようだ。集まった生徒は息を呑み、お互いに目を合わせてはあたりを見渡して、まるでこの教室の誰かが犯人なのではないかと思っているかのように戦々恐々としていた。
「笹木。来なさい。」
ドアが開き、教頭が笹木を呼んだ。笹木は教頭に呼ばれるまま、教室を出て行った。
それを静かに見ていた女子生徒たちが、笹木が見えなくなるとともに口々に「怪しいよね…」「あの人が…」と言い合っては眉をひそめた。
一つ前の席の女子生徒がこちらを向き、口を開いた。
「新宮くんに言い寄ってたよね。何て言われたの?」
そう言っては女子同士視線を交わし、俺を見た。
「俺が犯人だろって。笹木、しつこくてさ。写真撮ったって見せてきたんだけど、よくありそうな感じの服装だし画質良くないし。」
焼きそばパンの最後の一口を詰め込んで、ふと犯行予告が気になって、黒板のそばに寄った。
『おまえが憎い。殺してやる。』
黒板に貼られたコピーを読み、誰がここまで山田を憎んでいるのかと思った。こんなことしなくても、後1月ほどでこの学校から皆卒業する。離れ離れになる。ここまでする理由なんて誰にあると言うのだろうか。
すると教室のドアが開き、先生が入ってきた。笹木の姿はない。
「席について。」
皆そろそろと自席に着き、あたりの空気は重くなった。
先生は持っていたプリントを配りながら言った。
「本日は皆すぐに帰宅してください。このプリントを親に渡して、サインをしてもらい、提出してください。」
プリントには太字で不審者情報とあり、山田の家の火事、それに犯行予告があった旨のことが書いてあった。
プリントの裏には、近所の交番の電話番号が書いてあり、何かあったらこちらに連絡をお願いしますとあった。
親が帰ってくるのは決まって夜八時を過ぎた頃だ。両親は同じ会社で働いていて、共働きだ。今は昼の一時すぎ。
教室を出て自転車に乗って、帰路に着く。夕飯はいつも夜更けなので、先生の「まっすぐ帰るように」という指示を無視して丘の下のコンビニに向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる