28 / 160
英雄と聖女 編
028. 事象革命
しおりを挟む
「ああ…もう、最悪。またこんな死に方をするなんて」
身体の至る所から血を流して横たわるマリアが呟いた。
「ドレスに対神聖術の呪怨術を予め付与してたけど、こんなに痛い思いをするなら即死のほうがましだったわ。それに何よ貴方…。無茶苦茶すぎよ。こんな戦力がいたなんて聞いてない。変身するし、ピストルとか持ってるし…」
元の姿に戻り、近づいてくるユーゴにマリアは噛み付いた。
「人の個性をとやかく言うなよ。どうでもいいけどお前、もしかして元地球人か?」
マリアを見下ろし、ユーゴは問うた。
「ええ、そうよ。貴方も何でしょ。 そのダサい服でわかったわ。でも、そういう自分を貫く姿勢は嫌いじゃないわ」
「お前も初対面のくせに歯に衣着せねぇな。俺もそういうやつは嫌いじゃない。お前、生まれ変わりじゃないな。転移か」
「たぶんそれ。気付いたらこの世界にいたわ。でも、こんな世界に来るくらいなら、あのまま死んでたほうがマシだった」
マリアが顔を歪ませたのは痛みのせいか、それとも過去に対する負の感情故か。
「お前にどんな過去があったのか知らねぇし、興味もない。世の中にムカついて世界中をぶっ壊したくなる気持ちは分からんでもないが、そんなこととは関係なしに、お前には落とし前をつけてもらう。お前はネルを殺したからな。死んだネルは生き返らねぇ」
ネオアルファの銃口をマリアへと向けてユーゴは言った。
「ネルさん……」
「ネルおねえちゃん……」
もう会えない大切な仲間を想い、スウィンもピアも涙ぐんだ。
「…………」
聖堂に沈黙が流れた。そこへ───。
「生き返るよ」
この場にそぐわない、陽気な声が聴こえた。
「ユーラ。俺はいま冗談に付き合う気分じゃないんだ」
ユーゴが聖堂の入口へ視線を遣ると、そこにはギャルっぽい女性───女神ユーラウリアが立っていた。
神出鬼没なのでどこに現れようと今更驚かないが、発言の内容が気に障った。
「冗談じゃないってば。さすがにウチもこういう時は空気読むよ?」
「ユーラウリア様、どういう事か説明していただけますか?」
勢いよく女神に詰め寄るフィールエルに、ユーラウリアは戸惑う。
「んー? 誰、きみ……? え、マジ? そんなことある?」
フィールエルの正体に気づいて一瞬のけぞった女神だが、「まぁあるかも」と自己完結した。
「その答えは、もうユー君のなかにあるよん」
ユーゴに近づき、その右胸を、とん、とつついた。
「は? どういう……いや、まさか」
ユーラウリアの言わんとすることを理解したユーゴは、己の意識を【鬼神核】に向けた。
全ての超能力、神技を記録している鬼神核。
そこに意識を向けた時、その内容を実は視認できる。あくまでユーゴの脳がそのように認識しているだけで実際に見えている訳では無いが、リスト化されているのだ。
名称やその概要なども確認できるのだが、その中に今まで無かった名称があることに気付いた。
「おいおい、何だこりゃ……。いいのか、こんなの」
あまりの内容に、思わずユーラウリアに問うた。
「凄いっしょ? まぁその代わり条件や代償は厳しくさせてもらってるけど。てかユー君、前回の異世界救済のご褒美、すっかり忘れてたでしょ。せっかくいろんな神を巻き込んで、めっちゃ凄いやつ用意したのに。ひどくない?」
それには答えず、ユーゴは集中してこの超能力の把握に努めている。
「よし」
短く気合を入れると、ユーゴは両目を閉じて両手を前に突き出した。そして念じる。
スッと世界の時が止まった。
【電光石火】が発動したのかと思ったが、少し違う。
世界だけでなくユーゴ自身の時間も止まっているのが、俯瞰しているユーゴ自身にも見えていた。これも千里眼の感覚に近い。
近いが違う。幽体離脱したように、ユーゴ自身が上空からユーゴを見下ろしている。
更に視覚情報だけでなく、嗅覚、味覚、触覚、聴覚の情報、物質を構成する素材、その由来、気象の状態など、森羅万象のメタデータを感じ取ることが出来る。
更には、これらを発動した瞬間から遡って確認できる。
試しにどこまで行けるのかと世界を逆再生のように巻き戻すと、およそ24時間というところだった。
大体の内容は把握できた。後は行動するだけだ。
ユーゴは現時点まで戻って、過去からコピーしたデータを使って実行する。
その瞬間、能力が終了し、ユーゴの意識が現実に引き戻された。
「……そんな、馬鹿な」
「うそ……信じられない」
「え……ピア、夢見てるの?」
「……本当、無茶苦茶ね」
疲労困憊であぐらをかくユーゴと、彼の肩に手を載せて微笑むユーラウリア以外の全員、現実が信じられなかった。ありえない光景がそこにあったのだ。
「……え? 私、何で……? ……皆さん、一体何が起こったんですか?」
誰よりも状況を掴めていないネルが、キョロキョロと左右を見回していた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ユーゴ。ユーラウリア様。流石にこれは説明していただけますよね!?」
フィールエルが柳眉を逆立て、二人を詰問した。
「んー。じゃあウチが説明しよっかな。その代わり、このことはみんな、他言無用だよ。おけ?」
マリアは瞼を閉じて虫の息だが、フィールエル、ネル、ピア、スウィンが頷いたのを確認した女神が説明を始める。
「ユー君がやったのは、既決事象の書き換え。簡単にいえば、過去に起こったことを、一日以内なら好きなように変えられるってスゴ技だよ。その名も、【事象革命】!!」
「つまり、いまユーゴがやったのは……」
スウィンの声は震えている。己が口にしようとする内容があまりにも出鱈目に思われ、最期まで言葉が続かない。
「『ネルは死んだ。けど無傷で生き返った』に事実を書き換えた」
「待ってくれ、ユーゴ。ネルが死ななかったということになれば、色々と辻褄が合わなくなるんじゃないのか? たとえばあの邪神はネルを吸収したことで力を増した。それがユーゴに斃されたことも、ユーゴの姿が変わったことも全部無かったことにならないと可怪しいんじゃないのか? ボクは詳しくないけど、タイムパラドックスとか言うんじゃ……」
中学時分に読んだSF小説の知識を思い出し、フィールエルは確認した。
「お前、頭いいな、ゼスト。じゃなかった。フィールエル? か。俺もよく憶えてないんだけど、たしかに『死ななかった』ってことにすると、変更する内容が多くて面倒くせーんだよ。だから『死ななかった』じゃなくて、『死んだけど無傷で生き返った』にしたんだ。それだとネルにしか干渉しなくていいからな」
「……それはもはや、神の所業ね」
「まー女神であるウチが許可してるからね。この世界の神であるミラールにもヴァリオンにも、その他神々にも協力してもらってるし?」
呆れたように呟いたマリアに反応したのは、ドヤ顔のユーラウリアだった。
「め、女神ですって……?」
スウィンが不信感を滲ませた。
「おう。信じられないかも知れねぇけど、この女はまじで女神だ。信じられねぇだろうけど」
「二回言うなー」
親指で自分を指さすユーゴの頭を、女神はペシペシ叩いた。
「いえ。よく考えたらユーゴという存在の無茶苦茶さに比べれば、女神様くらいいてもおかしくはないわね。ユーゴのデタラメ加減も、女神由来と考えれば納得できるわ」
「嫌な納得のされ方だな。まぁいいけど」
「ところで、ネルちゃんだっけ? ちょっとお願いがあるんだけど」
ユーラウリアに呼ばれたネルは、ビクッと体を震わせた。
「は、はい。私に出来ることでしたら」
「そこの魔女っち、治してくんない?」
──────to be continued
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お読みいただき誠にありがとうございます。
この作品が
「面白い」 「続きが読みたい」 「推してもいい」
と少しでも思って頂けた方は、
①お気に入り 登録
②エールを送る(アプリ版のみ)
③感想を書く
④シェアする
をして頂ければ、作者のモチベーションアップや作品の向上に繋がります。
※お気に入り登録して頂きますと、新エピソードが投稿された際に通知が届いて便利です。
アマチュアである作者は皆様に支えられております。
この作品を皆様で盛り上げて頂き、書籍化やコミカライズ、果てはアニメ化などに繋がればいいなと思います。
この作品を読者の皆様の手で育てて下さい。
そして「この作品は人気のない時から知ってたんだぜ?」とドヤって頂けることが夢です。
よろしくお願いいたします。
身体の至る所から血を流して横たわるマリアが呟いた。
「ドレスに対神聖術の呪怨術を予め付与してたけど、こんなに痛い思いをするなら即死のほうがましだったわ。それに何よ貴方…。無茶苦茶すぎよ。こんな戦力がいたなんて聞いてない。変身するし、ピストルとか持ってるし…」
元の姿に戻り、近づいてくるユーゴにマリアは噛み付いた。
「人の個性をとやかく言うなよ。どうでもいいけどお前、もしかして元地球人か?」
マリアを見下ろし、ユーゴは問うた。
「ええ、そうよ。貴方も何でしょ。 そのダサい服でわかったわ。でも、そういう自分を貫く姿勢は嫌いじゃないわ」
「お前も初対面のくせに歯に衣着せねぇな。俺もそういうやつは嫌いじゃない。お前、生まれ変わりじゃないな。転移か」
「たぶんそれ。気付いたらこの世界にいたわ。でも、こんな世界に来るくらいなら、あのまま死んでたほうがマシだった」
マリアが顔を歪ませたのは痛みのせいか、それとも過去に対する負の感情故か。
「お前にどんな過去があったのか知らねぇし、興味もない。世の中にムカついて世界中をぶっ壊したくなる気持ちは分からんでもないが、そんなこととは関係なしに、お前には落とし前をつけてもらう。お前はネルを殺したからな。死んだネルは生き返らねぇ」
ネオアルファの銃口をマリアへと向けてユーゴは言った。
「ネルさん……」
「ネルおねえちゃん……」
もう会えない大切な仲間を想い、スウィンもピアも涙ぐんだ。
「…………」
聖堂に沈黙が流れた。そこへ───。
「生き返るよ」
この場にそぐわない、陽気な声が聴こえた。
「ユーラ。俺はいま冗談に付き合う気分じゃないんだ」
ユーゴが聖堂の入口へ視線を遣ると、そこにはギャルっぽい女性───女神ユーラウリアが立っていた。
神出鬼没なのでどこに現れようと今更驚かないが、発言の内容が気に障った。
「冗談じゃないってば。さすがにウチもこういう時は空気読むよ?」
「ユーラウリア様、どういう事か説明していただけますか?」
勢いよく女神に詰め寄るフィールエルに、ユーラウリアは戸惑う。
「んー? 誰、きみ……? え、マジ? そんなことある?」
フィールエルの正体に気づいて一瞬のけぞった女神だが、「まぁあるかも」と自己完結した。
「その答えは、もうユー君のなかにあるよん」
ユーゴに近づき、その右胸を、とん、とつついた。
「は? どういう……いや、まさか」
ユーラウリアの言わんとすることを理解したユーゴは、己の意識を【鬼神核】に向けた。
全ての超能力、神技を記録している鬼神核。
そこに意識を向けた時、その内容を実は視認できる。あくまでユーゴの脳がそのように認識しているだけで実際に見えている訳では無いが、リスト化されているのだ。
名称やその概要なども確認できるのだが、その中に今まで無かった名称があることに気付いた。
「おいおい、何だこりゃ……。いいのか、こんなの」
あまりの内容に、思わずユーラウリアに問うた。
「凄いっしょ? まぁその代わり条件や代償は厳しくさせてもらってるけど。てかユー君、前回の異世界救済のご褒美、すっかり忘れてたでしょ。せっかくいろんな神を巻き込んで、めっちゃ凄いやつ用意したのに。ひどくない?」
それには答えず、ユーゴは集中してこの超能力の把握に努めている。
「よし」
短く気合を入れると、ユーゴは両目を閉じて両手を前に突き出した。そして念じる。
スッと世界の時が止まった。
【電光石火】が発動したのかと思ったが、少し違う。
世界だけでなくユーゴ自身の時間も止まっているのが、俯瞰しているユーゴ自身にも見えていた。これも千里眼の感覚に近い。
近いが違う。幽体離脱したように、ユーゴ自身が上空からユーゴを見下ろしている。
更に視覚情報だけでなく、嗅覚、味覚、触覚、聴覚の情報、物質を構成する素材、その由来、気象の状態など、森羅万象のメタデータを感じ取ることが出来る。
更には、これらを発動した瞬間から遡って確認できる。
試しにどこまで行けるのかと世界を逆再生のように巻き戻すと、およそ24時間というところだった。
大体の内容は把握できた。後は行動するだけだ。
ユーゴは現時点まで戻って、過去からコピーしたデータを使って実行する。
その瞬間、能力が終了し、ユーゴの意識が現実に引き戻された。
「……そんな、馬鹿な」
「うそ……信じられない」
「え……ピア、夢見てるの?」
「……本当、無茶苦茶ね」
疲労困憊であぐらをかくユーゴと、彼の肩に手を載せて微笑むユーラウリア以外の全員、現実が信じられなかった。ありえない光景がそこにあったのだ。
「……え? 私、何で……? ……皆さん、一体何が起こったんですか?」
誰よりも状況を掴めていないネルが、キョロキョロと左右を見回していた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ユーゴ。ユーラウリア様。流石にこれは説明していただけますよね!?」
フィールエルが柳眉を逆立て、二人を詰問した。
「んー。じゃあウチが説明しよっかな。その代わり、このことはみんな、他言無用だよ。おけ?」
マリアは瞼を閉じて虫の息だが、フィールエル、ネル、ピア、スウィンが頷いたのを確認した女神が説明を始める。
「ユー君がやったのは、既決事象の書き換え。簡単にいえば、過去に起こったことを、一日以内なら好きなように変えられるってスゴ技だよ。その名も、【事象革命】!!」
「つまり、いまユーゴがやったのは……」
スウィンの声は震えている。己が口にしようとする内容があまりにも出鱈目に思われ、最期まで言葉が続かない。
「『ネルは死んだ。けど無傷で生き返った』に事実を書き換えた」
「待ってくれ、ユーゴ。ネルが死ななかったということになれば、色々と辻褄が合わなくなるんじゃないのか? たとえばあの邪神はネルを吸収したことで力を増した。それがユーゴに斃されたことも、ユーゴの姿が変わったことも全部無かったことにならないと可怪しいんじゃないのか? ボクは詳しくないけど、タイムパラドックスとか言うんじゃ……」
中学時分に読んだSF小説の知識を思い出し、フィールエルは確認した。
「お前、頭いいな、ゼスト。じゃなかった。フィールエル? か。俺もよく憶えてないんだけど、たしかに『死ななかった』ってことにすると、変更する内容が多くて面倒くせーんだよ。だから『死ななかった』じゃなくて、『死んだけど無傷で生き返った』にしたんだ。それだとネルにしか干渉しなくていいからな」
「……それはもはや、神の所業ね」
「まー女神であるウチが許可してるからね。この世界の神であるミラールにもヴァリオンにも、その他神々にも協力してもらってるし?」
呆れたように呟いたマリアに反応したのは、ドヤ顔のユーラウリアだった。
「め、女神ですって……?」
スウィンが不信感を滲ませた。
「おう。信じられないかも知れねぇけど、この女はまじで女神だ。信じられねぇだろうけど」
「二回言うなー」
親指で自分を指さすユーゴの頭を、女神はペシペシ叩いた。
「いえ。よく考えたらユーゴという存在の無茶苦茶さに比べれば、女神様くらいいてもおかしくはないわね。ユーゴのデタラメ加減も、女神由来と考えれば納得できるわ」
「嫌な納得のされ方だな。まぁいいけど」
「ところで、ネルちゃんだっけ? ちょっとお願いがあるんだけど」
ユーラウリアに呼ばれたネルは、ビクッと体を震わせた。
「は、はい。私に出来ることでしたら」
「そこの魔女っち、治してくんない?」
──────to be continued
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お読みいただき誠にありがとうございます。
この作品が
「面白い」 「続きが読みたい」 「推してもいい」
と少しでも思って頂けた方は、
①お気に入り 登録
②エールを送る(アプリ版のみ)
③感想を書く
④シェアする
をして頂ければ、作者のモチベーションアップや作品の向上に繋がります。
※お気に入り登録して頂きますと、新エピソードが投稿された際に通知が届いて便利です。
アマチュアである作者は皆様に支えられております。
この作品を皆様で盛り上げて頂き、書籍化やコミカライズ、果てはアニメ化などに繋がればいいなと思います。
この作品を読者の皆様の手で育てて下さい。
そして「この作品は人気のない時から知ってたんだぜ?」とドヤって頂けることが夢です。
よろしくお願いいたします。
40
あなたにおすすめの小説
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる