91 / 160
めいでぃっしゅへようこそ! 編
091. 五章プロローグ: 転生したら乙女ゲームの悪役令嬢の取り巻き(モブ)で、破滅フラグから悪役令嬢を救った私の話
しおりを挟む
ゼフィーリア・バーグマンが前世の記憶を取り戻したのは、両親に連れられてオペラを鑑賞した七歳の時だった。
オペラで歌われた初めて聞くはずのメロディ。それになんとなく聞き覚えがある。
そう思った瞬間だった。
それは女子高校生であった前世でプレイしていた、とある乙女ゲームのイベントシーンで流れる劇中歌だった事を思い出した。
そこから芋づる式に思い出した。前世のこと、いま自分が存在しているのがその乙女ゲームの設定そのままの世界だということ、そして、ゼフィーリア・バーグマンという自分が、そのゲーム “セイクリッド・マテリアル” の主要キャラクターではなく、ただの脇役だということを。
ゼフィーリアはゲームの主人公ベレッタに意地悪をする悪役令嬢 “マルガレーテ” の取り巻きの一人で、立ち絵も2パターンくらいしか無いような、影の薄いキャラクターだった。
しかもゲームの中盤には物語からフェードアウトしてしまい、二週目のプレイを始めた時に、「あ。そういえば、こんなキャラクター居たな」と思い出される程度の認知度だった。
ネームドキャラであるのが奇跡というほかない。前世でやり込んでいなければ、記憶に掠りもしなかっただろう。
確かに現在、ゼフィーリアである自分にはマルガレーテという友人がいる。
明るくて優しい、面倒見の良いマルガレーテが、ゲーム中での高慢ちきで意地の悪いキャラと同一人物とは思えないが、ゲームと同じ運命であれば、マルガレーテはいずれ悲惨な目に遭ってしまう。
それを指を咥えて見過ごすのは忍びない。
ゼフィーリアはその時から、マルガレーテを救うために注力した。
とはいえ、未だ七歳の身であるゼフィーリアに出来ることは限られている。
晴耕雨読ということで、まずは地力をつけるために教養や知識を身に付けることにした。
幸いにしてゼフィーリアの家は高位の貴族だったので、それらは問題なく学ぶことが出来た。
一方でマルガレーテとも以前よりも会う時間を増やし、積極的に親交を深めていった。
彼女に異変が起こらないか、見守るために。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
数年後、三門貴族の子弟達が通う学園へ入園したゼフィーリアは、ゲームの主人公ベレッタや攻略対象である男性キャラクター達との出会いを果たした。
それから紆余曲折あり、ゼフィーリアはマルガレーテの破滅フラグを回避させることに成功した。
何故か男性キャラクター達に惚れられたり、設定にないはずの謎の能力にゼフィーリアが目覚めたりといった余計なイベントがついてきたが……。
ひとまずこれで一安心。後は楽しく生きるだけだ。
そう安堵したのも束の間、今度はベレッタに国家転覆の容疑がかけられたのだ。
その時ゼフィーリアは思い出した。
セイクリッド・マテリアルにはファンに向けた、続編的なDLCがあったことを。
もしかしたら、その続編のストーリーに沿っている……?
だとしても、前世で死亡する直前にDL開始されたので、内容はほとんど解らない。
ゲーム知識を活用して解決したいゼフィーリアだが、それが出来ずに困惑した。
かろうじて王国兵の手を逃れ、バーグマン家が所有する邸宅にベレッタを匿ったものの、どうすれば最善か、打つ手に頭を悩ませている時だった。
あの男に出会ったのは……。
──────to be continued
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お読みいただき誠にありがとうございます。
この作品が
「面白い」 「続きが読みたい」 「推してもいい」
と少しでも思って頂けた方は、
①お気に入り 登録
②エールを送る(アプリ版のみ)
③感想を書く
④シェアする
⑤いいね
をして頂ければ、作者のモチベーションアップや作品の向上に繋がります。
※お気に入り登録して頂きますと、新エピソードが投稿された際に通知が届いて便利です。
アマチュアである作者は皆様に支えられております。
この作品を皆様で盛り上げて頂き、書籍化やコミカライズ、果てはアニメ化などに繋がればいいなと思います。
この作品を読者の皆様の手で育てて下さい。
そして「この作品は人気のない時から知ってたんだぜ?」とドヤって頂けることが夢です。
よろしくお願いいたします。
オペラで歌われた初めて聞くはずのメロディ。それになんとなく聞き覚えがある。
そう思った瞬間だった。
それは女子高校生であった前世でプレイしていた、とある乙女ゲームのイベントシーンで流れる劇中歌だった事を思い出した。
そこから芋づる式に思い出した。前世のこと、いま自分が存在しているのがその乙女ゲームの設定そのままの世界だということ、そして、ゼフィーリア・バーグマンという自分が、そのゲーム “セイクリッド・マテリアル” の主要キャラクターではなく、ただの脇役だということを。
ゼフィーリアはゲームの主人公ベレッタに意地悪をする悪役令嬢 “マルガレーテ” の取り巻きの一人で、立ち絵も2パターンくらいしか無いような、影の薄いキャラクターだった。
しかもゲームの中盤には物語からフェードアウトしてしまい、二週目のプレイを始めた時に、「あ。そういえば、こんなキャラクター居たな」と思い出される程度の認知度だった。
ネームドキャラであるのが奇跡というほかない。前世でやり込んでいなければ、記憶に掠りもしなかっただろう。
確かに現在、ゼフィーリアである自分にはマルガレーテという友人がいる。
明るくて優しい、面倒見の良いマルガレーテが、ゲーム中での高慢ちきで意地の悪いキャラと同一人物とは思えないが、ゲームと同じ運命であれば、マルガレーテはいずれ悲惨な目に遭ってしまう。
それを指を咥えて見過ごすのは忍びない。
ゼフィーリアはその時から、マルガレーテを救うために注力した。
とはいえ、未だ七歳の身であるゼフィーリアに出来ることは限られている。
晴耕雨読ということで、まずは地力をつけるために教養や知識を身に付けることにした。
幸いにしてゼフィーリアの家は高位の貴族だったので、それらは問題なく学ぶことが出来た。
一方でマルガレーテとも以前よりも会う時間を増やし、積極的に親交を深めていった。
彼女に異変が起こらないか、見守るために。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
数年後、三門貴族の子弟達が通う学園へ入園したゼフィーリアは、ゲームの主人公ベレッタや攻略対象である男性キャラクター達との出会いを果たした。
それから紆余曲折あり、ゼフィーリアはマルガレーテの破滅フラグを回避させることに成功した。
何故か男性キャラクター達に惚れられたり、設定にないはずの謎の能力にゼフィーリアが目覚めたりといった余計なイベントがついてきたが……。
ひとまずこれで一安心。後は楽しく生きるだけだ。
そう安堵したのも束の間、今度はベレッタに国家転覆の容疑がかけられたのだ。
その時ゼフィーリアは思い出した。
セイクリッド・マテリアルにはファンに向けた、続編的なDLCがあったことを。
もしかしたら、その続編のストーリーに沿っている……?
だとしても、前世で死亡する直前にDL開始されたので、内容はほとんど解らない。
ゲーム知識を活用して解決したいゼフィーリアだが、それが出来ずに困惑した。
かろうじて王国兵の手を逃れ、バーグマン家が所有する邸宅にベレッタを匿ったものの、どうすれば最善か、打つ手に頭を悩ませている時だった。
あの男に出会ったのは……。
──────to be continued
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
お読みいただき誠にありがとうございます。
この作品が
「面白い」 「続きが読みたい」 「推してもいい」
と少しでも思って頂けた方は、
①お気に入り 登録
②エールを送る(アプリ版のみ)
③感想を書く
④シェアする
⑤いいね
をして頂ければ、作者のモチベーションアップや作品の向上に繋がります。
※お気に入り登録して頂きますと、新エピソードが投稿された際に通知が届いて便利です。
アマチュアである作者は皆様に支えられております。
この作品を皆様で盛り上げて頂き、書籍化やコミカライズ、果てはアニメ化などに繋がればいいなと思います。
この作品を読者の皆様の手で育てて下さい。
そして「この作品は人気のない時から知ってたんだぜ?」とドヤって頂けることが夢です。
よろしくお願いいたします。
40
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
