真理

kokokarahajimaru

文字の大きさ
2 / 2

2 俺の家庭について

しおりを挟む
 ここで俺自身についての話をしようと思う。俺は日本にある、とある地方にて生誕した。地方都市ですらない、田舎である。地方にはありがちな、3世帯同居の家族であり、両親と父方の祖父母に姉、兄、自分の構成であった。
 父方は、元々木々生い茂る山奥のルーツらしい祖父と役人筋の祖母という構成。母方は両方とも典型的な百姓ルーツであった。
 付け加えて、これもありがちであるが、家庭は嫁姑問題を抱え、俺が物心ついた時から不穏な空気が漂っていたのは日常だった。
 実にくだらない争いではあるが、何かにつけて主導権争いを起こしていた。それはテレビのチャンネルから新聞を読む順番、それから家計の財布の紐をどちらが握るかということまで幅広い。人はここまで醜く変貌するのかと思い知ったのもこの頃である。加えて、人は世界の真理についての探求よりも、目先の認識できる範囲内での人間を屈服させることを望むのだということをこの時痛感した。
 しかし、コレは自分の両親がおそらく発達障害であることも強く起因しているのかもしれない。その当時はわからなかったが、父は所謂アスペルガーだし、母はadhdであるのは、今なら本当によく分かる。気づいたきっかけは、勿論俺自身の人生に対する違和感からであるが、発達障害特有の劣等感故のマウント取りが日常茶飯事であった。父は典型的に、「カネカネカネ」であって本人が現場監督であるにも関わらず肉体労働者を軽蔑していた。母は途方もなく傲慢であって仕切りたがりで、自分の望んだ通りに事がはこばないと露骨に不機嫌になると言った具合の人間であった。
 しかし両人共通なのは、根底に不安感情があるということである。不安と劣等感故に、自分の認識が正しいと盲信しており、お互いに譲るということはなく、ことある度に衝突していた。振り返ると父が主導権を取っていたのは、田舎特有の封建的な家庭観と数字と土木技術において勝っていたからだと思う。その点、母は若さ以外に勝るものはなく、何をやってもガサツで不注意から失敗するし、得意分野というものがなかった。その失敗経験から、尚更自分をよく見せようと見栄を張って更に墓穴を掘るという始末であり、歩が悪いのは目に見えていた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...