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登校デートは突然に…
語尾に「にゃ」は美少女に限る
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前のエピソード――第28話美少女に何て呼ばれたい?
第29話語尾に『にゃ』は美少女に限る
『ピリオド』…。それは、俺がリア充(笑)どもにつけられて以降、紆余曲折を経て呼ばれるにようになったニックネームだ。最初は毛嫌いした呼び名ではあるが、弥生のおかげで気に入っている、俺のもう一つの名前みたいなものって感じ。
でも、だからと言って『ピリオド』ってのはあくまでもニックネームであり、山田健太という自信の本名には及ばないものなのである。
つまり、何が言いたいかって言うとだな…。
『美少女からの本名呼びは、ヤバい。マジヤバい。もんどりうって、地面をゴロゴロ転がりたくなるほどの破壊力なのです。もうほんとありがとうございます!』
俺は今、亜麻色の髪の美少女こと五木と一緒に登校中だ。しかも、『美少女からの初の本名呼び』をお見舞いされてな。この少女ここ最近会ったばかりなのにも関わらず、やけに俺の心に揺さぶりをかけてくる。
初めて会った時:弱みを握られた結果、笑顔で毒を吐かれてドМ心を擽られた。
二度目の再会時:その弱みの隠蔽のため、人に誤解を招きかけない関係だと五木が宣い、童貞心を擽られた。
三度の出会いである今:名前呼び+登校デート(仮)のお誘いにより、俺の青春心を擽られた。
そんな五木が嫌じゃなくなって…ってちょい待ち。しっかりしろ俺!完全に五木の手のひらで転がされているじゃないかっ!いけないないけない。やつのペースに乗っけられている。フー。深呼吸。
今日こそは五木の秘密を握ってこれまでの屈辱を晴らしてくれよう。覚悟しろ五木!
「健太さん、どうかされましか?」
そう言って、上目遣いで俺を覗き込んでくる五木。口の端をニッと上げながら。
こいつピンポイントで俺の言ってほしいランキング上位ワードを狙ってきているんじゃなかろうか?そんな考えが頭は過ってしまうほどドストライクワードをポンポン出してくる。本名呼びをダブルパンチしてくるとはいい度胸じゃねぇか。
こちとら伊達に、ギャルゲやってないぜ。すぐに俺がいないといけない身体にしてやるよ。
「さ…んにゃ…ッ」
うおぉぉぉぉぉぉぉ。女子の名前呼び捨てするのって超恥かしいぃぃぃぃ。それに噛んじまったぁぁぁぁぁぁぁ。俺のばかやろぉぉぉぉ。
弥生のことを最初に名前呼びした時ってどんな感じだっけ?……あれ?なんか弥生は弥生だな。そもそも苗字何だっけ…?????そうそう、宮崎だ。弥生は女子というよりか幼馴染だからな。あんま参考にならないわ。
一人葛藤している俺に対し、頭の上に疑問符を浮かべながら尋ねてくる五木。
「さ…んにゃ?何のことでしょうか?」
容赦ない追撃が炸裂。『佐奈』って呼び捨てしようと思ったら噛みましたなんて恥ずかすぎて言えるわけがないわっ!ニマニマしている五木が腹立たしい。
何か…。にゃにか誤魔化す策はにゃいか…。にゃ!そうだこれだ!
「五木さんにゃ。今日はいい天気にゃ?」
うん、我ながら苦しい。美少女キャラの語尾『にゃ』でどうにか誤魔化したが、頬がぴくぴくする。でも、五木に一本取られるよりかはまだましだ。ってことにしておこう。
五木は一瞬きょとんとした表情になったが、すぐに穏やかな表情になって言葉を返してくる。
「そうですね。こんなに良い天気の日には、外でお茶でもしたいところですわ」
いや、まさかの『にゃ』をスルーですか。いつものようにからかってくれると、冗談に決まってるだろ?、アハハで済むのに、スルーされると俺がただの変態みたいじゃないか。『にゃ』で自分をキャラ付けする予定ないんすけど?!
でもまだ危険だ、五木の口元がいやらしくUの字になっている。これは絶対よからぬことを企んでいるに違いない。もう一回ぐらい『にゃ』で誤魔化しておこう。
「五木さんにゃ、お茶を飲むのがお好きなのにゃ?」
「はい!大好きですわ」
快活な微笑みを浮かべる五木。文脈からして自分のことではないことは重々承知なのだが、女の子に『大好き』とか言われると不覚にもドキリとしてしまうので止めて頂きたく思います。はい。
それにしても、悉く『にゃ』をスルーですね、五木さん。何か企んでいると思っていたんだけど、勘違いみたいだな。五木も『にゃ』をスルーする方向でお決めになったようですし、『にゃ』の出番はこれにて終了。何もなかった体で普通の会話に戻ろう。これ以上『にゃ』を行使すると俺の大事な何かが抜け落ちてしまうからな。
「そうなんだ。お店とかでお茶する感じ?」
「そうですね、お店でも頂いたりしますが、最近は自分でお茶をたてたりもしますわ」
「すげぇな。もしかして茶道部とか入ってたりすんの?」
「ご明察です。流石ですわね健太さん」
五木は楽し気な声で返答。ほー。五木が和服でお茶をたてる…。悔しいがめっちゃ似合ってそう。
それに、普段毒をはかれているせいか、急に褒められるとギャップがズキューンと来る。これがギャップ萌えというやつか。
いやいや!五木に萌えるな。自分のペースを取り戻せ。
俺の内心を知ってか知らずか、五木が後を継ぐ。
「それでですね、今度の土曜日にお茶会がありますの。宜しければお越しになりませんか?」
おふっ。五木さんそんなに積極的に誘ってくると、ほんと僕のこと好きなんじゃないかって確信しちゃいますよ?!えーと、土曜日は何も予定ないです。いえむしろ予定が入っていてもお邪魔します。五木親衛隊のリーダーの僕が行かないわけないじゃないですか!
「はい!喜んで!」
「嬉しいですわ。約束ですわよ」
そう言って、亜麻色の髪の少女は、華奢な小指を僕の方に差し出してくる。それに対して、僕は小指を素早く差し出し、彼女の指に絡ませる。五木の指は柔らかく、ほのかに温かった。
「指切りげんまん、嘘ついたら、健太さんの秘密学校中に広めーる、指切った」
「っておい。今恐ろしいこと聞こえたんけど?!」
彼女の言葉に平常心を取り戻した俺に対し、そっぽを向いて肩を震わせる五木。
一段落したところで、そういえば、と小悪魔的な笑顔で五木が切り出す。
「先ほどの『にゃ』というのは、健太さんの口癖でしょうか?」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。羞恥のあまり両手で顔面を覆い隠す俺。スルーしてくれたんじゃなかったのかよ?!冷静になって考えると、何で『にゃ』とか言ったんだろ?!あの時の俺を殴ってやりたい。
「可愛らしかったですわ。もう一度健太さんの『にゃ』を聞きたいです」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ここぞとばかりに畳みかけてくる五木。ヒットポイントはもうゼロだ。瀕死状態の俺の横にすり寄ってきて耳元で呟く五木。
「『にゃ』を語尾に付けないのかにゃ?健太にゃん?」
にゃん…だと…。五木が『にゃ』を使う?やべぇ、超かわいいんですけど。録音しておけばよかった。この瞬間自身の醜態よりも、五木の『にゃ』の可愛さが上回った。
がばっと顔を上げて五木の表情を覗こうとするも、彼女が顔を逸らしてしまったため、どんな表情をしているかは読み取れない。が、耳元が真っ赤になってることからも、想像以上に恥ずかしかったご様子。
そこも含めて超萌えるんですけど。五木のくせに、五木のくせに。
二人して赤くなっていると、前から声がかかる。見ると、チンピラ3人衆が進行方向に立ちはだかっていた。
「おいおい、朝からカップルで登校デートとは見せつけてくれるじゃねぇか」
「女の方超絶美人じゃね?」
「そんな冴えない男より俺らと遊んだ方が楽しいぜぇ」
一通りチンピラ3人衆たちが喋ると、俺と五木に襲い掛かってきた。
戦闘開始!
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第29話語尾に『にゃ』は美少女に限る
『ピリオド』…。それは、俺がリア充(笑)どもにつけられて以降、紆余曲折を経て呼ばれるにようになったニックネームだ。最初は毛嫌いした呼び名ではあるが、弥生のおかげで気に入っている、俺のもう一つの名前みたいなものって感じ。
でも、だからと言って『ピリオド』ってのはあくまでもニックネームであり、山田健太という自信の本名には及ばないものなのである。
つまり、何が言いたいかって言うとだな…。
『美少女からの本名呼びは、ヤバい。マジヤバい。もんどりうって、地面をゴロゴロ転がりたくなるほどの破壊力なのです。もうほんとありがとうございます!』
俺は今、亜麻色の髪の美少女こと五木と一緒に登校中だ。しかも、『美少女からの初の本名呼び』をお見舞いされてな。この少女ここ最近会ったばかりなのにも関わらず、やけに俺の心に揺さぶりをかけてくる。
初めて会った時:弱みを握られた結果、笑顔で毒を吐かれてドМ心を擽られた。
二度目の再会時:その弱みの隠蔽のため、人に誤解を招きかけない関係だと五木が宣い、童貞心を擽られた。
三度の出会いである今:名前呼び+登校デート(仮)のお誘いにより、俺の青春心を擽られた。
そんな五木が嫌じゃなくなって…ってちょい待ち。しっかりしろ俺!完全に五木の手のひらで転がされているじゃないかっ!いけないないけない。やつのペースに乗っけられている。フー。深呼吸。
今日こそは五木の秘密を握ってこれまでの屈辱を晴らしてくれよう。覚悟しろ五木!
「健太さん、どうかされましか?」
そう言って、上目遣いで俺を覗き込んでくる五木。口の端をニッと上げながら。
こいつピンポイントで俺の言ってほしいランキング上位ワードを狙ってきているんじゃなかろうか?そんな考えが頭は過ってしまうほどドストライクワードをポンポン出してくる。本名呼びをダブルパンチしてくるとはいい度胸じゃねぇか。
こちとら伊達に、ギャルゲやってないぜ。すぐに俺がいないといけない身体にしてやるよ。
「さ…んにゃ…ッ」
うおぉぉぉぉぉぉぉ。女子の名前呼び捨てするのって超恥かしいぃぃぃぃ。それに噛んじまったぁぁぁぁぁぁぁ。俺のばかやろぉぉぉぉ。
弥生のことを最初に名前呼びした時ってどんな感じだっけ?……あれ?なんか弥生は弥生だな。そもそも苗字何だっけ…?????そうそう、宮崎だ。弥生は女子というよりか幼馴染だからな。あんま参考にならないわ。
一人葛藤している俺に対し、頭の上に疑問符を浮かべながら尋ねてくる五木。
「さ…んにゃ?何のことでしょうか?」
容赦ない追撃が炸裂。『佐奈』って呼び捨てしようと思ったら噛みましたなんて恥ずかすぎて言えるわけがないわっ!ニマニマしている五木が腹立たしい。
何か…。にゃにか誤魔化す策はにゃいか…。にゃ!そうだこれだ!
「五木さんにゃ。今日はいい天気にゃ?」
うん、我ながら苦しい。美少女キャラの語尾『にゃ』でどうにか誤魔化したが、頬がぴくぴくする。でも、五木に一本取られるよりかはまだましだ。ってことにしておこう。
五木は一瞬きょとんとした表情になったが、すぐに穏やかな表情になって言葉を返してくる。
「そうですね。こんなに良い天気の日には、外でお茶でもしたいところですわ」
いや、まさかの『にゃ』をスルーですか。いつものようにからかってくれると、冗談に決まってるだろ?、アハハで済むのに、スルーされると俺がただの変態みたいじゃないか。『にゃ』で自分をキャラ付けする予定ないんすけど?!
でもまだ危険だ、五木の口元がいやらしくUの字になっている。これは絶対よからぬことを企んでいるに違いない。もう一回ぐらい『にゃ』で誤魔化しておこう。
「五木さんにゃ、お茶を飲むのがお好きなのにゃ?」
「はい!大好きですわ」
快活な微笑みを浮かべる五木。文脈からして自分のことではないことは重々承知なのだが、女の子に『大好き』とか言われると不覚にもドキリとしてしまうので止めて頂きたく思います。はい。
それにしても、悉く『にゃ』をスルーですね、五木さん。何か企んでいると思っていたんだけど、勘違いみたいだな。五木も『にゃ』をスルーする方向でお決めになったようですし、『にゃ』の出番はこれにて終了。何もなかった体で普通の会話に戻ろう。これ以上『にゃ』を行使すると俺の大事な何かが抜け落ちてしまうからな。
「そうなんだ。お店とかでお茶する感じ?」
「そうですね、お店でも頂いたりしますが、最近は自分でお茶をたてたりもしますわ」
「すげぇな。もしかして茶道部とか入ってたりすんの?」
「ご明察です。流石ですわね健太さん」
五木は楽し気な声で返答。ほー。五木が和服でお茶をたてる…。悔しいがめっちゃ似合ってそう。
それに、普段毒をはかれているせいか、急に褒められるとギャップがズキューンと来る。これがギャップ萌えというやつか。
いやいや!五木に萌えるな。自分のペースを取り戻せ。
俺の内心を知ってか知らずか、五木が後を継ぐ。
「それでですね、今度の土曜日にお茶会がありますの。宜しければお越しになりませんか?」
おふっ。五木さんそんなに積極的に誘ってくると、ほんと僕のこと好きなんじゃないかって確信しちゃいますよ?!えーと、土曜日は何も予定ないです。いえむしろ予定が入っていてもお邪魔します。五木親衛隊のリーダーの僕が行かないわけないじゃないですか!
「はい!喜んで!」
「嬉しいですわ。約束ですわよ」
そう言って、亜麻色の髪の少女は、華奢な小指を僕の方に差し出してくる。それに対して、僕は小指を素早く差し出し、彼女の指に絡ませる。五木の指は柔らかく、ほのかに温かった。
「指切りげんまん、嘘ついたら、健太さんの秘密学校中に広めーる、指切った」
「っておい。今恐ろしいこと聞こえたんけど?!」
彼女の言葉に平常心を取り戻した俺に対し、そっぽを向いて肩を震わせる五木。
一段落したところで、そういえば、と小悪魔的な笑顔で五木が切り出す。
「先ほどの『にゃ』というのは、健太さんの口癖でしょうか?」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。羞恥のあまり両手で顔面を覆い隠す俺。スルーしてくれたんじゃなかったのかよ?!冷静になって考えると、何で『にゃ』とか言ったんだろ?!あの時の俺を殴ってやりたい。
「可愛らしかったですわ。もう一度健太さんの『にゃ』を聞きたいです」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ここぞとばかりに畳みかけてくる五木。ヒットポイントはもうゼロだ。瀕死状態の俺の横にすり寄ってきて耳元で呟く五木。
「『にゃ』を語尾に付けないのかにゃ?健太にゃん?」
にゃん…だと…。五木が『にゃ』を使う?やべぇ、超かわいいんですけど。録音しておけばよかった。この瞬間自身の醜態よりも、五木の『にゃ』の可愛さが上回った。
がばっと顔を上げて五木の表情を覗こうとするも、彼女が顔を逸らしてしまったため、どんな表情をしているかは読み取れない。が、耳元が真っ赤になってることからも、想像以上に恥ずかしかったご様子。
そこも含めて超萌えるんですけど。五木のくせに、五木のくせに。
二人して赤くなっていると、前から声がかかる。見ると、チンピラ3人衆が進行方向に立ちはだかっていた。
「おいおい、朝からカップルで登校デートとは見せつけてくれるじゃねぇか」
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