津軽藩以前

かんから

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鹿角合戦 永禄十二年(1569)秋

南部の跡継ぎ 4-3

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「……よし、西に兵をまわそう。」

 “この城の兵は少ない。どちみち援軍の到着前に落ちる”

 “すると……どれだけ早く、落とせるか”

 “そうだ。九戸の伏兵はきっと、南側の川を回ってやってくるだろう。だがあちらは姿を隠せない……”

 “森である分、好都合ですな”

 諸将らは議論を深める。


 ここで、信直は立ち上がった。

 「私自ら首をとった方が、大殿への働きかけとなろう。政信は北から城の正面へ向かえ。」


 “えっ……。では兄上は……”

 “伏兵として、西より城に乗り込む”


 大光寺は慌てて静止した。

「殿自ら……御身がなくば、家督も継げませぬぞ。」

”もしもがございますれば”

“一度くらい死地をくぐらなければ、大きな成果は得られん”


 信直は周りを睨む。そして大声で叫んだ。

「誰かいるか。私について来るものは。」


 為信の決断は早かった。真っ先に手をあげる。ほかに手をあげる者はいない。信直は為信へ近づき、肩を叩く。“よろしく頼む” と言い、その場を後にした。
 政信はおろおろとするばかり、大光寺は無言。諸将らは為信に“くれぐれも殿に大事なきように”と励ましをおくった。

 ……為信は、自陣へ戻る。小笠原は家来衆の末席で、目を瞑って座していた。無の境地とでもいうべきだろうか、手柄を立てることだけが彼の頭の中にあるのだろう。

 為信は指示を出す。

 「皆々、大浦兵は田子様と共に兵を進めることとなった。早速だが出陣する。」

 ……為信は大任を仰せ預かった。森岡は小笠原を少し見て、すぐに顔を戻す。

 ……お飾りの主の元、兵らは我先にと付いていった。
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