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石川高信、病没 元亀一年(1570)春
最後の鷹狩 6-1
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夜、為信は戌姫の元を訪ねる。戌姫は今、一人だ。
二人は座るだけ。互いに無言で、顔を合わせない。同じ方を向く。
「なあ……三年も続いておる。」
“……そうですね”
「……私は、こなければよかったか。」
“……”
為信、十九。戌姫、十七。久慈より養子に入ってこのかた、さして変わらぬ。
……鼎丸と保丸は怯えていた。家来らのかつての妄想を真に受けたのだろうか。あの二人を殺せば家督は譲らなくても済む。だから為信はなにか企んでいると。
戌姫も、信じ切れてないだろう。
そのような状態で、ましてや体を交わすなど、できようがない。
為信には耐えきれない。話をしてみようと来てはみたが、無理だ。いたたまれなくなって、その場を去る。
戌姫は手鏡を見た。己の顔はどうであろうかと。
“このまま全てが終わるのか。いや、終わりたくはない”
……どうすればいいか、わからない。
冬に入り、再び正月を迎えた。為信と戌姫、二人は上座にて、家来らをねぎらう。この時ばかりは“仮面”を被る。
去年の正月は偽一揆があったため、ニ年ぶりの祝賀であった。
ここで兼平は二人の横に立ち、三戸から届いたという吉報を皆々に伝える。
“南部晴政公側室の彩子様、ご懐妊”
ん、待てよ、それは……一抹の不安。男子なら、田子信直公はどうなる……んん、酒で頭が回らない。家来たちも同じだった。それよりも、為信と戌姫の間に子がいないことを口々に言い立てる始末。
二人は座るだけ。互いに無言で、顔を合わせない。同じ方を向く。
「なあ……三年も続いておる。」
“……そうですね”
「……私は、こなければよかったか。」
“……”
為信、十九。戌姫、十七。久慈より養子に入ってこのかた、さして変わらぬ。
……鼎丸と保丸は怯えていた。家来らのかつての妄想を真に受けたのだろうか。あの二人を殺せば家督は譲らなくても済む。だから為信はなにか企んでいると。
戌姫も、信じ切れてないだろう。
そのような状態で、ましてや体を交わすなど、できようがない。
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……どうすればいいか、わからない。
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