23 / 26
星神の器
しおりを挟む
「…さて、早速ではあるが…優星の星神器を発現させないといけないな」
「えっ!? そんなにすぐできるものなんですか!?」
握手を解くと、李土はすぐさま切り替えていく。驚く優星をよそに、話が進められていった。その傍らでは、愛美が自らの星神器であるペンデュラムで、なにやら陣を描き始めている。その間に、李土が説明を続けた。
「まず星神器には、『変形型』と『融合型』に分かれる。愛美や俺のように、普段身に付けているものから武器へと変化させるタイプが変形型」
そう言って、持っていた杖を解除すると、彼の手には、飾りの付いたシンプルなペンが握られている。これが、愛美のものはイヤーフックになる、ということだろう。再び杖へ変化させると、今度は水琴と火弥を見やる李土。
「あの二人は、星神器を体の内(なか)にしまうことができるんだ。その特徴に、体のどこかに星型の痣がある。ただ、地星界では痣があっても不思議なことに見えないんだがな」
「一部では、地星界には霜星力が無いからじゃないか、という説もありますよね」
陣を描き終えたのか、愛美が説明の補足をする。地面には、白銀にも黄金にも見える不思議な光で、魔法陣らしき模様が浮かび上がっている。愛美の補足に頷きながら、李土も説明を続ける。
「水琴はその痣が両手首にあったかな。火弥は…」
「私のはココよ」
「えっ…って! 火弥先輩、何してるんですか!?」
優星が驚くのも無理はなかった。火弥がスカートの裾を軽くめくりながら、大胆にも太腿を出して見せてきたのだ。さすがの李土も、彼女のその行動に戸惑っているのか視線を逸らしている。一緒にいた愛美は、「女の子がそういうことをしちゃいけません!」と言いながら火弥の手を抑えている。しかし周囲のそんな反応を見ても、当の火弥本人は動じていない。
「こういうのは実際見せた方が早いでしょう? こんなことで戸惑っていたら、いざ実戦となった時には敵の思うつぼよ」
「それとこれとはまた違うでしょう…」
「…まあとりあえず、星神器にはこういったタイプがあるということだ。これから優星の星神器も、名前とタイプをはっきりさせようって訳だ。他に質問はあるか?」
「えっと…その名前って、どうやって決めるんですか…? 全然思いつかないんですけど…」
「それは問題ない。何しろ、星神器の名前はもとより既に決まっているんだ。今から行うのは、それを発現させるだけだ」
仕切り直した李土は、愛美が描いた陣に歩み寄り、優星を手招く。それに対し、優星も恐る恐る近づき、李土の隣に立った。他のメンバーも、静かにその様子を見守る。
「さ、陣の中央に」
「…っ」
李土に促され、ゆっくりと陣の中央へ歩みを進めていく。中心に立ち、李土の方へ向き直ると、愛美が星神器を構えていた。そして振り子をゆらりゆらりと回し始める。
「えっ!? そんなにすぐできるものなんですか!?」
握手を解くと、李土はすぐさま切り替えていく。驚く優星をよそに、話が進められていった。その傍らでは、愛美が自らの星神器であるペンデュラムで、なにやら陣を描き始めている。その間に、李土が説明を続けた。
「まず星神器には、『変形型』と『融合型』に分かれる。愛美や俺のように、普段身に付けているものから武器へと変化させるタイプが変形型」
そう言って、持っていた杖を解除すると、彼の手には、飾りの付いたシンプルなペンが握られている。これが、愛美のものはイヤーフックになる、ということだろう。再び杖へ変化させると、今度は水琴と火弥を見やる李土。
「あの二人は、星神器を体の内(なか)にしまうことができるんだ。その特徴に、体のどこかに星型の痣がある。ただ、地星界では痣があっても不思議なことに見えないんだがな」
「一部では、地星界には霜星力が無いからじゃないか、という説もありますよね」
陣を描き終えたのか、愛美が説明の補足をする。地面には、白銀にも黄金にも見える不思議な光で、魔法陣らしき模様が浮かび上がっている。愛美の補足に頷きながら、李土も説明を続ける。
「水琴はその痣が両手首にあったかな。火弥は…」
「私のはココよ」
「えっ…って! 火弥先輩、何してるんですか!?」
優星が驚くのも無理はなかった。火弥がスカートの裾を軽くめくりながら、大胆にも太腿を出して見せてきたのだ。さすがの李土も、彼女のその行動に戸惑っているのか視線を逸らしている。一緒にいた愛美は、「女の子がそういうことをしちゃいけません!」と言いながら火弥の手を抑えている。しかし周囲のそんな反応を見ても、当の火弥本人は動じていない。
「こういうのは実際見せた方が早いでしょう? こんなことで戸惑っていたら、いざ実戦となった時には敵の思うつぼよ」
「それとこれとはまた違うでしょう…」
「…まあとりあえず、星神器にはこういったタイプがあるということだ。これから優星の星神器も、名前とタイプをはっきりさせようって訳だ。他に質問はあるか?」
「えっと…その名前って、どうやって決めるんですか…? 全然思いつかないんですけど…」
「それは問題ない。何しろ、星神器の名前はもとより既に決まっているんだ。今から行うのは、それを発現させるだけだ」
仕切り直した李土は、愛美が描いた陣に歩み寄り、優星を手招く。それに対し、優星も恐る恐る近づき、李土の隣に立った。他のメンバーも、静かにその様子を見守る。
「さ、陣の中央に」
「…っ」
李土に促され、ゆっくりと陣の中央へ歩みを進めていく。中心に立ち、李土の方へ向き直ると、愛美が星神器を構えていた。そして振り子をゆらりゆらりと回し始める。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる