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来襲と情報屋の実力
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「…さて、この方角に向かうとすると、次は『レグ=ディーユ』の村だな」
「あ、聞いたことがあります。自然に囲まれて、とても美しい村だと」
「村を囲む樹木のほとんどが白樺だしな。圧巻だぞー」
「ちょっと、観光するために行くんじゃないんだから」
「そう言うなってリディル。なかなか見られないだろ? 街の外にも滅多に出ていないんだろうし」
「……」
ピリピリした空気を和ませようとしているフィーズからは、先ほどのような思いつめた感じはもう見えなかった。そんな姉妹と話している彼の様子を、後ろを歩くテイザーがただ不審そうに見つめている。
「! おーい、あまり遅いとラテュル連れて先行くぞー」
「…っあんたが仕切るな…!」
「はいはい」
「テイザー様、そんな警戒しないでください…フィーズさんは本当に悪い人じゃありませんから…」
「…ラテュル…」
「はぁ…早く進まないと、日が暮れるわよ……!」
やり取りを見ていたリディルが呆れて先を進もうと前に出た矢先、何かに気付き足を止めるリディル。それにフィーズも気付き、彼女の隣に立ち身構える。
「リディル、まさかあれ…」
「えぇ、そのまさかよ…」
二人の視線の先…何かがこちらへ向かってくる。徐々に見えてきたのは、おぞましい数の魔物の大群だった。そのほとんどが、大柄な魔物で占められている。
「おいおい…これはいったいどうしたものか…」
「やるしかないでしょう。食い止めなきゃ、ミサ=ラミアが無くなるわよ」
「リディル…! あんな数の魔物の相手は無茶よ!」
「ラテュルはどこかに隠れるか、ラミアーユ氏にこのことを伝えて。私は大丈夫だから」
「でも…!」
「テイザー、ラテュルは任せるからな!」
「なっ! そんな勝手な事…!」
「来るわよ!」
そうこうしているうちに、大群が四人に迫ってくる。リディルは蒼色水晶をサーベルに変換し構える。隣では、フィーズがコインのようなものを軽く宙に投げながら構えていた。
「…あんた…まさかそれで戦う気…?」
そういえば彼の戦闘能力を見たことが無い、とリディルが思い出したときには、魔物がすぐそこまで迫ってきていた。するとフィーズは、待ってましたと言わんばかりに、持っていたコインを魔物に投げつけた。
「お披露目といきますかっ!」
投げつけられたコインは、光がはじけたかと思うと、一瞬にして魔物たちの動きを止めた。よく見ると、魔物たちの足が氷のようなもので覆われ、その場に固定されているではないか。
「よし! 効果は上々ってとこだな!」
「そんな便利なもの持っておきながら、何で盗賊から必死に逃げるだけだったのよあんた…!」
「いやこれ魔物用だから…ってリディル! 上!」
「…わかってるわよ」
フィーズが気付いた時には既に、リディルに襲いかかっていた魔物は八つ裂きになって崩れ落ちていた。この咄嗟の判断でいつの間に攻撃を入れたのか、あまりに一瞬の出来事で、フィーズは呆気にとられていた。
「何ぼうっとしてるの! 早くしないと次が来るわよ!」
「っ! おう!」
リディルの言う通り、倒してはすぐに次の大群がかなり早い段階で迫ってきていた。フィーズもコインを近づいてくる魔物たち目がけて手早く投げつける。最初の氷漬けにさせるだけでなく、炎や雷撃も起こし、魔物を翻弄させている。そのおかげで足が止まった魔物を、リディルがサーベルで次々と切り倒していった。
そして、大群が向かってくる方角を見やると、まだ多くの魔物がこちらへ駆けてくる。
「…これは長丁場になりそうね…」
リディルがそう呟いた時…魔物の大群が、一瞬にして消えた。何が起きたのか、二人にもわからなかった。ただ一瞬、光に包まれたかと思うと、凶暴な魔物たちが跡形もなく消え去っていたのだ。
「…なんだったんだ…? 今のは…」
ちょうどラテュルとテイザーも街から出てきたところで四人が再び合流する。その後ろにはツグマもいたが、彼も含めまるで狐につままれたような表情をしていた。今起きた出来事を三人に一部始終話したが、その場にいる全員が腑に落ちない様子で話を聞いた。
しばらく様子を見ても、これ以上何も起きないと判断し、ツグマに街の状況を随時報告するよう告げ、四人はそのまま旅を再開させた。
同じころ、周囲より少し高い木の上に、先ほど教会の上で見守っていた人物が、再び一行を見つめていた。そして旅が再開されたことを確認すると、また追いかけるように光となって消えていった。
「あ、聞いたことがあります。自然に囲まれて、とても美しい村だと」
「村を囲む樹木のほとんどが白樺だしな。圧巻だぞー」
「ちょっと、観光するために行くんじゃないんだから」
「そう言うなってリディル。なかなか見られないだろ? 街の外にも滅多に出ていないんだろうし」
「……」
ピリピリした空気を和ませようとしているフィーズからは、先ほどのような思いつめた感じはもう見えなかった。そんな姉妹と話している彼の様子を、後ろを歩くテイザーがただ不審そうに見つめている。
「! おーい、あまり遅いとラテュル連れて先行くぞー」
「…っあんたが仕切るな…!」
「はいはい」
「テイザー様、そんな警戒しないでください…フィーズさんは本当に悪い人じゃありませんから…」
「…ラテュル…」
「はぁ…早く進まないと、日が暮れるわよ……!」
やり取りを見ていたリディルが呆れて先を進もうと前に出た矢先、何かに気付き足を止めるリディル。それにフィーズも気付き、彼女の隣に立ち身構える。
「リディル、まさかあれ…」
「えぇ、そのまさかよ…」
二人の視線の先…何かがこちらへ向かってくる。徐々に見えてきたのは、おぞましい数の魔物の大群だった。そのほとんどが、大柄な魔物で占められている。
「おいおい…これはいったいどうしたものか…」
「やるしかないでしょう。食い止めなきゃ、ミサ=ラミアが無くなるわよ」
「リディル…! あんな数の魔物の相手は無茶よ!」
「ラテュルはどこかに隠れるか、ラミアーユ氏にこのことを伝えて。私は大丈夫だから」
「でも…!」
「テイザー、ラテュルは任せるからな!」
「なっ! そんな勝手な事…!」
「来るわよ!」
そうこうしているうちに、大群が四人に迫ってくる。リディルは蒼色水晶をサーベルに変換し構える。隣では、フィーズがコインのようなものを軽く宙に投げながら構えていた。
「…あんた…まさかそれで戦う気…?」
そういえば彼の戦闘能力を見たことが無い、とリディルが思い出したときには、魔物がすぐそこまで迫ってきていた。するとフィーズは、待ってましたと言わんばかりに、持っていたコインを魔物に投げつけた。
「お披露目といきますかっ!」
投げつけられたコインは、光がはじけたかと思うと、一瞬にして魔物たちの動きを止めた。よく見ると、魔物たちの足が氷のようなもので覆われ、その場に固定されているではないか。
「よし! 効果は上々ってとこだな!」
「そんな便利なもの持っておきながら、何で盗賊から必死に逃げるだけだったのよあんた…!」
「いやこれ魔物用だから…ってリディル! 上!」
「…わかってるわよ」
フィーズが気付いた時には既に、リディルに襲いかかっていた魔物は八つ裂きになって崩れ落ちていた。この咄嗟の判断でいつの間に攻撃を入れたのか、あまりに一瞬の出来事で、フィーズは呆気にとられていた。
「何ぼうっとしてるの! 早くしないと次が来るわよ!」
「っ! おう!」
リディルの言う通り、倒してはすぐに次の大群がかなり早い段階で迫ってきていた。フィーズもコインを近づいてくる魔物たち目がけて手早く投げつける。最初の氷漬けにさせるだけでなく、炎や雷撃も起こし、魔物を翻弄させている。そのおかげで足が止まった魔物を、リディルがサーベルで次々と切り倒していった。
そして、大群が向かってくる方角を見やると、まだ多くの魔物がこちらへ駆けてくる。
「…これは長丁場になりそうね…」
リディルがそう呟いた時…魔物の大群が、一瞬にして消えた。何が起きたのか、二人にもわからなかった。ただ一瞬、光に包まれたかと思うと、凶暴な魔物たちが跡形もなく消え去っていたのだ。
「…なんだったんだ…? 今のは…」
ちょうどラテュルとテイザーも街から出てきたところで四人が再び合流する。その後ろにはツグマもいたが、彼も含めまるで狐につままれたような表情をしていた。今起きた出来事を三人に一部始終話したが、その場にいる全員が腑に落ちない様子で話を聞いた。
しばらく様子を見ても、これ以上何も起きないと判断し、ツグマに街の状況を随時報告するよう告げ、四人はそのまま旅を再開させた。
同じころ、周囲より少し高い木の上に、先ほど教会の上で見守っていた人物が、再び一行を見つめていた。そして旅が再開されたことを確認すると、また追いかけるように光となって消えていった。
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