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火中からの脱出
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フィーズはギョッとした表情を一瞬見せたが、それも束の間、すぐにリディルの後に続くようにフルーナを抱えて窓の方へ向かった。そして次の瞬間、リディルは一息で窓との間合いを詰め…
「はあっ!!」
短剣の突きも合わせ、一気に窓を蹴破り外へ飛び出した。フィーズも後を追い飛び降りた。その凄まじい音に、外から見守っていた町の人々は、中で爆発が起きたと思いどよめいている。ラテュルとテイザーも、不安な様子で伺っていた。
「…どいて!!」
「えっ!?」
上からの声に、さらに驚く住人たち。言われた通り散り散りに避けた所に、二人が勢いよく降ってくる。再び爆発した時のような土煙とともに、少女たちを抱えた二人の男女が現れた。あの勢いで落ちてきたというのに、驚いたことに二人に目立った損傷はなく、見事な着地を決めていたのだ。
「リディル! フィーズさん!」
真っ先にラテュルが二人のもとへ駆け寄る。特にリディルには、目に涙を浮かべながら抱きついた。相変わらず無表情ではあるが、どことなく少し困ったように、リディルは姉を見ていた。
「ラテュル…そうされると動けないわ」
「よかった…! 無事でよかったぁ! 二人ともなかなか戻ってこないものだから、すごく心配したのよ…!」
「すまないラテュル…それより、フルーナとミリル、無事救出。親御さんのところに帰してやらないと」
そう言ってフィーズが住人たちの方へ向き直ると、それを合図に大きな歓声が上がった。フルーナは、二人へ笑顔で感謝を言うと、両親のもとへ自ら走って行った。
「…後はこの子だけね。まだ気を失っているようだけど…」
リディルの言う通り、ミリルの意識はまだ戻っていなかった。その様子を察した学校の先生が、木陰のそばにあるベンチに横たわらせるよう提案した。
彼女の意識が戻るまで、ラテュルが優しく看病していた。その間に、ようやく水魔法の使える術師たちが到着し、学校の火事は徐々に鎮められていった。
「…それにしても、このミリルって子。まだこんなに幼いのに、よくあんな高等術を使えるなぁ…大人顔負けだよ」
「……………」
「そんなにすごかったんです?」
「すごいのなんの。あんな場所に子供だけ取り残されていたら普通助からないと思うだろ? 子供ながらに水魔法が使えるとしても、時間の問題。なのにこの子の術で作られたものは、外からの強い衝撃にも耐えられる。中の自分たちは息もできる。それを長時間維持できる。好条件すぎるくらいだ」
フィーズが説明している間、ラテュルはミリルの能力に感心しきっていた。しかしリディルは、どうにも腑に落ちない表情を浮かべていた。フィーズもそれに気付いたが、深く追求せずにやり過ごした。
しばらく看病を続けていると、ミリルの腕が微かに動き、重い瞼が薄く開いた。
「はあっ!!」
短剣の突きも合わせ、一気に窓を蹴破り外へ飛び出した。フィーズも後を追い飛び降りた。その凄まじい音に、外から見守っていた町の人々は、中で爆発が起きたと思いどよめいている。ラテュルとテイザーも、不安な様子で伺っていた。
「…どいて!!」
「えっ!?」
上からの声に、さらに驚く住人たち。言われた通り散り散りに避けた所に、二人が勢いよく降ってくる。再び爆発した時のような土煙とともに、少女たちを抱えた二人の男女が現れた。あの勢いで落ちてきたというのに、驚いたことに二人に目立った損傷はなく、見事な着地を決めていたのだ。
「リディル! フィーズさん!」
真っ先にラテュルが二人のもとへ駆け寄る。特にリディルには、目に涙を浮かべながら抱きついた。相変わらず無表情ではあるが、どことなく少し困ったように、リディルは姉を見ていた。
「ラテュル…そうされると動けないわ」
「よかった…! 無事でよかったぁ! 二人ともなかなか戻ってこないものだから、すごく心配したのよ…!」
「すまないラテュル…それより、フルーナとミリル、無事救出。親御さんのところに帰してやらないと」
そう言ってフィーズが住人たちの方へ向き直ると、それを合図に大きな歓声が上がった。フルーナは、二人へ笑顔で感謝を言うと、両親のもとへ自ら走って行った。
「…後はこの子だけね。まだ気を失っているようだけど…」
リディルの言う通り、ミリルの意識はまだ戻っていなかった。その様子を察した学校の先生が、木陰のそばにあるベンチに横たわらせるよう提案した。
彼女の意識が戻るまで、ラテュルが優しく看病していた。その間に、ようやく水魔法の使える術師たちが到着し、学校の火事は徐々に鎮められていった。
「…それにしても、このミリルって子。まだこんなに幼いのに、よくあんな高等術を使えるなぁ…大人顔負けだよ」
「……………」
「そんなにすごかったんです?」
「すごいのなんの。あんな場所に子供だけ取り残されていたら普通助からないと思うだろ? 子供ながらに水魔法が使えるとしても、時間の問題。なのにこの子の術で作られたものは、外からの強い衝撃にも耐えられる。中の自分たちは息もできる。それを長時間維持できる。好条件すぎるくらいだ」
フィーズが説明している間、ラテュルはミリルの能力に感心しきっていた。しかしリディルは、どうにも腑に落ちない表情を浮かべていた。フィーズもそれに気付いたが、深く追求せずにやり過ごした。
しばらく看病を続けていると、ミリルの腕が微かに動き、重い瞼が薄く開いた。
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