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仇の水結界
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「っ!!………~~っ!!!」
「落ち着いて!! そうやって動いたら余計に…!」
「ミリルおねえちゃんっ!」
リディルの必死の説得も届かず、ミリルは手足をバタつかせ藻搔いている。その間にも、周囲の炎が責め立てるように激しくなっていく。リディルとフィーズが被ってきた水分も炎によってほとんど乾き、熱が肌に直接まとわりつく。フィーズはもちろん、リディルにも焦りの表情が見える。
「リディル、このままだと…!」
「わかってるわよ!! でもこの子を置いて行けないでしょ!?」
「それはそうだけど…!」
言い争っても埒のあかない状況。それは二人共わかっていた。どうしようもできない状況が、追い討ちをかけるように余計に二人を苛立たせていた。
それと同時に、リディルは不思議な感覚を覚えていた。
(…それより、さっきから感じるこれは、何…? この水に触れる度に、何かあたたかいものが流れ込んでくるような…そんな感覚…)
ミリルを中から出そうと球体に爪を立てるように掴む度、そんな感覚がリディルを戸惑わせた。あたたかく、どこか懐かしささえある。その感覚に戸惑いながらも、必死の救出を試みるリディル。
とうとう、手では破れないと悟ったリディルは、短剣を取り出した。中にいるミリルのことを考え、刃物は使わないでいたが、この状況でそんな悠長なことは言っていられない。魔法でできているものなら、同じ魔法で相殺することができるのでは、と考えたのだ。
「…ミリル。私も気を付けるけど、もし当たったらごめん」
「…っ!! ゴボ…ッ!」
「フィーズ、ちょっとこの球体押さえててもらえる? フルーナも」
「あ、おう! わかった!」
(…剣先に力を集中させて…)
リディルの言葉にフィーズは反射的に反応し、彼女の反対側から、抱えていたフルーナと共に水の球体を動かないよう押さえた。その間に静かに集中力を高めるリディル。
そして少しの沈黙の後。短剣を大きく振りかざし、弾力のある球体にその切っ先を突き立てた。案の定、その表面に穴が空くことはなく、一点を強く押し込んでいるだけだった。
リディルはより一層魔力を集中させ、さらに力を込めた。
(…っ! 破れな、さい…!!)
「あぁあああぁああぁあああっ!!!!」
──…ブツっ!
「! 刺さった!フィーズ、フルーナ、一度こっちに来て!」
「え? おう…?」
短剣を突き刺したまま、リディルは動きを止め、球体を押さえていた二人を側に呼んだ。リディルを挟んで三人が並ぶようにして、再び球体を押さえる。そして、リディルが突き刺した短剣を下に引き下ろした。それにより、剣の刺さった穴が広がり、開いた隙間から水が勢いよく噴出し、三人の身体に大量にかかった。同時に球体が萎み、ぐったりと脱力したミリルが地面に倒れこむ。それを確認したリディルは急いで彼女にまとわりついている膜を引き剥がし救出した。周囲には先ほどよりも激しい炎が渦巻き、ほとんど身動きが取れない状況となっていた。
「しまった…これは一体どうするよ、リディル」
「…脱出しないわけにもいかないでしょ。…飛ぶわよ」
「は…?」
そう言ってリディルは、ミリルを抱え、一番近い場所にあった窓へ向き直り短剣を構えた。
「落ち着いて!! そうやって動いたら余計に…!」
「ミリルおねえちゃんっ!」
リディルの必死の説得も届かず、ミリルは手足をバタつかせ藻搔いている。その間にも、周囲の炎が責め立てるように激しくなっていく。リディルとフィーズが被ってきた水分も炎によってほとんど乾き、熱が肌に直接まとわりつく。フィーズはもちろん、リディルにも焦りの表情が見える。
「リディル、このままだと…!」
「わかってるわよ!! でもこの子を置いて行けないでしょ!?」
「それはそうだけど…!」
言い争っても埒のあかない状況。それは二人共わかっていた。どうしようもできない状況が、追い討ちをかけるように余計に二人を苛立たせていた。
それと同時に、リディルは不思議な感覚を覚えていた。
(…それより、さっきから感じるこれは、何…? この水に触れる度に、何かあたたかいものが流れ込んでくるような…そんな感覚…)
ミリルを中から出そうと球体に爪を立てるように掴む度、そんな感覚がリディルを戸惑わせた。あたたかく、どこか懐かしささえある。その感覚に戸惑いながらも、必死の救出を試みるリディル。
とうとう、手では破れないと悟ったリディルは、短剣を取り出した。中にいるミリルのことを考え、刃物は使わないでいたが、この状況でそんな悠長なことは言っていられない。魔法でできているものなら、同じ魔法で相殺することができるのでは、と考えたのだ。
「…ミリル。私も気を付けるけど、もし当たったらごめん」
「…っ!! ゴボ…ッ!」
「フィーズ、ちょっとこの球体押さえててもらえる? フルーナも」
「あ、おう! わかった!」
(…剣先に力を集中させて…)
リディルの言葉にフィーズは反射的に反応し、彼女の反対側から、抱えていたフルーナと共に水の球体を動かないよう押さえた。その間に静かに集中力を高めるリディル。
そして少しの沈黙の後。短剣を大きく振りかざし、弾力のある球体にその切っ先を突き立てた。案の定、その表面に穴が空くことはなく、一点を強く押し込んでいるだけだった。
リディルはより一層魔力を集中させ、さらに力を込めた。
(…っ! 破れな、さい…!!)
「あぁあああぁああぁあああっ!!!!」
──…ブツっ!
「! 刺さった!フィーズ、フルーナ、一度こっちに来て!」
「え? おう…?」
短剣を突き刺したまま、リディルは動きを止め、球体を押さえていた二人を側に呼んだ。リディルを挟んで三人が並ぶようにして、再び球体を押さえる。そして、リディルが突き刺した短剣を下に引き下ろした。それにより、剣の刺さった穴が広がり、開いた隙間から水が勢いよく噴出し、三人の身体に大量にかかった。同時に球体が萎み、ぐったりと脱力したミリルが地面に倒れこむ。それを確認したリディルは急いで彼女にまとわりついている膜を引き剥がし救出した。周囲には先ほどよりも激しい炎が渦巻き、ほとんど身動きが取れない状況となっていた。
「しまった…これは一体どうするよ、リディル」
「…脱出しないわけにもいかないでしょ。…飛ぶわよ」
「は…?」
そう言ってリディルは、ミリルを抱え、一番近い場所にあった窓へ向き直り短剣を構えた。
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