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02 ー he ー
16-1
しおりを挟む「駄目だっ…」
海は半分悲鳴のように叫ぶ。
班長は、手に持った袋の中身を軽く確認して、少し脱力した感じで笑った。
「あーあ。割れちゃった…」
そうして、シンクに残っていた破片をゴム手袋で丁寧に拾い、その紙袋に一緒に入れてゴミ箱に捨てた。
「はい、これでこの話は終了」
「……そんな事、…どうして……」
「いいんだよ。これで、オシマイ」
肩をすくめ、ソファの隣に腰掛けて、煙草に火を付ける。
「良くない…」
動揺する。
自分を庇ってくれた事がわかる。
酷い事をした。
自分のために、この人にも、酷い事をさせてしまった。
自分の身体を心配して、休みの日なのに、家に招いて、わざわざ自分のために食事を作って食べさせてくれた。
なのにこんな事をさせてしまった。
最悪だ。傷口がずきずきと痛む。自己嫌悪に陥って下を向く。
壊した。人の大事なものを。綺麗なものを。
庇わせて、同じ事をさせてしまった。
二つもあったのに、両方ともなくさせてしまった。ゴミにさせてしまった。
もう、どう謝ったらいいのか分からない。
それでも、侘びるしかない。
「…ごめんなさい…」
怪我をした拳を固く固く握り締める。
この人は、いつもいつもこんな事をする。
屋上で写真を失くしそうになった時も、警備を呼ぶために自分の貴重品を投げた。
公園の時も、寒いのに、自分の上着を脱いで寄越した。
俺なんかのために、いつも。どうして。
やめてくれ…。
「すみません……俺、やっぱり来るんじゃなかった。余計な事、するんじゃなかった」
海は、もう顔を上げられなくなって沈み込んで行く。
「帰ります……すみませんでした…」
そうしてのろのろと立ち上がって、お邪魔しました、と言って上着を掴み、出て行ってしまった。
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