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03 ー slowly ー
13-1
しおりを挟む休み明け。
まだ慣れない身体を引きずってやっと週末の出勤日。
暑かったり、寒かったり、天気も気圧もおかしくて。
俺の身体は相変わらずやる気がなくて、こういう季節はいつもくらくらする。
それでなくとも、休暇の後の出勤は、冬眠から目覚めた動物のように、精神的にも体力的にも辛い。
それでも、無理にでもきちんとした食事をさせられているせいか、以前よりはずっとましなのかもしれない。
今日行けば、また休める。
サイドテーブルで鳴り続ける電話のアラームを止めてなんとか立ち上がり、シャワーを浴びた。
駅。
いつもの時間にはあの人に会わなかった。今日もどこかに外回りか。
さすがにこの日は休みにする人も多いのかと思いきや、普段通りの密度の電車の中で、ひとり目を閉じ、呼吸を整えて、混雑に耐える。
電車が揺れて、誰かがどんと当たって来る。
ウッと思うと同時に、その感触にぞっとする。
屋上の時の「どん」のように、また耐えられると思ったが、そうはいかなかった。
当たって、すぐ離れて行ってくれて、良かった。
どうにか呼吸を整えて、静かにしていれば、やがて駅に着く。あとはバスに乗って、無事に職場に到着するだけだ。
バスは一本見送れば必ず座れる。そこでひと息つける。
仕事場に着いてバスから降りると、こんなビル街の何処に巣を作っているのか、燕が一羽、すいと自由に歩道を抜けて行く。
いいな。あんな風に、人がいようが、間を縫って、スイスイと飛んで。
やっぱり、鳥になりたいな、と思いながら、入構ゲートをくぐった。
作業所の中は少し蒸し暑く、誰かが空調を低めに設定していて、仕事をしている間ずっと寒かった。
冷えた肩をさすると、またあの時の感覚と温度が甦る。
あの時間が心地良かったのか、悪かったのかもわからないが、とにかく、自分が、彼を休ませてあげる事が出来たのだ。
ほんの少しの時間でも……
あ、と気が付いて、余計な場所への入力を取り消した。
ぼんやりしてはいけない。集中、集中……
目の前のデータを睨んで、手を速めようとした時、急に周りがざわりとした。
「ぎゃっ、はんちょ」
奥の女性の声がして、びくり、と指が止まった。
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