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〜気がつくと別世界だった?

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 「お母さ~ん、お兄ちゃん学校休むって!」

 「えっ、どうしたの?」

 「頭が痛いって、朝ご飯もいらないって?」

 その後、小学六年生の妹は仲良しの友達が迎えに来て、元気に登校して行った。


 


 父さんはこの時間、すでに出社している…ハズだ。
 
 親類が経営している建設会社で、営業部長をしている…ハズだ?

 多分、何事もなければ…



 この家も社宅だったと思う、でも設計に親父の意見も取り入れてもらったとか。


 両親は社内恋愛で結婚して、未だに仲がいい…ハズ、

 朝、俺を起こしに来た妹が、「学校遅刻しちゃうよ!」と言っていた?

 俺は高校に通っているそうだから、に行く必要は無いだろう?


 何か色々と変だ?

 いい意味で。


 特に妹が生きていて、両親は離婚していない⁇

 

 


 コンコン、

 部屋のドアをノックして母さんが入って来た。


 年より若く見えて、しかも美人だ。

 間違いなく俺の母さんだ。

 ただ俺がよく知っている最近の母さんはもっとしていたのだけど、今目の前にいる母さんは健康そうだ。


 「大丈夫、お兄ちゃん?

 お薬のむ?

 その前に軽く何か食べる?

 お粥作ろうか?」


 世話焼きの母、よく知ってる母さんだ。

 そういえば最近母さんの料理を食べてないなぁ。

 コンビニやスーパーの半額弁当やカップ麺だったり…


 この世界のは幸せなんだな?

 「…じゃ、卵粥で、お願い。」


 「ん、わかりました。
 じゃあ学校には電話してあげるけど、何か先生に伝えておきたい事は有るかしら?」


 「…さぁ、思い付かないよ?」


 「そう、山嵐先生よね、担任の先生のお名前?」


 …ヤマアラシ…担任?


 「嵐山だよ、母さん。」

 「あら、そうだった!

 ありがと、教えてくれて。」


 「ニャン!」


 「あら、マロちゃん!

 お兄ちゃんの事、見ててあげてね。」




 トトトト、

 母は二階のダイニングに降りて行った。


 この家は三階建て…のハズだ。


 一階の半分は駐車スペース、残りは玄関とトイレと納戸と親父の書斎、俺と妹の部屋は三階に有る…ハズだ。

 実は、昨日夜中に覚めてから一歩も部屋を出ていない。



 「マロ助、いやマロン、教えてくれ。

 一体、コレは何なんだ?」


 「ニャァー?」


 「マロン?」


 「あら、マロンとお話し中?」

 母さんが急に戻ってきた?

 「な、何か、あった?」


 「あのね、昨日買ったシャーベットも有るの。

 頭が痛いなら、サッパリ冷たいのも良いかなって?

 食べる?」


 「それじゃ、もらおうかな。」


 「えっと、オレンジとメロンといちごが有るのね。」


 「じゃあ、メロンで。」

 「じゃあ、母さんはオレンジにしょうっと。」

 





 「ふぅ、危なかったニャ?」

 俺のメロンシャーベットを半分食べて、満足しているマロン。

 先程、母さんは買い物に行くと言って、家には俺とマロンだけになった。



 「そろそろ説明しても良いかなニャ。」

 「勿体付けないで教えてくれよ?」


 「わかったニャ、よく聞くニャ、ニイチャン!」


 ソレは信じられない内容だった。


 「実はニャアマロンが死んだのは、に鉄の棒で思い切り叩かれたからニャんだニャ!」


 いきなり、血生臭いな?


 「わ、悪者って?」


 「連続ワンニャン惨殺事件の犯人ニャ!」


 
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