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〜気がつくと告白していた⁈

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 「…って訳だニャ!」


 飼い猫自身から聞かされた「マロン(雄猫)、死の真実!」

 ソレは当時の俺の疑問を一つ解き明かした。


 「そうか、そんな事があったのか…

 てっきり車かバイクにぶつかって、場所まで来て力尽きたのかと思っていたんたけどな?」


 実は当時元の世界では、子犬や子猫を無惨に殺されて、その遺体が公園や学校の校庭に晒す様に置き捨てられる事件が起きていたんだ。


 でもあの日、の駐輪場で倒れていたマロンの遺体は、口から血を吐いていただけで、切り裂かれた様な傷は無かった。

 背中に強い衝撃を受けて、内臓破裂を起こしていたと、獣医師に診断してもらった。

 だから、その事件とは無関係だといたんだ。

 マロンの遺体を見つけた時の喪失感は、俺や母さんを打ちのめすのに充分だった。



 ソレが、【前の世界】の半年前の事だ。

 それは、【この世界】の半年後の事なのだろうか?



 「でニャ、ニャアは気がつくと「ネコジャラシ」いっぱいの草原にいたニャ。」


 「お前、ネコジャラシ好きだもんな。

 …ネコにも「死後の世界」って有るのか、ちょっと興味有るな⁈」


 「違うニャ、ソコはまだ「死後」ではにゃいニャ!

 (死)と(生)の間の世界だったのニャン!」


 「よくラノベにある(異世界転生)みたいな事か?」


 「そんにゃトコニャ。

 でにゃ、ニャンとソコに女神様が現れたニャ!」


 「お約束だな、ソレで生き返らせてもらったと?」


 「ちゃんと最後まで聞くニャ、ニィチャン!

 そんな簡単な話しニャにゃい無いニャ!」



 「…ごめん、続けてくれ。」



 マロンの話しでは、どうやらコイツは死ぬ運命では無かったらしい?

 神様の方でも、予定外の事が起きていたらしいのだ?

 女神様はほんの少し、時間を巻き戻してマロンの事を生き返らせようと提案したが、


 「それだと助かるのはニャアマロンだけなんだニャ。」

 「それじゃダメだったのか?」


 「駄目ニャ、ソレだとは助けられないニャ⁈

 子猫だけじゃにゃい、ミヤも幸せに出来ないニャー!」


 「…ミヤって、まさか「薫」の家の猫か?」

 たしか、マロンをもらった友達と同じ家で産まれた猫らしい。

 兄妹ではないそうだけど、まさか?

 「そうニャ!

 だから、出来るだけ時間を巻き戻してもらったニャ。

 なんとかして、事件そのものを無くしたいからニャン!

 そうしたにゃ、この「世界」に来ていたニャン。」



 「…この…?」


 「ココはニャ、ニャアたちが前にいたと少し違うなんだニャ。


 女神さまの説明だと、さかのぼつた時間はニャアは半年、ニイチャンは一年くらいニャ。」


 「どういう事だ?」


 「ココは「 ぱられるわーるど平行世界」ニャ、ほんの少しだけ前の世界とは、ナニかが違う別世界なのニャン。」


 「別世界か…なぁ、何でお前だけでなく、俺も生き返っているんだ?

 しかも、お前より半年遅く死んだんだぜ?」


「時間を戻しただけでは、ニャア達が不幸を回避出来ないと分かったニャン!
 
 ニャアが幸せなをやり直す為には、ニイチャンの協力が必要だと思ったニャ?

 だから、最初はこの世界のニイチャンに協力を求めるつもりだったニャ。

 でも、目を覚ましたニイチャンはニャアより半年後に死んだニイチャンだったのニャ?

 もしかしたら、死にゃにゃいと、時間を巻き戻せないのかも知れにゃいニャ?


 だから、ニィチャンが生き返って来れたのは、オマケとかついでみたいなモンだニャ?」


 まさか、俺が生き返ってのって、コイツマロンの「お陰ついで」なのか?

 
 それにしても、別世界か?


 …だからなのか、

 だから美名子が、

 死んだの美名子が生きていたのか⁈


 両親の離婚も妹の死が関係しているし、確かに全然


 「ソコで先ずは、ニイチャンにやって欲しい「みっしょん」があるニャ?」


 「ミッション?」



 「そうニャん、別世界と言ってもこの世界も元の世界とは密接に関係してるらしいニャン!

 だから、コレからのでは、もうすぐカオル姉チャンがお見舞いに来るニャ、なので… 」

 なんでそんな事わかるんだ?



 「な、なんだと!

 本当にそんな事が必要なのか⁈」

 「そうニャン! 

 だから、この【みっしょん】の失敗は許さないニャ!」








 「こんにちは、シン君。

 体調はどうかな?」




 マロ助のいった通り、クラスメイトで幼馴染の「薫」が学校帰りに立ち寄ってくれた。

 


 「ニャア~!」

 「アレ、マロくんもいたんだね?

 オイでオイでぇ。」

 そう言って、マロ助を抱き上げる【カオル】。


 「あ、あの、薫…」


 間違いない、俺の知ってる「カオル」だ。

 服に猫の毛が付くなんてお構いなしの猫好きの幼馴染…

 肩まで伸びた黒髪、コンタクトは怖いからと小学生の頃から眼鏡を愛用してる。

 俺がよく知ってる「カオル」だ!



 「ん、まだ具合悪いのかな、

 あ、そうだ、

 おばさまがね、シャーベットが有るんだって?

 サッパリした物なら、食べられるんじゃ…」


 「…カオル、好きだ。」

 俺は内心めちゃくちゃテンパって、何の前振りもなく告ってしまった⁈

 「…えっ? あ、あのシン君、今なんて?」

 驚いているカオル⁈

 「カオルの事が好きなんだ、前からずっと…、

 お願いだ、俺の彼女になって欲しい…」

 言った、

 言ってしまった…

 コレがマロンが俺に課した「ミッション」なのだ!


 これがこの先、この世界にどんな影響を及ぼすのか?

 しかし、この気持ちは嘘では無い。

 前の世界では、出来なかった事。

 前の時間では、伝えられなかった事。 


 「…ほ、本当?

 本当に私でいいの?」


 「うん、カオルがいいんだ。

 カオルじゃなきゃ駄目なんだ!

 だから…。」


 た、頼むカオル!

 

 「ありがとう、シン君。

 わ、わたしもシン君が好きだよ、

 私をシン君の彼女コイビトにしてください。」

 優しく笑っていたが、目には涙を浮かべていたカオル。


 「うん、ありがとう、カオル。」



 や、やった!

 コレで一つ、「不幸の要因」を消す事が出来た…ハズだ?

 


 「にゃお~ん!」

 「えっ、やだ、マロくんに見られてたんだ!」

 この時、マロは「おめでとう」と言っていたのだった…



 ん、何で俺、コイツの言葉が分かるんだ?
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