運命の番

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2人の時間

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束縛心の強い狼にしては嬉しいことに、アーシェンは内向的な性格のようで一人で過ごす時間を好んだ。

元々の大人しい性質もあるが、金の髪の国民が多い中、アーシェンの黒髪はどこにいても目を引くので、人前に出ることを最小限に抑えている。ということもあった。

学校から帰った後は、昼食を済ませ狼の元を訪れる。せっせと食料を運び、甲斐甲斐しく狼の世話をしていた。

「今日は何故か大きなお肉がね。食卓にあったの」

竜人の父が不在の今、誰も食べないから全部持ってきたのだと、食事に肉がでるのはとても珍しいのだと嬉しいそうに語り、一口一口切り分け食べさせてくれる。
りんごや葡萄もあり、普段は食べないが番から貰えば何でもご馳走である。

狼が回復してからは一緒に森を散策したり、大きな狼のふわふわとした体に寄りかかり、本を読んだりハープを奏でたりしている。たまに少女が寝てしまった時は狼は幸運とばかり、少女の口元や首筋や太ももをペロペロと舐め続けた。
狼にとっての最大の愛情表現だ。
途中で発情しそうになることもあったが、必死で我慢した。

何回か夜に王宮からハープの調べが聞こえてくるので近くまで行ったことがある。
2階の窓辺に腰掛け、物思いに耽るように奏でる番の姿はまるで古代神話に出てくる女神のようで、演奏が終って部屋の中に入り姿が見えなくなるまでずっと眺めていた。

午後は帝王教育の休み時間なのか、時々アレンが来ては2人で楽しそうに話し始める。見た目も性格も違うが、仲の良い双子だ。
2人は外国の、特にグラーツ帝国内に無数に散らばる古代遺跡に興味があるらしい。
平和なイシスと違い、グラーツ帝国は戦いの歴史を繰り返してきたので色々な文明が作られては消えていった。
埋め立てて新しい街を造ったりもしているので、掘れば掘るほど歴史遺産が出てくると言われている。
田舎の方に行くと長い年月放置されている壮大な建造物も数多い。

「僕は王様にならなくていいなら、考古学者になってグラーツ帝国や遠い国々の遺跡を記録する旅に出たいな」

「私も。もしお父様みたいに竜になれたら遺跡の集まる街まで飛んでいきたい。そして空から遺跡の全体を眺めるの」

「それはいいな。あ、そろそろ次の授業だ。この考古学者の伝記面白かったよ。よかったら読んでみて」

「うん。ありがとう。王様教育頑張ってね」

アレンは忙しそうだが、アーシェンは王女らしくゆったり過ごしているように見えた。
しかし普段は午後になると、父親から講義があるそうだ。
竜人の父は現在、子竜捜索に赴いているため、こうして狼と2人きりで午後のゆったりした時間を過ごせている。

「もう体力は戻った?一緒に泳ぐ?」

いつもの泉で一緒に過ごしていたら愛しい番が聞いてくれたので、顔を舐めて全身で応える。

「今日はタオル持ってきたから」

と、なんと白い服を脱ぎだした。
簡易な物だったので、パサッと下ろして全裸になると泉の中にゆっくりと入って行った。

狼は呆然と見つめてしまった。
いきなり目に入ってきたカモシカのような優美な肢体。年齢のせいか、下肢には毛がなかった。

まだ12才の少女だ。
まだ12才だ。
落ち着け。

「わっ、そんなにくっ付いたら、泳げない」

クスクス笑う番に、吸い寄せられるようにひっつくと
彼女の匂いと柔らかさに狼の下半身がいきり立った。
まずい。人型になりたい。なって思いっきり抱き寄せてキスして、そのまま押したおして思いを遂げたい。

今はダメだ、人になるな。

「やだ、そんなとこ舐めないで、きゃあ」

せめて舐めさせて欲しい。
嫌がって逃げる番としばらくじゃれあい、普段は見ることができない場所もペロペロしようとした時、アレンが戻ってきて我に返った

「アーシェーン」
「ア、アレンちょっと待って、服着るから、はあはあ、もう悪い子っ」

ペシッとぶたれたが、狼にとって夢のような時間だった。夜になって一人で発散したのは言うまでもない。
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