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子種採取
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レイドはノア女王に腕輪の用途に気がついた旨を伝え、理由を尋ねた。
「あら、どうか気にしないで。あなたにもし何かあった場合の遺伝子保管よ。アーシェンはレイド殿下の子供以外生みたくないって言うから、子種を採取して神殿に沢山保存しておくの」
10年以上は持つから安心して。と笑顔で説明された。
気品漂う女性に子種採取などと言われ、面食らう狼獣人。
イシスに入国する男性は皆揃って採取されるらしいが、保管されるのは厳選される良質な子種のみ。
それはイシスの子種専門の特殊部隊が、諸外国から調達してきた子種達にも適用されている。
イシスの女性は子供が欲しくなると、それ専用に作られた神殿へ赴き、自分好みの男性を選ぶ。
男性にはめられていた腕輪が、記憶した彼らの容姿や体格を写し出すので、好きな順番にいくつか候補を上げる。
第一候補の子種と女性の間に血の繋がりがないと判定されれば、そのまま使用されることとなる。
神殿が女性の全身を特殊な光で検査し、孕みやすい日時の予測を出す。
その指定日に赴き、再度光の検診を行う。光が青色に変化をすれば妊娠可能なので、その場合は子種を注入し、大半の女性はその一度で妊娠に至る。
ここまでは国民ならば全て無料で利用できる。
子供の数に制限はないが、草食細身の国民は初産で苦労するので、だいたいが一人か二人で産み止めである。
尚、初日に子種を選んだ後に神殿から出ると、女性からその男性の記憶が消えるので、もしどこかで出会っても気がつかないようにできている。
生物学上の父親との無駄な争いを防ぐ為だ。
この神殿の医学を超えた人工交配の仕組みは、王家の双子王が生まれ持つ偉大な力で培われている。
ほとんどの女性国民は男性経験のないまま、神殿での単体繁殖を利用する。
腕輪から出た青い光が足の間に入り、何の感覚もなく子供を授かれるので、敢えて面倒な婚姻関係を結ぶ人は数少ない。
いつ子供ができるか見立てのない不毛な交配を繰り返すのは、男性には都合がいいが女性には危険を伴う行為だと、代々母から子へ、年頃になると学校教育で習うこともあり男性を受け入れる女性はほぼいない。
なので男性は、ウルシュ国王のような長身の美男子でも、子種だけ採取され未婚のまま生涯を終えることが多いという。
彼らに救いがあるとすれば、少数いる男性は必ず女性との双子で産まれてくるので、双子の姉か妹の子供の世話を手伝うことで家族として近くに住んだり、同居している人もいる。知られていないが某国へ移住して外国人と結婚する男性も過去にはいたらしい。
イシスの生活水準の高さは双子王の不思議な能力あっての物だと国民は理解しているため、国外移住を希望する冒険者はそうなかなかとは出てこないのだが。
「男性の性犯罪は起きないのですか?」
「ええ。予め起きないようにしてあります」
もしや男の性欲まで支配されているのか?
神殿以外では勃起できないような身体で産まれてくるとかか?だからイシス男性はあんなにも紳士然としていられるのか?それだと雄としての処理はどうするんだ?
発情期の狼獣人はそっち方面の考えを巡らす。
どういうことか掘り下げて聞いてみたが、ノアは国家機密だと教えてくれなかった。
「陛下はなぜご結婚を?」
そんな独身女性の国の頂点であるノア女王は、竜人と結婚している。
ノアはふふふ、と楽しそうに笑った。
「小さな頃、外国文学を読んでね。小さな家の暖炉の前で優しい旦那様の帰りを待ちわびる妻と子供達とか、子煩悩なお父様に肩車される子供とか、きっと父性愛や一家団欒に憧れがあったせいね」
ノアは娘の婚約者に対して嘘八百を並べた。
勉強は嫌いだが、文学少女だったノアはつらつらとどこかの物語の場面を追加で言い続けた。
そんな素敵な理由からでは、もちろんない。
「最初はからかって遊んでいたんだけど、この人すごい何でもやってくれて便利だわって気がついたの。結婚してくれたら番の言うことには絶対服従するって言ってくれたし。あとね、竜の子供なら卵で産まれるらしいから、単体繁殖よりも出産が簡単だろうって思ったの」
などと誰もが驚くような真実は決して明かさない。
上に立つ者はある程度、したたかでなくてはいけないのだ。
「陛下、私は番との子供しか望みませんので、私の子種はアーシェンのためだけに保管をお願い致します」
「わかりましたわ」
アーシェンが自分の子供以外は生みたくないと言ってくれたのが最高に嬉しいので、この腕輪のことも番のために作られた番の物だと思えば、全く気にならなくなった。
発情期の狼は、単純で前向きである。
「あと、これも首に下げておいてください」
ノアに小さなペンダントを手渡される。
これも子種採取の品だろうか。
眺めて思案していたら、ノアは笑った。
「これはお守りよ。レイド様に何かあったらアーシェンが悲しみますから。念のためね」
服の中に入れて、外から見えないように身に付けること。夜も絶対に外さないこと。と注意された。
「アーシェンのために、必ず守ってくださいね」
番のためならいくつでも、首輪でも付けますと約束した。
「あら、どうか気にしないで。あなたにもし何かあった場合の遺伝子保管よ。アーシェンはレイド殿下の子供以外生みたくないって言うから、子種を採取して神殿に沢山保存しておくの」
10年以上は持つから安心して。と笑顔で説明された。
気品漂う女性に子種採取などと言われ、面食らう狼獣人。
イシスに入国する男性は皆揃って採取されるらしいが、保管されるのは厳選される良質な子種のみ。
それはイシスの子種専門の特殊部隊が、諸外国から調達してきた子種達にも適用されている。
イシスの女性は子供が欲しくなると、それ専用に作られた神殿へ赴き、自分好みの男性を選ぶ。
男性にはめられていた腕輪が、記憶した彼らの容姿や体格を写し出すので、好きな順番にいくつか候補を上げる。
第一候補の子種と女性の間に血の繋がりがないと判定されれば、そのまま使用されることとなる。
神殿が女性の全身を特殊な光で検査し、孕みやすい日時の予測を出す。
その指定日に赴き、再度光の検診を行う。光が青色に変化をすれば妊娠可能なので、その場合は子種を注入し、大半の女性はその一度で妊娠に至る。
ここまでは国民ならば全て無料で利用できる。
子供の数に制限はないが、草食細身の国民は初産で苦労するので、だいたいが一人か二人で産み止めである。
尚、初日に子種を選んだ後に神殿から出ると、女性からその男性の記憶が消えるので、もしどこかで出会っても気がつかないようにできている。
生物学上の父親との無駄な争いを防ぐ為だ。
この神殿の医学を超えた人工交配の仕組みは、王家の双子王が生まれ持つ偉大な力で培われている。
ほとんどの女性国民は男性経験のないまま、神殿での単体繁殖を利用する。
腕輪から出た青い光が足の間に入り、何の感覚もなく子供を授かれるので、敢えて面倒な婚姻関係を結ぶ人は数少ない。
いつ子供ができるか見立てのない不毛な交配を繰り返すのは、男性には都合がいいが女性には危険を伴う行為だと、代々母から子へ、年頃になると学校教育で習うこともあり男性を受け入れる女性はほぼいない。
なので男性は、ウルシュ国王のような長身の美男子でも、子種だけ採取され未婚のまま生涯を終えることが多いという。
彼らに救いがあるとすれば、少数いる男性は必ず女性との双子で産まれてくるので、双子の姉か妹の子供の世話を手伝うことで家族として近くに住んだり、同居している人もいる。知られていないが某国へ移住して外国人と結婚する男性も過去にはいたらしい。
イシスの生活水準の高さは双子王の不思議な能力あっての物だと国民は理解しているため、国外移住を希望する冒険者はそうなかなかとは出てこないのだが。
「男性の性犯罪は起きないのですか?」
「ええ。予め起きないようにしてあります」
もしや男の性欲まで支配されているのか?
神殿以外では勃起できないような身体で産まれてくるとかか?だからイシス男性はあんなにも紳士然としていられるのか?それだと雄としての処理はどうするんだ?
発情期の狼獣人はそっち方面の考えを巡らす。
どういうことか掘り下げて聞いてみたが、ノアは国家機密だと教えてくれなかった。
「陛下はなぜご結婚を?」
そんな独身女性の国の頂点であるノア女王は、竜人と結婚している。
ノアはふふふ、と楽しそうに笑った。
「小さな頃、外国文学を読んでね。小さな家の暖炉の前で優しい旦那様の帰りを待ちわびる妻と子供達とか、子煩悩なお父様に肩車される子供とか、きっと父性愛や一家団欒に憧れがあったせいね」
ノアは娘の婚約者に対して嘘八百を並べた。
勉強は嫌いだが、文学少女だったノアはつらつらとどこかの物語の場面を追加で言い続けた。
そんな素敵な理由からでは、もちろんない。
「最初はからかって遊んでいたんだけど、この人すごい何でもやってくれて便利だわって気がついたの。結婚してくれたら番の言うことには絶対服従するって言ってくれたし。あとね、竜の子供なら卵で産まれるらしいから、単体繁殖よりも出産が簡単だろうって思ったの」
などと誰もが驚くような真実は決して明かさない。
上に立つ者はある程度、したたかでなくてはいけないのだ。
「陛下、私は番との子供しか望みませんので、私の子種はアーシェンのためだけに保管をお願い致します」
「わかりましたわ」
アーシェンが自分の子供以外は生みたくないと言ってくれたのが最高に嬉しいので、この腕輪のことも番のために作られた番の物だと思えば、全く気にならなくなった。
発情期の狼は、単純で前向きである。
「あと、これも首に下げておいてください」
ノアに小さなペンダントを手渡される。
これも子種採取の品だろうか。
眺めて思案していたら、ノアは笑った。
「これはお守りよ。レイド様に何かあったらアーシェンが悲しみますから。念のためね」
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