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結婚式不要論
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イシス国から書状が届いた。
国民の大半が独身者の我が国では、結婚式と言う儀式がない。挙式をするにあたり、多大な費用と、大勢の協力が必要ならば、結婚式はない方がありがたい。
王女の心労のためにも、是非ご検討いただきたい。
「請い願って嫁に来てもらう新婦側から、まさかの結婚式不要論が出たぞ。無駄を嫌う合理的な国ならではだな」
マデリーンは会議で書状の内容を議題に上げた。
「皇太子妃の結婚式がなかった例は、過去に一例だけ。80年前の戦時中の時ですな」
「国民や周辺国は、皇太子様が無理やりイシスの姫を娶る、人攫い婚やら略奪少女婚やらと噂しております。結婚式さえ挙げさせないとなると、噂の嘘も真実として伝わる可能性があります」
重臣達が答える。
マデリーンは確かにと頷き、息子に問う。
「どうする、レイド」
「私はイシス国の希望通り、式など無くていいです。大人しい番は目立つことを極力避けたいのでしょう。式を挙げたくないのが望みなら、それを叶えてあげたい。噂など今までの悪評にいくつか加わるだけです。痛くも痒くもありません」
「まあ、結婚式は女性のための物だしね」
エナンも味方をしてくれる。
挙式費用を負担するはずだったグラーツ帝国側としては、イシスの申し出はありがたい。
莫大な費用と時間が浮くことになる。
あとは伝統行事を大事にする、昔からいる連中が何と言うかだが。
「浮いた費用は国内の上下水道の整備に使ったらどうでしょう。イシス国が技術者を派遣してくれるそうです。帝国民の生活水準が上げるまでは、皇族貴族の行事を完全に中止して、その費用を充ててもよいと思っていましたので、先立って私自らが見本になります」
一部の年配の重臣達から、反対意見がでる前にレイドが切り込んでくる。狼皇太子は喧嘩だけでなく、口でも的確に相手の痛い所を突くのが上手かった。
それが妹のエスメラルダに欠けている部分、彼女が大帝国の統治者になった時に足りない部分だ。
ここで伝統が・・・などと言い返したら、辛口でやり返されるのは目に見えている。
誰もが賛成意見を述べたが、貴族行事の完全廃止だけは免除してもらった。貴族の子供達の結婚相手を探す場所でもあると強調して。
マデリーンは各々の意見を認めた。
「まあ、全く何もしないと言うわけにもいくまい。城内の教会で署名式だけは行うこととしよう」
イシス国では滅多にない婚姻届の提出のことである。
「女性は皆、結婚式をしたい物だと思っていたけど、世界は広いね。エスメラルダは結婚に対して、特別な夢はあるのかな?」
エナンは娘のエスメラルダに尋る。
内心、乙女心満天のエスメラルダは困った。
ドレスも堅苦しい儀式も苦手だが、ウエディングドレスは夢の世界の別物だ。あのフワッとしたのを着てアレン王子に抱きつき、お花畑の中でクルクル回してほしい。
なんて口が裂けても言えない。
ドレスが嫌で、男装して剣帯している身の上で、口にできない。
そもそもイシスには結婚式がないと言っていたではないか。あれ?でも国民は白くて軽い服を身に付けているらしいから、それをウエディングドレスだと思って、花畑に連れて行ってもらえば・・・。
「エスメラルダもあまり興味なかったかな?」
いいえ、すっごくあります。
イシスの年下の王子様に恋をして、毎日幸せな妄想体験をしております。
「私は儀式の有無よりも、兄上のように想い合った相手と結ばれたいです」
そうだ。愛する相手がいることが重要なんだ。
それがなくては、結婚どころか全てが始まらない。
イシス国に行くまでアレン王子への恋心は、自分の心の玉手箱にしまっておこう。
と、どこまでも乙女なエスメラルダであった。
国民の大半が独身者の我が国では、結婚式と言う儀式がない。挙式をするにあたり、多大な費用と、大勢の協力が必要ならば、結婚式はない方がありがたい。
王女の心労のためにも、是非ご検討いただきたい。
「請い願って嫁に来てもらう新婦側から、まさかの結婚式不要論が出たぞ。無駄を嫌う合理的な国ならではだな」
マデリーンは会議で書状の内容を議題に上げた。
「皇太子妃の結婚式がなかった例は、過去に一例だけ。80年前の戦時中の時ですな」
「国民や周辺国は、皇太子様が無理やりイシスの姫を娶る、人攫い婚やら略奪少女婚やらと噂しております。結婚式さえ挙げさせないとなると、噂の嘘も真実として伝わる可能性があります」
重臣達が答える。
マデリーンは確かにと頷き、息子に問う。
「どうする、レイド」
「私はイシス国の希望通り、式など無くていいです。大人しい番は目立つことを極力避けたいのでしょう。式を挙げたくないのが望みなら、それを叶えてあげたい。噂など今までの悪評にいくつか加わるだけです。痛くも痒くもありません」
「まあ、結婚式は女性のための物だしね」
エナンも味方をしてくれる。
挙式費用を負担するはずだったグラーツ帝国側としては、イシスの申し出はありがたい。
莫大な費用と時間が浮くことになる。
あとは伝統行事を大事にする、昔からいる連中が何と言うかだが。
「浮いた費用は国内の上下水道の整備に使ったらどうでしょう。イシス国が技術者を派遣してくれるそうです。帝国民の生活水準が上げるまでは、皇族貴族の行事を完全に中止して、その費用を充ててもよいと思っていましたので、先立って私自らが見本になります」
一部の年配の重臣達から、反対意見がでる前にレイドが切り込んでくる。狼皇太子は喧嘩だけでなく、口でも的確に相手の痛い所を突くのが上手かった。
それが妹のエスメラルダに欠けている部分、彼女が大帝国の統治者になった時に足りない部分だ。
ここで伝統が・・・などと言い返したら、辛口でやり返されるのは目に見えている。
誰もが賛成意見を述べたが、貴族行事の完全廃止だけは免除してもらった。貴族の子供達の結婚相手を探す場所でもあると強調して。
マデリーンは各々の意見を認めた。
「まあ、全く何もしないと言うわけにもいくまい。城内の教会で署名式だけは行うこととしよう」
イシス国では滅多にない婚姻届の提出のことである。
「女性は皆、結婚式をしたい物だと思っていたけど、世界は広いね。エスメラルダは結婚に対して、特別な夢はあるのかな?」
エナンは娘のエスメラルダに尋る。
内心、乙女心満天のエスメラルダは困った。
ドレスも堅苦しい儀式も苦手だが、ウエディングドレスは夢の世界の別物だ。あのフワッとしたのを着てアレン王子に抱きつき、お花畑の中でクルクル回してほしい。
なんて口が裂けても言えない。
ドレスが嫌で、男装して剣帯している身の上で、口にできない。
そもそもイシスには結婚式がないと言っていたではないか。あれ?でも国民は白くて軽い服を身に付けているらしいから、それをウエディングドレスだと思って、花畑に連れて行ってもらえば・・・。
「エスメラルダもあまり興味なかったかな?」
いいえ、すっごくあります。
イシスの年下の王子様に恋をして、毎日幸せな妄想体験をしております。
「私は儀式の有無よりも、兄上のように想い合った相手と結ばれたいです」
そうだ。愛する相手がいることが重要なんだ。
それがなくては、結婚どころか全てが始まらない。
イシス国に行くまでアレン王子への恋心は、自分の心の玉手箱にしまっておこう。
と、どこまでも乙女なエスメラルダであった。
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