運命の番

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2日目

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2日目は山越途中の標高が高い街に行った。
雪が深々と降っており、辺り一面の雪景色に、温暖地域から来たアーシェンとシャルカが感動している。
雪を触ったり丸めたりして感触を楽しんでいた。

「雪・・・」
「雪ですね」
「シャルカ、雪ダルマってこれで合ってますか?」
「おそらく。本でしか見たことありませんが」
2人は膝に満たない小さな雪ダルマの、目と足になる物を探している。

「この雪が全部小麦粉だったら、貧しい人達の生活もずいぶん違いますね」
「パン粉や砂糖でもいいですね」

イシス人は物静かと聞いていた通り、アーシェンもシャルカも人前では無口だった。
珍しく声を出しているので、後ろで聞き耳を立てた兵士達は、素朴な会話に笑みがこぼれる。
王女様が護衛に対して丁寧な口調で話しているところからすると、尊大不遜な皇太子の伴侶は意外にも優しい人柄のようだ。



アーシェンは雪で視界が悪く、ベールを被っているため周りがよく見えなかった。
正面に立ってた人の背中にゴツンとぶつかる。

「ごめんなさい」
大きく硬い体だったため痛い。よろけたところ肩を支えられる。兵士に何か報告を受けている様子のマティアスだった。

「大丈夫ですか?このベールのせいですね。レイド様にも困ったものです」
全くだというように、シャルカが頷いた。

「そのレイド様ですが、今夜アーシェン様と温泉に入りたいと言い出し、温泉施設が男女別になっている宿泊所が困り果てているそうです」

アーシェンがグラーツに着いて今日で6日目。
レイドとのお風呂はあれから視察に出る前日までの4日間続いた。

2回目にのぼせてしまうことと羞恥心から断ったが、狼は番との風呂時間に夢を持っていたので目に見えてがっかりした。では一緒に浸かるだけならば、と身体を洗うのは勘弁してもらった。

ただ湯の中でサワサワと触られるのはいいのだが、子種が入る場所が好きなようで、毎回何度も指を入れてこようとする。それから逃げるのにバシャバシャと動いて体力を使った。

「レイド様に今日は別に入りたいと頼んでみます」
「今日は・・・それはまだ婚前なので当然ですが、一言お願い致します。私も今から行きますのでお連れします」

雪が降っているにも関わらず湯気が出ている場所がある。幻想的な風景だ。あそこが温泉施設だろう。

山岳部に水道設備を整えるのは難しいが、この街には温泉が湧いており飲むこともできるため、生活がしやすい。温泉の湧いている場所に貧しい街を丸ごと移動させる計画もあると、本日の視察では言っていた。

サクサクとした雪道を歩くのが楽しく、それがマティアスにも伝わったのか、「明日は観光の日ですから、雪の街並みを見て回れますよ」と教えてくれた。




「アーシェン、今朝は早かったから疲れただろう。今夜はここの温泉に一緒にはい・・・マティアスの匂いがする」

施設の担当者に直談判していたレイドが、自分の元に来てくれた番の服の匂いの変化に気づき、マティアスを睨んだ。中身の匂いは遮断するが外からは付くようだ。

「お前、アーシェンに触ったのか?」
「はい。レイド様が無理に被せたベールのせいで、よろけておりましたため」
「私が自分からぶつかり助けていただいたのです。あのレイド様、温泉は男女別になっているので別々に入るのが皆様のご迷惑にならないと思います。お風呂は別れますが、今夜は眠るまでご一緒してもよろしいでしょうか?」
「わかった」

早い。なんだコイツとマティアスもシャルカも思ったが番の一声で問題が収拾され、温泉施設の関係者一同は安堵した。



夜にアーシェンの部屋を訪れた狼は、番を膝に乗せ小さな唇に吸い付いていた。
「昨日も今日も風呂が一人だったから寂しかった」
アーシェンは一人の時間にほっと一息ついていたことは内緒だ。

「温泉には入ったか?」
「いいえ、共用なので人に見られたくなくて、個室で湯を借りました」
共用と言っても、施設を短時間貸し切ったので、女性はユニスとシャルカともう2名しかいないが。
イシスでは一人での沐浴か、外出先の泉では薄着といえど国民は服を着ていた。裸体を晒すことがなかったので温泉には抵抗があった。

「一緒に入るのはレイド様だけです」
狼から低く唸るような声が聞こえた。
「今日はガマンだ。ガマン。キスだけだ。紳士紳士」
「紳士な狼さんと結婚できる私は幸せ者です」
「ぐ・・・股間が痛い。耐えろ息子」
全然紳士ではない。
心の声が漏れている狼と番は長い間、抱き合ってキスをしていた。








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