天使系王子は出来損ない悪魔への執着愛をとめられない

RIMI

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天使系王子は悪魔を召喚する

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昔、むかぁーしのお話。

あるところに透き通るような白い肌で、キラキラと輝く金色の髪にミントグリーンの眼をした、それはそれは見目麗しい可愛い王子がおりました。

王子は8歳という若さにして騎士の称号を習得し、勉学においても他を抜きん出た知識を持っておりました。

圧倒的な存在感を持つ王子でしたが、決して横柄な態度をとることもなく、凛とした姿は周囲を魅了していきました。

そんな誰からも愛されていた完全完璧な王子にも悩みがありました。 

それは…
毎日が退屈でしかたなかったのです。

それもそうでしょう。
なんでも上手くいってしまうのですから。もちろん王子の努力あってのものでしたが、才能もあるので特に壁にぶつかる事もなかったのです。

壁にぶつかる事がなかったので王子は、悔しい・悲しいという感情がいまいち理解できませんでした。
それだけでなく、何かを乗り越えたという経験もないからか、嬉しいという感情も楽しいという感情も理解できません。自分でなんでも解決できる王子は誰かに対して怒った事もありません。

王子には喜怒哀楽が極端に欠けていました。

王子の作り笑顔は完璧だったので、誰もその事に気づきません。
メイドも執事も、実の両親でさえも。

毎日が退屈で退屈でしかたなかった王子は、とうとう魔法に手を出しました。
この国では身体に負担のかかるとされる魔法の扱いは10歳を越えてからという決まりがあったのです。
ですが王子は5歳から魔法の勉強を始め、7歳では既にある程度魔法を使いこなせるようになっていました。
もちろん誰かにバレると面倒なので秘密裏に。

そんな王子が今回手を出したのは普通の魔法ではありません。
王子が描いた魔方陣は赤黒くバチバチと小さな火花が散っていました。
火花は次第に強くなっていき、魔方陣からは冷気が漏れ、一気に部屋の温度が下がるのを王子は肌で感じていました。

「我の望みを叶えたまえ。」

8歳の子どもとは思えない程の冷たい声。
王子の声に呼応するかのように、魔方陣の中心部から煙幕が立ち込め、そこから徐々に何かの影が見えはじめました。

ゆるくふわっとした黒髪で、王子にも引けをとらない白い肌。赤とピンクの左右で異なる瞳。妖艶に笑う薄くて真っ赤な唇。
そして何より、こめかみ辺りから生えた大きな角がその者が人ではないと証明していました。

王子は闇の魔法に手を出し、悪魔を召喚したのです。
今まで使った魔法とは異なり身体から力を奪われるものの、不思議と怖いという感情は王子にありませんでした。

王子は自分が初めて召喚した美しい悪魔をまじまじと見つめました。まるで品定めでもするかのように冷たく輝く宝石の様な瞳で。
悪魔もそんな王子を惑わすように目を細め、王子の冷たい目を見つめました。
 
ですが………

『っ!…んッ?えっ…!?』

悪魔の身体が半分出たくらいで、召喚が止まってしまったのです。

『ちょ!え!?どうなってんの!?』

先程までの妖艶な微笑みはどこえやら。悪魔は驚いた顔で魔方陣をバタバタと叩きました。

「すみません。私と力が足らなかったようですね。」

王子は淡々と答えました。
それもそのはず。魔法を使うのですら本来禁止されているのに、悪魔を召喚するには王子の身体は幼すぎたのです。
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