6 / 12
だらしのない男と、金の王子:6
しおりを挟む
「畜生」
昨日は、せっかく給料日だったというのに娼婦を抱かなかった。もちろん少年もだ。
カルターの買春窟ではイザークの好みのうるささは嫌われているし、好みの娼婦もなかなか見つからない。
それで時間を持て余し、何となくだが、かつて若かった頃のように、兵士としての訓練に励んでいたのだ。
体中の筋肉が千切れそうなほどに痛み、たるんだ腹はぶよぶよと重かった。
——いつの間にこんな体になったのだ。いやきっと解消できる。
イザークは歯を食いしばって立ち上がった。筋肉がこれ以上酷使してくれるなと悲鳴を上げる。重い体を、疲れきった脚で支えかね、彼は情けなくもよろめいた。
「いたた」
少々張り切りすぎたかもしれない。いや、往時の半分も体を動かしていないのに……そう思いながら太ももをさすっていた彼は、ふと冷たい視線に気づいて顔を上げた。
「!」
ジュリアス王子の冷ややかな視線が彼に注がれている。
それともう一つ、幼さの残る黒髪の少年の視線もまた、彼に向けられていた。
「ジュリアス様! あの衛兵がどうかなさいましたか」
そう尋ねたのは、利発そうな、ふるいつきたくなるような美少年だった。
黒い髪に金の瞳が印象的で、ジュリアスと同じくらいには背が高い。異国の血を引いているのか、その顔立ちはどこかカルターの民とは異なっているようにイザークには見えた。
「なんでもない、ヴィル」
ジュリアスが、秀麗な容姿の少年にそう答えた。
「気になさっているように見えましたので」
「いいんだよ」
どちらも容貌に優れ、生まれに恵まれた子どもたちだった。肌はつやつやと輝き、言動に育ちの良さがにじみ出ている。
持ち前の劣等感からか、少年たちに見下されているように感じてイザークは目をそらした。ガキのくせにバカにしやがって、少年たちの美貌に心奪われそうになりながらも、イザークは口の中でブツブツと呪詛のような言葉を転がした。
「ずいぶん老けた衛兵だなと思っただけだ」
「そうなんですか?」
黒髪の少年が、不思議そうにイザークを振り返った。
「僕の父と同じ年くらいに見えます」
イザークの腸が、少年の言葉で煮えくり返った。俺はそんな爺じゃない、そう怒鳴りつけてやりたかった。いや、もしかしたら少年の父親とイザークの年齢は近いのかもしれないが。
だが、王子の前で恥をかかされたことに、彼は尋常ではない怒りを感じたのだった。
******
その事件は、突然起こった。いや、事件はいつも突然に起きるというべきか……。
「王子ーッ!」
若い女官の悲鳴が上がる。庭に居た人々がどよめきながら、国宝の大噴水の方を振りかえった。
最近、多少はマシになってきた筋肉痛をやり過ごしていたイザークは、何の騒ぎかと顔を上げた。
「近寄るな! 近寄ったら殺してやる!カルターを駄目にしたのはお前たち王家の人間だ! 国王を連れて来い、国王を連れてくればこのクソガキの生命だけは助けてやる!」
「王子を離せ、おちつけ、おちついてくれ、な?」
「だれか、だれか! 王太子様が殺される!」
慌てて人垣に近づいたイザークは、あまりの光景に腰を抜かしかけた。
屈強な男が、ジュリアス王子を羽交い締めにし、喉元に巨大な刃を突きつけている。
目は血走り、王子の白い首筋からはうっすらと赤い血が流れ出していた。
「お兄さま、お兄さまぁ」
男の足元には、小柄な少女がへたり込んでいた。泣きじゃくりながら、捉えられた王子にすがりつこうとしている。
リーザ姫だ。まだ子どもで、暴漢の恐ろしさを理解していないのかもしれない。あんなひ弱な姫君など、暴漢が暴れて蹴りつけたら潰れて死んでしまいそうだとイザークは思った。
「衛兵さん! 王子様と姫様を助けてよ!」
傍らの侍女が、涙を流してイザークの胸ぐらをつかんだ。イザークは頷こうとして凍りつく。
——無理だ、あんな大きな刃物を持った男に、自分が立ち向かうなんて。足がすくんで動けない……。
その時だった。
「王子を離してください。僕が交代します」
イザークの傍らを、痩せた背の高い少年がすたすたと通り抜けた。
騎士見習いの制服姿で、腰にはものの役に立ちそうもない細長い剣を吊っている。あんなおもちゃではどうにもならないだろう、とイザークは呆れ、息を呑んで少年の背を見守った。
——何をする気なんだよ、あのお坊ちゃんは。
「な、な、何だこのガキ! あっちへいけ!」
「王子と僕が交代します。僕はアイブリンガー商会の長男で、リーザ姫の乳兄弟です。僕を人質にすれば身代金は潤沢に支払われると思いますし、それにあなたの罪状も軽減されますよ。王族を殺傷したものは死罪です。ですから」
「うるせえ!」
男が裏返った声で絶叫し、ジュリアス王子の喉元に突きつけていた刃物を振り回そうと腕を上げた。
「!」
その、瞬間だった。
ほっそりした少年が、目を疑うほどの俊敏さで、刃の切っ先をかわす。
黒髪の少年に致命傷を与えんと、男が狂ったように刃物を振り回した。
「あああああ!このクソガキイィィ!」
「そんなの、当たらないよ」
「殺す」
「……あんたには僕は殺せない」
「うるせえって言ってんだろうが! 俺だって命がけなんだ、もう生かしちゃおけねエエ!」
ジュリアス王子を戒めていた男の腕が緩んだ。少年が剣を吊っている方の肩を後ろに引き、ふわり、とその柄に手をかけた。
——ああ、ダメだ、遊びじゃないんだ、あのガキ! 殺されるぞ! どうするんだ、どうしたら……!
思わず一歩を踏み出したイザークの目に、ぴっ、と一筋の血飛沫が飛ぶのが見えた。
大きな短刀を握った手が、宙を舞って地に落ちる。
次の瞬間、ちぎれ飛ばされた腕から大量の血を吹き、地面に転がって絶叫を上げる暴漢の姿がイザークの目に飛び込んできた。
「リーザ!」
戒めから逃れたジュリアス王子が、腰を抜かした妹を引きずり起こして男から距離を取る。
棒立ちだった衛兵たちが、我に返ったように王子を取り囲み、怯えてわんわん泣いているリーザ姫を抱き上げた。
暴漢は取り押さえられ、人々から安堵の声が漏れた。
「ヴィルヘルム君! 大丈夫か」
駆けつけてきて近衛隊らしき男が、暴漢の腕を斬り飛ばした少年の肩を抱き、その顔をのぞき込んだ。
「はい、僕は大丈夫です」
細い剣にへばりついた大量の血を振り払い、黒髪の少年が何事もなかったかのように答える。
端正な顔が、赤い血しぶきで汚れていた。
「でも、ジュリアス様のいらっしゃる位置がちょっと難しくて……腕を落とすときに返り血を顔に浴びてしまいました。父に叱られます、こんな剣閃では正しい軸からぶれているって」
「いいんだ、ありがとう。君が居てくれたおかげで王子も姫も無事だった。卒業の暁には、君を黒騎士褒章の筆頭候補として進言させてもらうからね」
「ありがとうございます、近衛隊長様。僕は安定した職に就ければ何でもいいです」
イザークは何も言えず、やや頓珍漢な受け答えをしている黒髪の少年の姿を見守った。
その少年が「神童」「剣の天才」と呼ばれていることを知ったのは、しばらくのちの事だった。
美しい王子の側に侍る、剣の天才少年。
非の打ち所無くふさわしい主従であると、イザークの目には映った。
「……っ」
イザークは、かさかさしたおのれの手のひらを見つめ、舌打ちをする。
——あのチビは王子を見事に助けた。一方の俺はどうだ。でかい図体をして、腰が抜けて動くことすら出来なかったじゃないか。
昨日は、せっかく給料日だったというのに娼婦を抱かなかった。もちろん少年もだ。
カルターの買春窟ではイザークの好みのうるささは嫌われているし、好みの娼婦もなかなか見つからない。
それで時間を持て余し、何となくだが、かつて若かった頃のように、兵士としての訓練に励んでいたのだ。
体中の筋肉が千切れそうなほどに痛み、たるんだ腹はぶよぶよと重かった。
——いつの間にこんな体になったのだ。いやきっと解消できる。
イザークは歯を食いしばって立ち上がった。筋肉がこれ以上酷使してくれるなと悲鳴を上げる。重い体を、疲れきった脚で支えかね、彼は情けなくもよろめいた。
「いたた」
少々張り切りすぎたかもしれない。いや、往時の半分も体を動かしていないのに……そう思いながら太ももをさすっていた彼は、ふと冷たい視線に気づいて顔を上げた。
「!」
ジュリアス王子の冷ややかな視線が彼に注がれている。
それともう一つ、幼さの残る黒髪の少年の視線もまた、彼に向けられていた。
「ジュリアス様! あの衛兵がどうかなさいましたか」
そう尋ねたのは、利発そうな、ふるいつきたくなるような美少年だった。
黒い髪に金の瞳が印象的で、ジュリアスと同じくらいには背が高い。異国の血を引いているのか、その顔立ちはどこかカルターの民とは異なっているようにイザークには見えた。
「なんでもない、ヴィル」
ジュリアスが、秀麗な容姿の少年にそう答えた。
「気になさっているように見えましたので」
「いいんだよ」
どちらも容貌に優れ、生まれに恵まれた子どもたちだった。肌はつやつやと輝き、言動に育ちの良さがにじみ出ている。
持ち前の劣等感からか、少年たちに見下されているように感じてイザークは目をそらした。ガキのくせにバカにしやがって、少年たちの美貌に心奪われそうになりながらも、イザークは口の中でブツブツと呪詛のような言葉を転がした。
「ずいぶん老けた衛兵だなと思っただけだ」
「そうなんですか?」
黒髪の少年が、不思議そうにイザークを振り返った。
「僕の父と同じ年くらいに見えます」
イザークの腸が、少年の言葉で煮えくり返った。俺はそんな爺じゃない、そう怒鳴りつけてやりたかった。いや、もしかしたら少年の父親とイザークの年齢は近いのかもしれないが。
だが、王子の前で恥をかかされたことに、彼は尋常ではない怒りを感じたのだった。
******
その事件は、突然起こった。いや、事件はいつも突然に起きるというべきか……。
「王子ーッ!」
若い女官の悲鳴が上がる。庭に居た人々がどよめきながら、国宝の大噴水の方を振りかえった。
最近、多少はマシになってきた筋肉痛をやり過ごしていたイザークは、何の騒ぎかと顔を上げた。
「近寄るな! 近寄ったら殺してやる!カルターを駄目にしたのはお前たち王家の人間だ! 国王を連れて来い、国王を連れてくればこのクソガキの生命だけは助けてやる!」
「王子を離せ、おちつけ、おちついてくれ、な?」
「だれか、だれか! 王太子様が殺される!」
慌てて人垣に近づいたイザークは、あまりの光景に腰を抜かしかけた。
屈強な男が、ジュリアス王子を羽交い締めにし、喉元に巨大な刃を突きつけている。
目は血走り、王子の白い首筋からはうっすらと赤い血が流れ出していた。
「お兄さま、お兄さまぁ」
男の足元には、小柄な少女がへたり込んでいた。泣きじゃくりながら、捉えられた王子にすがりつこうとしている。
リーザ姫だ。まだ子どもで、暴漢の恐ろしさを理解していないのかもしれない。あんなひ弱な姫君など、暴漢が暴れて蹴りつけたら潰れて死んでしまいそうだとイザークは思った。
「衛兵さん! 王子様と姫様を助けてよ!」
傍らの侍女が、涙を流してイザークの胸ぐらをつかんだ。イザークは頷こうとして凍りつく。
——無理だ、あんな大きな刃物を持った男に、自分が立ち向かうなんて。足がすくんで動けない……。
その時だった。
「王子を離してください。僕が交代します」
イザークの傍らを、痩せた背の高い少年がすたすたと通り抜けた。
騎士見習いの制服姿で、腰にはものの役に立ちそうもない細長い剣を吊っている。あんなおもちゃではどうにもならないだろう、とイザークは呆れ、息を呑んで少年の背を見守った。
——何をする気なんだよ、あのお坊ちゃんは。
「な、な、何だこのガキ! あっちへいけ!」
「王子と僕が交代します。僕はアイブリンガー商会の長男で、リーザ姫の乳兄弟です。僕を人質にすれば身代金は潤沢に支払われると思いますし、それにあなたの罪状も軽減されますよ。王族を殺傷したものは死罪です。ですから」
「うるせえ!」
男が裏返った声で絶叫し、ジュリアス王子の喉元に突きつけていた刃物を振り回そうと腕を上げた。
「!」
その、瞬間だった。
ほっそりした少年が、目を疑うほどの俊敏さで、刃の切っ先をかわす。
黒髪の少年に致命傷を与えんと、男が狂ったように刃物を振り回した。
「あああああ!このクソガキイィィ!」
「そんなの、当たらないよ」
「殺す」
「……あんたには僕は殺せない」
「うるせえって言ってんだろうが! 俺だって命がけなんだ、もう生かしちゃおけねエエ!」
ジュリアス王子を戒めていた男の腕が緩んだ。少年が剣を吊っている方の肩を後ろに引き、ふわり、とその柄に手をかけた。
——ああ、ダメだ、遊びじゃないんだ、あのガキ! 殺されるぞ! どうするんだ、どうしたら……!
思わず一歩を踏み出したイザークの目に、ぴっ、と一筋の血飛沫が飛ぶのが見えた。
大きな短刀を握った手が、宙を舞って地に落ちる。
次の瞬間、ちぎれ飛ばされた腕から大量の血を吹き、地面に転がって絶叫を上げる暴漢の姿がイザークの目に飛び込んできた。
「リーザ!」
戒めから逃れたジュリアス王子が、腰を抜かした妹を引きずり起こして男から距離を取る。
棒立ちだった衛兵たちが、我に返ったように王子を取り囲み、怯えてわんわん泣いているリーザ姫を抱き上げた。
暴漢は取り押さえられ、人々から安堵の声が漏れた。
「ヴィルヘルム君! 大丈夫か」
駆けつけてきて近衛隊らしき男が、暴漢の腕を斬り飛ばした少年の肩を抱き、その顔をのぞき込んだ。
「はい、僕は大丈夫です」
細い剣にへばりついた大量の血を振り払い、黒髪の少年が何事もなかったかのように答える。
端正な顔が、赤い血しぶきで汚れていた。
「でも、ジュリアス様のいらっしゃる位置がちょっと難しくて……腕を落とすときに返り血を顔に浴びてしまいました。父に叱られます、こんな剣閃では正しい軸からぶれているって」
「いいんだ、ありがとう。君が居てくれたおかげで王子も姫も無事だった。卒業の暁には、君を黒騎士褒章の筆頭候補として進言させてもらうからね」
「ありがとうございます、近衛隊長様。僕は安定した職に就ければ何でもいいです」
イザークは何も言えず、やや頓珍漢な受け答えをしている黒髪の少年の姿を見守った。
その少年が「神童」「剣の天才」と呼ばれていることを知ったのは、しばらくのちの事だった。
美しい王子の側に侍る、剣の天才少年。
非の打ち所無くふさわしい主従であると、イザークの目には映った。
「……っ」
イザークは、かさかさしたおのれの手のひらを見つめ、舌打ちをする。
——あのチビは王子を見事に助けた。一方の俺はどうだ。でかい図体をして、腰が抜けて動くことすら出来なかったじゃないか。
0
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる