チートスマホで異世界攻略

マイきぃ

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第十五話 お買いもの

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 辺りが暗くなり始めた。パッド売りの少女はもう帰ってしまっただろうか。
 半ば諦めムードで走る足を緩め、ため息をつく。

「もう帰ってしまったか……」

 と、半ば、あきらめムードでうろうろしていると、花壇の反対側にあるベンチで籠を大事に抱えている少女を見つけた。パッド売りの少女だ。

「いた!」
「な……何?」

 少女はこちらに気づき、返事をする。
 嫌な顔をしている。あまり、こちらにいい印象はないみたいだ。
 
「あの……パッドありますか」
「君、変態?」
「いや、僕が使うんじゃなくて……こっち」

 変態扱いされてはたまらんと、セカンドに話をふる。セカンドはこの為だけに連れてきたようなものだ。

「ご主人様が満足するには、胸が大きくないとダメのようです。なので、バストアップパッドを所望します」

 いや、満足する為のものではないのだが──。

「Dカップは売れちゃったから、CかEになるけど……」
「ご主人様は、きっと大きいサイズが好きなので、大きめのものをください」

 勝手に大きいサイズ好きにされてしまった。冷静に僕の性格を判断した結果なのだろうか──。

「じゃあ、Eだね。いくつだい?」

 少女はセカンドに尋ねる。すると、セカンドは僕に目を向けた。まあ、お金を持っているのは僕なので、一応こっちで答える。

「えと……じゃあ、二個セット……」
「衛生的に数が足りないかと……」

 セカンドの目線が痛い。まあ、確かに予備は必要だ。

「十個セットでお願いします」
「じゃあ、金貨1枚いただくよ!」
「結構高いんだな……」

 持ってきていた袋から金貨を取り出し、少女に気前よく渡す。

「毎度ありっ! さて、今日は店じまいだ。兄ちゃん、いい夢見ろよ!」

 そういって少女は、満足な表情で路地の暗闇へと消えていった。
 ともかく、買うものは買った。

「よかったな。これで貧乳とはおさらばだ」
「そうですね……というか、マスター。それならどうしてAカップに設定されたのですか? 最初から大きく設定してくれれば問題なかった筈なのですが」
「いや、A以上の大きさの設定がなかったんだ」
「ふむ……おかしいですね。バグか何かでしょうか……」
「スマホが言うには不明な力の干渉のせいと言ってたけど……まあ、僕は貧乳でも別に構わないし……なるべくなら、大きい方がいいけどね」

 ──と、よそ見を歩いていたせいで、誰かにぶつかった。

「ああ、ごめんなさい……大丈夫ですか」
「いたたたた……」

 ぶつかった相手は、体の大きな主婦だった。

「あ、これ……落としましたよ。貧乳だと大変ですよね……」
 さっきぶつかったせいで主婦の胸から落ちたパッドを拾いあげる。

「……! ひ……ひひひひひ……貧乳ですって!」

 見上げると、主婦は、落としたほうの胸を押さえながら激怒していた。余計なこと──言ったかな──。

「いやあああ! この人、乳を侮辱したわよー! 誰か来てー!」
「へっ?」

 ──始めは、ぶん殴られるだけで済むと思った。

 気が付くと、わさわさと、僕たちのいる所に人が集まってくる。

「なんだと! どこのどいつだ!」
「衛兵さん! こっちです!」
「お前か! 乳を侮辱したのは?」

 気がつくと、僕たちは衛兵に囲まれていた。

「え……貧乳って侮辱……確かにそういう……だめなの?」
「ひ、貧乳だと! お前、よくそんな言葉を考え付いたな! 乳を侮辱するつもり満々だな! お前を野放しにするわけにはいかん。連行する」

「えええええっ!」

 ──元の世界の言葉は、時として災いを生むようだ。

「乳がこんなにも崇拝されているのか!?」
「黙れ! 王妃が直々に出した乳権保護法を知らないとは言わせないぞ!」
「乳権保護法!?」

 ────そんなもの──知らない!

 セカンドが僕を救出しようと試みていたが、僕はその実行を手振りで中止させた。

「セカンド。頼みがある。宿に置いてあるスマホを持ってきてくれ。マップに僕の位置が表示される筈だ。もし、何かあったら軍資金を使ってくれ。なるべく金貨は消費したくないけど……」
「なるべく努力しますが、もしもの場合、最低限、使わせていただきます」

 セカンドは、すぐに反転して宿へ向かった。これでひとまず安心だ。今回、スマホに複製指示を出して放置していたのが裏目に出た。やはり異世界、何が起こるかわからない。出かけるときは、忘れずにスマホを持ち歩かなければならない気分だ。
 ともかく、セカンドの頼りになる言葉を聞けてよかった。

 その後僕は、衛兵に囲まれ、引っ張られるように連れていかれ、馬車に乗せられた。
 これから、どこへ連れていかれるのかもわからない。ただ、不安に胃を痛めるばかりだった。
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