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第二十話 オートスキル
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「くっ……こんな、辱めを……」
「なんだか、べとべとしています」
「気持ち悪い~っ!」
メイドたちは、口を大きく開いた人食いフラワーに体を吊るされ、今まさに捕食されようとしている。僕は、その姿を──。
「いや……見ている場合じゃないっ!」
とにかく助けなきゃいけない。メイドたちは不意を突かれて反応が遅れている。食べられて、もしものことがあったら大変だ。
と、動こうとした瞬間、スマホが突然助言を始めた。
『トラップ型の先制攻撃を受けましたが、この程度なら最近導入された機能で挽回可能です』
「ふむ、どうするんだ?」
『殲滅目的でのオートスキル機能を使います。状況に応じて最適なスキルを選定、使用するスキルです。軍資金が予定の金額に達しているので使用可能の状態です。今回の戦闘では、敵を倒した後の報酬からスキル課金を差し引いてもプラスで軍資金が残ります。どうしますか』
「ふむ、この状況を打破できるんだね」
『その通りです』
使わない手はない──ものは試しだ。
「よし、じゃあオートスキルだ」
『かしこまりました』
『オートスキル発動。トラップサーチ及びトレースライン発動。視界に出来た赤いラインに沿って移動してください』
目の前に赤いランが見えた。これに沿って行けばいいらしい。
接近することができた。
『アナライズ発動──弱点、炎。オートロック発動。手のひらを敵に向け、ファイヤボールを詠唱してください』
「何、詠唱か! じゃあ、いくぞ。ファイヤーボール!」
すると、僕の手のひらから炎の玉が一気に5つ出現した。炎の球は、人食いフラワーを直撃し、その体を焼き尽くす。
あっけなく戦闘は終了した。吊るされていたメイドたちは解放され、地面に着地。その後、ホッとした様子で僕の側へと集まる。
「流石です! ライト様! あの正確で無駄のない動き、見とれてしまいます」
「迅速な対応でした。とても素晴らしい判断力です」
「こ……今回だけは認めてあげるわ……あ、ありがとう……」
「ああ……皆、無事で何より……」
どうやら、今の行動で仲間の評価が上がったようだ。実際、スマホの機能で楽をしてしまったのだが──僕はスマホ勇者だ。スマホを使う勇者だ。何も後ろめたいことはない! これはこれで良しとしよう。
──と、スマホが今の戦闘報告の収支書を表示していた。
[
撃破
人食いフラワーA:銅貨20
人食いフラワーB:銅貨20
人食いフラワーC:銅貨20
人食いフラワーD:銅貨20
人食いフラワーE:銅貨20
収入 銅貨100枚
L1 トラップサーチ
L1 トレースライン
L1 オートロック
L1 アナライズ
L1ファイヤーボール × 5
消費 銅貨90枚
合計 銅貨10枚
]
便利な分だけ課金もある──無駄にスキルを消費したような気がするな──。
『オートスキル。いかがでしたでしょうか。もし良かったら【いいね!】をタップしてください』
スマホの画面に【いいね!】と【悪いね!】のボタンが表示される。このスマホ、機能の評価を求めているのだろうか──確かに良い機能であることは確かなのだが──。
「…………」
僕は、もう少し軍資金を節約して欲しいという意味も込めて【悪いね!】をタップした。
「なんだか、べとべとしています」
「気持ち悪い~っ!」
メイドたちは、口を大きく開いた人食いフラワーに体を吊るされ、今まさに捕食されようとしている。僕は、その姿を──。
「いや……見ている場合じゃないっ!」
とにかく助けなきゃいけない。メイドたちは不意を突かれて反応が遅れている。食べられて、もしものことがあったら大変だ。
と、動こうとした瞬間、スマホが突然助言を始めた。
『トラップ型の先制攻撃を受けましたが、この程度なら最近導入された機能で挽回可能です』
「ふむ、どうするんだ?」
『殲滅目的でのオートスキル機能を使います。状況に応じて最適なスキルを選定、使用するスキルです。軍資金が予定の金額に達しているので使用可能の状態です。今回の戦闘では、敵を倒した後の報酬からスキル課金を差し引いてもプラスで軍資金が残ります。どうしますか』
「ふむ、この状況を打破できるんだね」
『その通りです』
使わない手はない──ものは試しだ。
「よし、じゃあオートスキルだ」
『かしこまりました』
『オートスキル発動。トラップサーチ及びトレースライン発動。視界に出来た赤いラインに沿って移動してください』
目の前に赤いランが見えた。これに沿って行けばいいらしい。
接近することができた。
『アナライズ発動──弱点、炎。オートロック発動。手のひらを敵に向け、ファイヤボールを詠唱してください』
「何、詠唱か! じゃあ、いくぞ。ファイヤーボール!」
すると、僕の手のひらから炎の玉が一気に5つ出現した。炎の球は、人食いフラワーを直撃し、その体を焼き尽くす。
あっけなく戦闘は終了した。吊るされていたメイドたちは解放され、地面に着地。その後、ホッとした様子で僕の側へと集まる。
「流石です! ライト様! あの正確で無駄のない動き、見とれてしまいます」
「迅速な対応でした。とても素晴らしい判断力です」
「こ……今回だけは認めてあげるわ……あ、ありがとう……」
「ああ……皆、無事で何より……」
どうやら、今の行動で仲間の評価が上がったようだ。実際、スマホの機能で楽をしてしまったのだが──僕はスマホ勇者だ。スマホを使う勇者だ。何も後ろめたいことはない! これはこれで良しとしよう。
──と、スマホが今の戦闘報告の収支書を表示していた。
[
撃破
人食いフラワーA:銅貨20
人食いフラワーB:銅貨20
人食いフラワーC:銅貨20
人食いフラワーD:銅貨20
人食いフラワーE:銅貨20
収入 銅貨100枚
L1 トラップサーチ
L1 トレースライン
L1 オートロック
L1 アナライズ
L1ファイヤーボール × 5
消費 銅貨90枚
合計 銅貨10枚
]
便利な分だけ課金もある──無駄にスキルを消費したような気がするな──。
『オートスキル。いかがでしたでしょうか。もし良かったら【いいね!】をタップしてください』
スマホの画面に【いいね!】と【悪いね!】のボタンが表示される。このスマホ、機能の評価を求めているのだろうか──確かに良い機能であることは確かなのだが──。
「…………」
僕は、もう少し軍資金を節約して欲しいという意味も込めて【悪いね!】をタップした。
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