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第二十四話 魔王の城
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日は落ちた。僕たちは、湿地帯を抜け、丘を進む。
月の明りが細い道を照らしてくれているおかげて、視界を失わずに済んでいる。そのおかげで遠くに、魔王の城の城壁を目視することができた。
「どうやら、あそこが魔王の城のようですね。恐ろしいほどの魔力を感じます」
セカンドが、何か感じ取ったようだ。確かに、数値に表せないほどの威圧感を感じる。一応スマホをかざしてみるものの、対象との距離が遠すぎるので、何も感知することはできなかった。
「強い敵が出てきたら、私が貰うんだからねっ!」
なぜか意地を張るサード。天真爛漫だったり、ツンデレになったりと、何かと忙しい。サードの態度を見ていると、多重人格システムでも搭載しているのだろうか──と、思ってしまいそうだ。
前進するたび、瘴気の濃度が強くなっていく。
「もう完全に魔王のテリトリーだ。けれど、敵の姿は見当たらない。警戒はされていないのだろうか」
ファーストは、警戒しながら先を進む。リザードマンの件もあるので、目視でしっかりと周囲を確認してくれている。もちろん、任せっきりは良くないので、僕もスマホ片手にサーモグラフィーと動体検知をフル活用。警戒は万全だ。
──と、そうこうするうちに何事もなく、魔王の城の城壁近辺へと到達した。
魔王の城の城壁。その少し手前の林まで進んだ僕らは、一度そこで休憩に入る。
林の間からは高台にある魔王の城を確認することができた。禍々しい霧に覆われた不気味な古城──その周りには廃墟が広がっている。その廃墟を城壁がぐるっと一周して取り囲んでいる。まるで、城郭都市のような造りだ。
一応、周囲の様子を伺う。スマホをかざしてサーモグラフィーを使用したが敵らしき熱源は今の所見当たらない。今の所、安全といっていいだろう。
更に目視で林のすぐ先の広場を覗く。視界に入ったのは不規則に建てられた墓標だった。地面に十字の杭をが刺さっており、兜や鎧、剣などが、そこに飾られている。この国に仕えていた兵士たちの墓なのだろうか。
僕は、空間ストレージからパンを取り出し、大口を開けてかぶりついた。召喚した仲間と違って僕は腹ごしらえも必要不可欠。腹が減っては戦はできぬというやつだ。
──そういえば──今までより体が軽い。
食事を取ったから──というわけではなさそうだが、やはり何かが違う。
この違和感の原因は──レベルかもしれない──そう僕は直感した。
一応スマホに確認を取る。
「おい、スマホ。僕の今のレベルはいくつだ?」
『はい。現在のレベルは9です。各能力、及び、スキル効果に9パーセントの効果が上乗せされます』
「レベル9……今までの戦いの経験値のおかげ……それはないか」
敵を倒してもレベルは上がらないのは、前にスマホから聞いている。恐らく、気づかない間に何らかの条件を達成した──ということだろう。
ともあれ、少しでもレベルが上がってくれているのなら大助かりだ。このわずかな差が勝敗を左右することだってある。何せ、相手は魔王──強くなって困ることはないのだ。
「ライト様、様子が変です!」
「どうした、ファースト!」
ファーストが、突然声を上げて前方を指差した。
その指差す方向を確認すると、ところどころ地面が盛り上がってくるのが見える。その盛り上がりから何かが這い出てくる。
──何か──
墓地から這い出てくるもので考えられるのはただ一つ。
「ゾンビかっ!」
壊れた鎧を着たゾンビが次々と地面から這い出てくるのだった。
「ゾンビ……ですか……」
セカンドがマジカルロッドを構えて戦闘態勢に入る。
「それも、武装したゾンビ……でも、まだこちらに気づいてない気がします」
と、ファーストが冷静に敵の動きを分析する。
「見つからなければ平気か?」
「多分大丈夫です。けれど、何らかのスキルにより、私たちがここに侵入したことがバレているかもしれません。あのゾンビの規則的な動きは、おそらく巡回をしているものを思われます」
確かに、ファーストの言う通り、ゾンビは何かを探して同じところをぐるぐると動き回っているだけだ。もちろん、ここに侵入した僕らを探しているに違いない。もし、僕らを見つけることができなければ、いずれ新手がくる可能性だってありうる。
どうやら、休んでいる暇は無くなったようだ。
「よし、じゃあ、作戦決行だ」
僕らは、打ち合わせ通りに作戦を開始した。
月の明りが細い道を照らしてくれているおかげて、視界を失わずに済んでいる。そのおかげで遠くに、魔王の城の城壁を目視することができた。
「どうやら、あそこが魔王の城のようですね。恐ろしいほどの魔力を感じます」
セカンドが、何か感じ取ったようだ。確かに、数値に表せないほどの威圧感を感じる。一応スマホをかざしてみるものの、対象との距離が遠すぎるので、何も感知することはできなかった。
「強い敵が出てきたら、私が貰うんだからねっ!」
なぜか意地を張るサード。天真爛漫だったり、ツンデレになったりと、何かと忙しい。サードの態度を見ていると、多重人格システムでも搭載しているのだろうか──と、思ってしまいそうだ。
前進するたび、瘴気の濃度が強くなっていく。
「もう完全に魔王のテリトリーだ。けれど、敵の姿は見当たらない。警戒はされていないのだろうか」
ファーストは、警戒しながら先を進む。リザードマンの件もあるので、目視でしっかりと周囲を確認してくれている。もちろん、任せっきりは良くないので、僕もスマホ片手にサーモグラフィーと動体検知をフル活用。警戒は万全だ。
──と、そうこうするうちに何事もなく、魔王の城の城壁近辺へと到達した。
魔王の城の城壁。その少し手前の林まで進んだ僕らは、一度そこで休憩に入る。
林の間からは高台にある魔王の城を確認することができた。禍々しい霧に覆われた不気味な古城──その周りには廃墟が広がっている。その廃墟を城壁がぐるっと一周して取り囲んでいる。まるで、城郭都市のような造りだ。
一応、周囲の様子を伺う。スマホをかざしてサーモグラフィーを使用したが敵らしき熱源は今の所見当たらない。今の所、安全といっていいだろう。
更に目視で林のすぐ先の広場を覗く。視界に入ったのは不規則に建てられた墓標だった。地面に十字の杭をが刺さっており、兜や鎧、剣などが、そこに飾られている。この国に仕えていた兵士たちの墓なのだろうか。
僕は、空間ストレージからパンを取り出し、大口を開けてかぶりついた。召喚した仲間と違って僕は腹ごしらえも必要不可欠。腹が減っては戦はできぬというやつだ。
──そういえば──今までより体が軽い。
食事を取ったから──というわけではなさそうだが、やはり何かが違う。
この違和感の原因は──レベルかもしれない──そう僕は直感した。
一応スマホに確認を取る。
「おい、スマホ。僕の今のレベルはいくつだ?」
『はい。現在のレベルは9です。各能力、及び、スキル効果に9パーセントの効果が上乗せされます』
「レベル9……今までの戦いの経験値のおかげ……それはないか」
敵を倒してもレベルは上がらないのは、前にスマホから聞いている。恐らく、気づかない間に何らかの条件を達成した──ということだろう。
ともあれ、少しでもレベルが上がってくれているのなら大助かりだ。このわずかな差が勝敗を左右することだってある。何せ、相手は魔王──強くなって困ることはないのだ。
「ライト様、様子が変です!」
「どうした、ファースト!」
ファーストが、突然声を上げて前方を指差した。
その指差す方向を確認すると、ところどころ地面が盛り上がってくるのが見える。その盛り上がりから何かが這い出てくる。
──何か──
墓地から這い出てくるもので考えられるのはただ一つ。
「ゾンビかっ!」
壊れた鎧を着たゾンビが次々と地面から這い出てくるのだった。
「ゾンビ……ですか……」
セカンドがマジカルロッドを構えて戦闘態勢に入る。
「それも、武装したゾンビ……でも、まだこちらに気づいてない気がします」
と、ファーストが冷静に敵の動きを分析する。
「見つからなければ平気か?」
「多分大丈夫です。けれど、何らかのスキルにより、私たちがここに侵入したことがバレているかもしれません。あのゾンビの規則的な動きは、おそらく巡回をしているものを思われます」
確かに、ファーストの言う通り、ゾンビは何かを探して同じところをぐるぐると動き回っているだけだ。もちろん、ここに侵入した僕らを探しているに違いない。もし、僕らを見つけることができなければ、いずれ新手がくる可能性だってありうる。
どうやら、休んでいる暇は無くなったようだ。
「よし、じゃあ、作戦決行だ」
僕らは、打ち合わせ通りに作戦を開始した。
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