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ふぁんたぢぃ勇者
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俺は勇者アキト。この世界を守っている伝説の勇者だ。もとは盗賊をやっていたのだが、コソコソする人生に飽き、思い切って勇者に転職した。様々な難関はあったが、それは持ち前の頭脳でなんとかごまかした。俺みたいなやつが勇者になれるとは、この世界、チョロすぎるのかもしれない。
勇者といえども、金は必要だ。実は俺は、豪遊できるほどの金をすでに手に入れていた。それでも、豪遊すればすぐに金はなくなる。だが、また稼げばいいだけの話だ。
金を稼ぐにあたって、俺は勇者特権を使うことにしている。その特権とは、他人の家に勝手に入って荒らすことのできる権利だ。これは、盗賊時代にはいつもやっていたことだが、勇者となれば話は別だ。堂々と家に入り、その家の家族の見ている前で家を荒らすことができるのだ。そして、だれもその行動を非難することはできない。
それでも、むやみやたらに荒らすのは俺としても少し気が引ける。なので俺は、家族の反応を観察しながら家の引き出しを開けている。奴等が不安そうな顔をしているときは、別に大したものは入っていない。その場合はタンスにかけた手を下ろす。そして、目をギョロっとギラつかせて何か言いたげなそぶりが見えた瞬間、俺は、「ここだぁ!」と、力いっぱいタンスを引き出す。そこには必ず金や宝石、大事な物が入っている。案の定、タンスの中に宝石箱を発見する。俺はそれを開け、中身を物色した。
「お、おやめください……それは」
家の主人は、慌てて声をかけてくる。だが、そんなのはお構いなしだ。
「いい宝石もってるじゃねえの……これは、勇者に寄付するべき、そう思わないかね」
「は……はい……思います」
「ならばよし」
俺は宝石を革の袋に入れる。主人は、涙を流して笑顔で喜んでいる。家をあさって感謝される。こんな素晴らしい職業は、勇者を持って他にない。だが、目的はこういった金品ではない。これらはあくまで交渉の材料にすぎない。
「ご主人、いい宝石をお持ちでいらっしゃる。ただ、条件次第では、これらを返してやってもよいのだが……いかがかな、ご主人」
「条件? いったい、どのような……」
「条件。それは、交換条件だ。あるものと交換したい」
「それは……?」
「ふ……ふふっ。それは、お前の娘の今はいているパンツだ!」
「な……なんですとお!」
「い、いやあああああ!」
娘は悲痛な叫びを上げる。いくら勇者でも、人の身につけているものを取れば犯罪だ。だが、相手が差し出すのであれば、問題はない。
「とても良い条件だと思わないか、ご主人」
「洗濯したものじゃあ、ダメなのですか?」
「ああ、ダメだ。今はいているものじゃなければダメだ」
「あ、あの……私のでよければ……」
主人の母は、パンツを脱ぎ始める。
「ダメだ! 娘のもの以外は却下だ!」
娘のものでなければ意味がない。ここの娘は町一番の美少女だ。だから価値がある。だから、脱ぎたてでなければならない!
「メアリー、あとでいくらでも買ってやるから、今はいているパンツを脱ぎなさい」
「は……はい……」
娘は渋々とパンツを脱ぎ始める。俺は、それを受け取り、袋に詰めた。
「じゃあ、この宝石は返す。邪魔をした」
「ああ、勇者様、ありがとうございます」
一仕事終えた俺は、家を出て、ある場所へと向かう。そこは貴族たちがあつまる秘密の会場だ。そこでは、貴族たちはマスクをしていて誰だかわからない。そのような会場で行われる秘密のパーティー。それは、闇オークションだ。
もちろん、主催は俺だ。いつも、このオークションで俺は金をたんまり儲けさせてもらっている。この方法は、俺が勇者になってすぐ、仲間になった魔法使いが考案したものだ。ちょび髭をはやした、ちょっといけ好かないやつだが、俺のために尽くしてくれている。だから俺は、彼にたんまりと報酬を支払っている。
「さあ、今日の目玉商品! このまぶしく光る、黄金のオーラをまとった、この素晴らしいパンツを見よ!」
魔法使いは、魔法エフェクトを使いながら、商品を紹介する。これは、今日俺が苦労して取得した、町一番の美少女パンツだ。
「50万!」
「100万!」
「110万!」
「200万!」
…………。
変態貴族共は、どんどん金額を釣り上げる。こういう輩は金に糸目を付けない。ただ、物欲と性欲に従い、金を放出するただのブタだ。俺は、こういうブタ共から、金を詐取する。こんなことにしか使われない金なら、俺が有効に使ってあげたほうが、世のためだ。
「600万!」
「他にいませんか! いなければ、彼に決まりです! おめでとうございます!」
会場内は、歓声と拍手に包まれる。こんな200ペニカ程度のものが、恐ろしいほどの高額に化ける。世の中は、不合理で出来ているといっても過言ではない。だが、その不合理を楽しむのもまた一興だ。
仲間と均等に金を分け合い、豪遊する。その使ったお金が町に行き渡り、潤う。町の住人たちは、パンツを差し出すことによって、町に潤いを与えているのだ。
俺は、勇者としての役割を、こういう形で果たしている。そう、俺は勇者をこれからも続けるだろう。この町の、いや、この世界に潤いをもたらすために…………。
勇者といえども、金は必要だ。実は俺は、豪遊できるほどの金をすでに手に入れていた。それでも、豪遊すればすぐに金はなくなる。だが、また稼げばいいだけの話だ。
金を稼ぐにあたって、俺は勇者特権を使うことにしている。その特権とは、他人の家に勝手に入って荒らすことのできる権利だ。これは、盗賊時代にはいつもやっていたことだが、勇者となれば話は別だ。堂々と家に入り、その家の家族の見ている前で家を荒らすことができるのだ。そして、だれもその行動を非難することはできない。
それでも、むやみやたらに荒らすのは俺としても少し気が引ける。なので俺は、家族の反応を観察しながら家の引き出しを開けている。奴等が不安そうな顔をしているときは、別に大したものは入っていない。その場合はタンスにかけた手を下ろす。そして、目をギョロっとギラつかせて何か言いたげなそぶりが見えた瞬間、俺は、「ここだぁ!」と、力いっぱいタンスを引き出す。そこには必ず金や宝石、大事な物が入っている。案の定、タンスの中に宝石箱を発見する。俺はそれを開け、中身を物色した。
「お、おやめください……それは」
家の主人は、慌てて声をかけてくる。だが、そんなのはお構いなしだ。
「いい宝石もってるじゃねえの……これは、勇者に寄付するべき、そう思わないかね」
「は……はい……思います」
「ならばよし」
俺は宝石を革の袋に入れる。主人は、涙を流して笑顔で喜んでいる。家をあさって感謝される。こんな素晴らしい職業は、勇者を持って他にない。だが、目的はこういった金品ではない。これらはあくまで交渉の材料にすぎない。
「ご主人、いい宝石をお持ちでいらっしゃる。ただ、条件次第では、これらを返してやってもよいのだが……いかがかな、ご主人」
「条件? いったい、どのような……」
「条件。それは、交換条件だ。あるものと交換したい」
「それは……?」
「ふ……ふふっ。それは、お前の娘の今はいているパンツだ!」
「な……なんですとお!」
「い、いやあああああ!」
娘は悲痛な叫びを上げる。いくら勇者でも、人の身につけているものを取れば犯罪だ。だが、相手が差し出すのであれば、問題はない。
「とても良い条件だと思わないか、ご主人」
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「あ、あの……私のでよければ……」
主人の母は、パンツを脱ぎ始める。
「ダメだ! 娘のもの以外は却下だ!」
娘のものでなければ意味がない。ここの娘は町一番の美少女だ。だから価値がある。だから、脱ぎたてでなければならない!
「メアリー、あとでいくらでも買ってやるから、今はいているパンツを脱ぎなさい」
「は……はい……」
娘は渋々とパンツを脱ぎ始める。俺は、それを受け取り、袋に詰めた。
「じゃあ、この宝石は返す。邪魔をした」
「ああ、勇者様、ありがとうございます」
一仕事終えた俺は、家を出て、ある場所へと向かう。そこは貴族たちがあつまる秘密の会場だ。そこでは、貴族たちはマスクをしていて誰だかわからない。そのような会場で行われる秘密のパーティー。それは、闇オークションだ。
もちろん、主催は俺だ。いつも、このオークションで俺は金をたんまり儲けさせてもらっている。この方法は、俺が勇者になってすぐ、仲間になった魔法使いが考案したものだ。ちょび髭をはやした、ちょっといけ好かないやつだが、俺のために尽くしてくれている。だから俺は、彼にたんまりと報酬を支払っている。
「さあ、今日の目玉商品! このまぶしく光る、黄金のオーラをまとった、この素晴らしいパンツを見よ!」
魔法使いは、魔法エフェクトを使いながら、商品を紹介する。これは、今日俺が苦労して取得した、町一番の美少女パンツだ。
「50万!」
「100万!」
「110万!」
「200万!」
…………。
変態貴族共は、どんどん金額を釣り上げる。こういう輩は金に糸目を付けない。ただ、物欲と性欲に従い、金を放出するただのブタだ。俺は、こういうブタ共から、金を詐取する。こんなことにしか使われない金なら、俺が有効に使ってあげたほうが、世のためだ。
「600万!」
「他にいませんか! いなければ、彼に決まりです! おめでとうございます!」
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