ふぁんたぢぃ勇者

マイきぃ

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ふぁんたぢぃ夢魔

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 わたしはサキュバス。今日はとてもいいお知らせがあるの。実は、わたし好みのイケメン勇者を見つけてしまったの。名前はアキト。すっごくお金持ちで超イケメン。

 以前、彼がわたしのお店に来て目が合った瞬間、電気の走るようなショックを受けたわ。たぶん、この人が私の…………。そんな、言わせないでっ!

 わたしは、勇者の泊まった宿に侵入して、夜這いをかけることにしたの。そして、既成事実を作るの。あ、ついでに彼の夢に忍び込んで、とても幸せな気持ちにもさせてあげるわ。そして、朝起きたら、勇者はわたしのものになっているの。

 ああ、なんて素敵な計画! 必ず成功させて見せるわ!

 明かりの消えた宿屋に忍び込む。そして、彼の部屋のドアをゆっくりと開ける。星の明かりが窓から差し込んで、勇者様の顔を綺麗に照らしているわ、なんて素敵な寝顔なの!

 わたしは布団をめくって勇者のベッドへと滑り込む。そして勇者の体に上から重なるの。ああ、勇者様、あったかい。このまま精気を全部吸ってしまいたい。でも、今は我慢しなきゃ。

 このまま一緒に寝て朝が来れば、言い逃れはできないわ。わたしはみだらな姿を晒して、勇者に初めてを奪われたことにするの。そうして、このイケメンで大金持ちの勇者様と……結ばれてしまうの。ああ、でも、ただ重なってるだけじゃ、もったいないわね。そうだ、ちょっとだけ夢の中をのぞいてみましょうか。

 わたしは夢魔の能力を使い、勇者の夢の中へと入り込む。彼の夢は…………。

 何か、シーツのようなものが、わたしのからだにかぶさってきた。このシーツはいったい何? 手に取ってよく見ると…………。

「なにこれ、パンティーじゃない!」

 パンティーだった。わたしは、その大きなパンティーをかきわけ、勇者を探す。でも、あるのは色とりどりのパンティーだらけ。

 ──まさか、勇者はパンティーが好きなのかしら。

 少し、不安になってきたわ。でも、わたしの信じた勇者様。パンティーが好きなのには、何か理由があるはず、ついでにどんなパンティーが好みなのかもチェックしなきゃ。

 先へ進むと、複数の台座が置かれているのを見つけた。その上にはパンティーが置かれている。でも、台座は端から中央に行くにつれて高くなっていく。パンティーの質も中央に行くにつれて、よくなっていくわ。

 ──もしかして、中央の高い台座のパンティーが、勇者の好きなものなのかしら!

 わたしは、中央にあった、水色と白のシマシマなパンティーを手に取った。

「これが勇者の好きな、パンティー(ちょっとだけ、はいてみようかしら……)」

 手に取ったパンティーを、ちょっとだけはいてみる。なかなか、かわいいパンティーだわ。勇者はいい趣味をしているのね、この姿で迫れば、勇者はもうわたしのとりこ。とてもいい情報を得たわ。あとは、勇者をさがさないとね。

 夢の中の勇者はどこにいるのだろう。あるのはパンティーばかりで、勇者の姿は見当たらない。

「勇者様~! 勇者様~! アーキートーさ~ま~~~!」

 大声で勇者様を呼んでも、返事はない。実は、このパンティーの中に埋もれているのかしら。早く、この姿を勇者様に見てもらって、朝が来る前にあーんなことやこーんなことをしなきゃ。どうせ夢の中なんだし、やりたい放題よ。

 …………。

 全然出てくる気配がないわ……。勇者はいったいどこに。

「だ、誰だぁ! わたしの夢を荒らすやつは!」

 突然、怒鳴り声が聞こえた。そして、わたしの目の前に魔法使いが姿を現した。

「お前、それ、何はいてんだよ。わたしの一番のお気に入りだぞ!」

「って、あなたこそ誰よ! ちょび髭なんて生やして、いけ好かないわ」

「ムカつくサキュバスだな。そんなやつは、ここから追い出してやる」

「言われなくったって、こんなところ出てってやるわよ!」

 どうやらわたしは、入る夢を間違えたみたい。でも、確かに勇者の夢に入ったはず……もしかして、ベッドで寝ていた勇者は、偽物? ああ、なんだか腹が立ってきたわ。この男の精気を全部吸い取ってもいいけど、始めては絶対勇者様って決めてるから、こんなやつの精気を吸う必要はないわ。

 わたしは夢を出てベッドの上に戻った。よく見ると、そこで眠っていたのは、さっきのちょび髭野郎だった。光が部屋の中に差し込み、小鳥の鳴き声が聞こえる。だいぶ時間が経ったみたい。

 ドアを叩く音がする。

「アレックス、入るぞ」

 ドアが開く。そこにいたのは、紛れもない本物の勇者様!

「あ、勇者様……こ、これはその……」

 ──まずいところを見られたわ……こんな男と寝ているなんて……ああ、もう、どう言い訳すれば……。

「なんだよ、アレックス。今日仕事なのに……それに、俺の姿を使うのは、ほどほどにしておいてもらわないと困るな」

 そう言って、勇者様は部屋を出て行ってしまった。

「あ……もうだめ。もう終わった。変な所見られた。もうおしまい。こんなの、いやあああああ!」

 頭を抱えて、叫ぶしかなかった。

 ──でも、わたし、あきらめない! 必ず勇者様を射止めて見せるわ!

 わたしは、目を覚ましたちょび髭男から無理やり淫夢代を請求し、金をぶんどって宿を後にした。
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