2 / 2
カンストした勇者
しおりを挟む
──それから一か月が経過した。
ある日、何者かが俺の魔王城ホイホイへと侵入した。
すぐに、俺はスキル【キャッスルバインド】のトリモチ効果で侵入者を捕まえた。
侵入してきたのは、前に下界に解き放ったはずの勇者だった。
「おまえ、戦いに来たのか……いいや、まったく強くなっていない……レベル40のままだぞ」
「いや、実は、話があってきた。町へ戻ったのはいいが、もうすっかり様子が変わっていて……国王にもあったが、まったく知らない国王だった。それと、わたしを勇者と認めるものは、誰もいなかったんだ。これでは、勇者特権を駆使して強い武器をそろえたり、強い仲間を集めることができない」
「なんだと……そうか。もうかれこれ300年前の話だ。お前を知っている人間はほぼ存在しないか……早く気づくべきだった…………よし、わかった。では、策をあたえる」
勇者を強くするシナリオは簡単に思いついた。
「まず、最初は町を救え。俺の部下が町を襲う、それをお前の最大奥義で蹴散らせ、まずはそこからだ。勇者と認められれば、勇者特権が使える。それで最強の装備や最強の仲間を手に入れろ」
「そんな簡単にお前の部下を殺していいのか?」
「俺の余興のためだ。あいつらは、喜んで死んでくれる」
「そ……そうか……わかった、それでいく」
「それと、おまえにクエストを用意してやる。順番にこなしていけば、必ずレベルアップし強くなる。そして、名声も得られるだろう。勇者、死に物狂いで強くなれ! そして、俺を楽しませろ!」
「わかった。ここまでされては、おれも覚悟を決めるしかないな。必ずお前を倒しに来る! 待っていろ、魔王!」
その後勇者は、どんどん強くなっていった。
武器をそろえ、仲間を集め、そして、俺の作ったクエストをクリアしてどんどんレベルアップする。
俺は、それを見るのが楽しくて仕方がなかった。
「いいそ、もっとだ。もっと強くなれ! もっとスキルを覚えろ! 俺を楽しませろ!」
まるで、育成ゲームで最強の勇者を育てているような、そんな気分だ。
────それから、四年と六か月が過ぎた。もうすぐ約束の一年だ。
俺は玉座に座り、頬杖をついて、勇者が来るのを楽しみに待っていた。
「大魔王様! ご報告があります」
「どうした! オパピエール!」
「勇者、タンスドロ・セコビッチが死にました」
「な……なんだと……! 誰が殺った!」
馬鹿な! あいつが死ぬわけがない! 俺はあいつをものすごく強くしてやった!
すでにレベル99! カンスト状態だ!
なのに……なぜ……。
「老衰です」
「老衰? やつはまだ、40過ぎのおっさんだったはずだ!」
「いいえ、この世界の人間の寿命は50歳がいいところです」
「そう……だったのか……」
思い知らされた。人間がどれだけ弱い生き物かを。
俺はもっと知るべきだった。この世界の人間を……。
でも……それでも……俺は勇者の成長を見るのがすごく楽しかった。
多分、今までで一番楽しい時間だった。
ありがとう勇者タンスドロ・セコビッチ。
俺は、おまえの名を一生忘れない……。
END
ある日、何者かが俺の魔王城ホイホイへと侵入した。
すぐに、俺はスキル【キャッスルバインド】のトリモチ効果で侵入者を捕まえた。
侵入してきたのは、前に下界に解き放ったはずの勇者だった。
「おまえ、戦いに来たのか……いいや、まったく強くなっていない……レベル40のままだぞ」
「いや、実は、話があってきた。町へ戻ったのはいいが、もうすっかり様子が変わっていて……国王にもあったが、まったく知らない国王だった。それと、わたしを勇者と認めるものは、誰もいなかったんだ。これでは、勇者特権を駆使して強い武器をそろえたり、強い仲間を集めることができない」
「なんだと……そうか。もうかれこれ300年前の話だ。お前を知っている人間はほぼ存在しないか……早く気づくべきだった…………よし、わかった。では、策をあたえる」
勇者を強くするシナリオは簡単に思いついた。
「まず、最初は町を救え。俺の部下が町を襲う、それをお前の最大奥義で蹴散らせ、まずはそこからだ。勇者と認められれば、勇者特権が使える。それで最強の装備や最強の仲間を手に入れろ」
「そんな簡単にお前の部下を殺していいのか?」
「俺の余興のためだ。あいつらは、喜んで死んでくれる」
「そ……そうか……わかった、それでいく」
「それと、おまえにクエストを用意してやる。順番にこなしていけば、必ずレベルアップし強くなる。そして、名声も得られるだろう。勇者、死に物狂いで強くなれ! そして、俺を楽しませろ!」
「わかった。ここまでされては、おれも覚悟を決めるしかないな。必ずお前を倒しに来る! 待っていろ、魔王!」
その後勇者は、どんどん強くなっていった。
武器をそろえ、仲間を集め、そして、俺の作ったクエストをクリアしてどんどんレベルアップする。
俺は、それを見るのが楽しくて仕方がなかった。
「いいそ、もっとだ。もっと強くなれ! もっとスキルを覚えろ! 俺を楽しませろ!」
まるで、育成ゲームで最強の勇者を育てているような、そんな気分だ。
────それから、四年と六か月が過ぎた。もうすぐ約束の一年だ。
俺は玉座に座り、頬杖をついて、勇者が来るのを楽しみに待っていた。
「大魔王様! ご報告があります」
「どうした! オパピエール!」
「勇者、タンスドロ・セコビッチが死にました」
「な……なんだと……! 誰が殺った!」
馬鹿な! あいつが死ぬわけがない! 俺はあいつをものすごく強くしてやった!
すでにレベル99! カンスト状態だ!
なのに……なぜ……。
「老衰です」
「老衰? やつはまだ、40過ぎのおっさんだったはずだ!」
「いいえ、この世界の人間の寿命は50歳がいいところです」
「そう……だったのか……」
思い知らされた。人間がどれだけ弱い生き物かを。
俺はもっと知るべきだった。この世界の人間を……。
でも……それでも……俺は勇者の成長を見るのがすごく楽しかった。
多分、今までで一番楽しい時間だった。
ありがとう勇者タンスドロ・セコビッチ。
俺は、おまえの名を一生忘れない……。
END
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる