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第一部 VR花子さんの怪
第二話 メタバースで自己紹介
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──百物語会場内──
ろうそくの明かりに照らされた寺の部屋の一室の中で円状に座るゲスト。
怖がったり緊張した様子は……うむ。わかるわけはない。アバターなので……。
部屋の中央に置かれた小さな檀。その上にはマイクスタンドのようなキャンドルスタンド。ろうそくが置いてあり火が灯っている。
奥の間の入り口で待機していた住職は中央へと進み、小さな壇上に登壇した。
「今日はお忙しい中、このイベントにご参加いただき、誠にありがとうございまぁす。つきましては、今、世間を騒がせているVR花子さんの事象にかかわったことのある10名にゲストとしてご来場いただきましたぁ。謹んで感謝申し上げまぁす」
音声合成の男性ボイスが辺りに響く。音声合成で坊さんの声……微妙に合わない。まあ……女性アバターで男性ボイスが普通にあるのがメタバース。気にしてもしょうがない。
「さて、まずはご来場の方々に軽く自己紹介をお願いしまぁす。まずは私から。私、住職ことシルキーと申します。メタバース歴は3年。通常VRメタバースで活動していますが、今回メタバースJPでイベントを行うこととなりました。こちらのシステムは完全に理解しましたので、どうぞ今日は安心してイベントを楽しんでいただきたいと思いまぁす。それでは次、時計回りでヤーコンさん自己紹介お願いしまぁす」
自己紹介を促し、その場から離れる住職。
──自己紹介──
「はい。えっと、ヤーコン……です。メタバースJPは初めてです……よろしくお願いします!」
かわいい飾りをこれでもかというぐらい盛りまくった美少女系アバターと、それに合うあざとかわいいアニ声を武器にバーチャルアイドルとしてデビュー。今ではダイエット系コンテンツの配信で動画の登録者数がもうすぐ5万に届く程の新人だ。
「ハムッチュでチュ! ハミュッチョじゃないでチュ! テヘッ。よろしくお願いしまチュ!」
小さいハムスターのアバター。どちらかというとぬいぐるみに近い。目がウルウルしていてそれとなくかわいい。語尾のチュは仕様なのだろうか。どうやら小動物には癒しの効果があるようだ。
「激しい熱帯魚! 激しくいくのでヨロシク!」
見た目は毒々しい金魚に人間の下半身をくっつけたような姿だ。尾ひれが大きく、そこだけレインボーに輝いている。あの尾ひれは目立つから一度見たら忘れない。激しいのは、尾ひれのダンスとレインボーフラッシュだ。
「ミカエルでーす。ヨロシク!」
天使をアンドロイドにしたようなアバターだ。細かいプロテクターのついたボディースーツ。頭部は天使の輪と翼のついたフルフェイスのヘルメット。たしか二つ名は『峠の天使』……だったかな。
……と、次は自分の番だ。
「駆け出し冒険者のエトラです。よろしくお願いします」
今の自分は質素な皮鎧を装備したジャージ姿の少年だ。名前はエトランゼから取った。一応ファンタジー系の転生者を意識したアバターで、駆け出し冒険者と二つ名を名乗っている。
「青い薔薇といいます。今日はよろしくお願いします」
青い薔薇をモチーフとしたシャープなスタイルの女性型ロボット。体のいたるところに棘の蔓が絡みついている。その奇跡のような美しい姿とは裏腹に声は男だ。
「アラフォースです。よろしくお願いします」
アバターはメタバースJPにあるデフォルトアバターの狼人間。あるのは知ってたけど、使ってる人は初めて見た。多分……アラフォーだと思う。
「桜聖と書いてさくらひじりといいます。このような会を開いていただき感謝いたします。VR花子様も喜んでいます。よろしくお願いいたします」
刀装備の巫女アバター。姿と声は大和撫子とバランスのいいキャラではあるが……ちょっと気がかりな挨拶だ。
「ファントム・アイです。よろしくお願いします」
ホログラムな半透明ボディーの一つ目蝙蝠だ。赤く光る眼はおそらく全てを見通す目なのだろう……と勝手に設定をつけてちょっと得意になる自分。彼はアバター専門のクリエイターだ。頼めば短期間でアバターを作成してくれる。値段は高いが、いい仕事をするクリエイターだ。
「三日月マリモです。よろしくお願いします」
頭はアフロ、モフモフな体。額に三日月のアクセサリーが付いた動物系? ……マスコットキャラだ。
いわゆる謎生物である。ただ、表情は謎にかわいい。
全員の自己紹介が終わると住職が中央の壇上に上る。
「それでは、自己紹介も終わりましたところで百物語を始めたいと思いまぁす。それでは私から……」
住職は、そう言うと懐中電灯の光を顔に当てながら語り始めた。
ろうそくの明かりに照らされた寺の部屋の一室の中で円状に座るゲスト。
怖がったり緊張した様子は……うむ。わかるわけはない。アバターなので……。
部屋の中央に置かれた小さな檀。その上にはマイクスタンドのようなキャンドルスタンド。ろうそくが置いてあり火が灯っている。
奥の間の入り口で待機していた住職は中央へと進み、小さな壇上に登壇した。
「今日はお忙しい中、このイベントにご参加いただき、誠にありがとうございまぁす。つきましては、今、世間を騒がせているVR花子さんの事象にかかわったことのある10名にゲストとしてご来場いただきましたぁ。謹んで感謝申し上げまぁす」
音声合成の男性ボイスが辺りに響く。音声合成で坊さんの声……微妙に合わない。まあ……女性アバターで男性ボイスが普通にあるのがメタバース。気にしてもしょうがない。
「さて、まずはご来場の方々に軽く自己紹介をお願いしまぁす。まずは私から。私、住職ことシルキーと申します。メタバース歴は3年。通常VRメタバースで活動していますが、今回メタバースJPでイベントを行うこととなりました。こちらのシステムは完全に理解しましたので、どうぞ今日は安心してイベントを楽しんでいただきたいと思いまぁす。それでは次、時計回りでヤーコンさん自己紹介お願いしまぁす」
自己紹介を促し、その場から離れる住職。
──自己紹介──
「はい。えっと、ヤーコン……です。メタバースJPは初めてです……よろしくお願いします!」
かわいい飾りをこれでもかというぐらい盛りまくった美少女系アバターと、それに合うあざとかわいいアニ声を武器にバーチャルアイドルとしてデビュー。今ではダイエット系コンテンツの配信で動画の登録者数がもうすぐ5万に届く程の新人だ。
「ハムッチュでチュ! ハミュッチョじゃないでチュ! テヘッ。よろしくお願いしまチュ!」
小さいハムスターのアバター。どちらかというとぬいぐるみに近い。目がウルウルしていてそれとなくかわいい。語尾のチュは仕様なのだろうか。どうやら小動物には癒しの効果があるようだ。
「激しい熱帯魚! 激しくいくのでヨロシク!」
見た目は毒々しい金魚に人間の下半身をくっつけたような姿だ。尾ひれが大きく、そこだけレインボーに輝いている。あの尾ひれは目立つから一度見たら忘れない。激しいのは、尾ひれのダンスとレインボーフラッシュだ。
「ミカエルでーす。ヨロシク!」
天使をアンドロイドにしたようなアバターだ。細かいプロテクターのついたボディースーツ。頭部は天使の輪と翼のついたフルフェイスのヘルメット。たしか二つ名は『峠の天使』……だったかな。
……と、次は自分の番だ。
「駆け出し冒険者のエトラです。よろしくお願いします」
今の自分は質素な皮鎧を装備したジャージ姿の少年だ。名前はエトランゼから取った。一応ファンタジー系の転生者を意識したアバターで、駆け出し冒険者と二つ名を名乗っている。
「青い薔薇といいます。今日はよろしくお願いします」
青い薔薇をモチーフとしたシャープなスタイルの女性型ロボット。体のいたるところに棘の蔓が絡みついている。その奇跡のような美しい姿とは裏腹に声は男だ。
「アラフォースです。よろしくお願いします」
アバターはメタバースJPにあるデフォルトアバターの狼人間。あるのは知ってたけど、使ってる人は初めて見た。多分……アラフォーだと思う。
「桜聖と書いてさくらひじりといいます。このような会を開いていただき感謝いたします。VR花子様も喜んでいます。よろしくお願いいたします」
刀装備の巫女アバター。姿と声は大和撫子とバランスのいいキャラではあるが……ちょっと気がかりな挨拶だ。
「ファントム・アイです。よろしくお願いします」
ホログラムな半透明ボディーの一つ目蝙蝠だ。赤く光る眼はおそらく全てを見通す目なのだろう……と勝手に設定をつけてちょっと得意になる自分。彼はアバター専門のクリエイターだ。頼めば短期間でアバターを作成してくれる。値段は高いが、いい仕事をするクリエイターだ。
「三日月マリモです。よろしくお願いします」
頭はアフロ、モフモフな体。額に三日月のアクセサリーが付いた動物系? ……マスコットキャラだ。
いわゆる謎生物である。ただ、表情は謎にかわいい。
全員の自己紹介が終わると住職が中央の壇上に上る。
「それでは、自己紹介も終わりましたところで百物語を始めたいと思いまぁす。それでは私から……」
住職は、そう言うと懐中電灯の光を顔に当てながら語り始めた。
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