VR花子さんの怪

マイきぃ

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第一部 VR花子さんの怪

第十五話 幕間

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 一週間ぐらい前、メタバースト3Xを作っている企業、メタバース・ワークスで2人の逮捕者が出たそうだ。なんでも、会社の資金を横領していたらしい。そういえば、前にもそんなことがあったような……。
 それにしても……良いものを作っている会社なのに……とても残念な気持ちになる。

 良いものといえば……自分の会社のフレーズに「もっと良いものを追求する」というのがあった気がした。たしかに、良いものを追求する会社なのだが……。
 メジャーなOSのアプリが猛威を振る中、マイナーなOSで使用可能かつ、メジャーで流通しているアプリと同等以上の機能の付いたアプリを作成しているのが自分の会社だ。もちろん、特許や権利などには注意している。
 メジャーなOSしかアプリの恩恵が受けられないだと!? ならば作ろう! 救われないOSに救いの手を! ……というのが社長の理念らしい。
 自分はただのパクリ企業だと思っているのだが……そんなことは一言も口に出してはならない。それが優しい世界を作るコツだ。

 5分前に出社し、朝礼を済ませてデスクに座る。すると、部長がご機嫌な様子で自分の後ろに立った。
「佐藤君、いつも暇な君にね、今日、やってもらいたいことがあるんだよ」
 皮肉たっぷりな言葉の攻撃を受けた。嫌顔を営業スマイルで浄化し、言葉を返す。
「なんですか? 部長」
「契約取ってきてくれ。担当がおなかを壊したみたいでね~。アポは取ってあるからな……で~き~る~よ~な……」
「もちろんです、部長」
「これ、あちらさんの資料。見といてね」
 部長からUSBメモリを渡された。
 担当……逃げたな……おそらく契約を取れなかった責任を自分に押し付けるつもりだ。もちろん、取れればどうということはない。しかし、取れる契約ならば担当はおなかを壊さないだろう。つまり、これはどうあがいても難しいしろものだということだ。ああ、また貧乏くじ……もう辞めたいっ!

 本当は自分は開発の方にいたのだ。けれど、いつも定時で帰っていたのが部長の鼻についたせいで営業を兼任する羽目になった。兼任といっても、ほとんど営業ばかりやらされているのだが……人材不足をどうにかしてほしいと常々思う。

 ノートパソコンを起動してさっそくUSBメモリを覗く。中にあるテキストファイルを開くと、URLのメモが詰まっていた。
 どうせまたいつもの取引相手のホームページの詰め合わせだろう……と、そんな予感は的中する。

 表示されたページは、バイオテクス系企業のセカンドシステムズのホームページ……どこかで聞いたことのある……。
 自分は気づいた。メタバースト3Xを出してるメタバース・ワークスと提携している企業であることに!
 普段なら面倒ごとに巻き込まれたと渋々仕事をこなすだけなのだが、こういう企業と関われるチャンスはなかなかない。なので、今回はダメ元でやる気を出してみることにした。
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